第1話 友情
ここは、とある田舎にあるカウンセリングルーム。田舎とは言っても人口200人しかいない田舎の村。私?私は原田美穂。実は、あの有名なアナウンサーの原田優希の子孫。言ってしまえば、私は生まれ変わり…らしい。それよりも今日はどんな人が来るのかな?
カランコロン♪♪
「いらっしゃいませ。」
「よろしいですか?」
「ええどうぞ。座ってくださいな。」
今回の相談者は紗倉結衣さん。中学校2年生の女の子。
「今日はどうしました?」
「私、学校で野球部に入っているんですけど…チームの男子が絡みにくくて困っているらしいのです。私はチームの皆と仲良くしているつもりなんですけど、男子がどう思っているのか分からなくて。」
「要するに、男子の方が話しかけづらいんだなー。結衣ちゃんはマネージャー?」
「いいえ選手です。今は2年生ですけど夏の大会で2番手投手をしていました。」
「女の子も出られるんだね。」
「はい、出場できないのは高校だけです。」
なるほどね。女の子が試合に出ているから、男の子の出る幕がないということね。
「監督の先生は知っているの?」
「知らないと思います。女は私だけですから。それに友達に野球の話をしても理解不能ですから。」
私は冷蔵庫からチョコレートを持ってきた。
「食べる?」
「いただきます。」
2人でチョコレートを食べた。
「少し考えすぎていない?」
「何がですか?」
「結衣ちゃんは、野球がうまくなりたいの?それともチームの皆と仲良くなりたいの?」
結衣ちゃんは悩んでいた。
「どちらも求めています。」
結衣ちゃんに足りないものが、やっと分かった。
「私は言うのも可笑しいけど、野球に必要なことって何?」
「………、実力ですか?」
「なら仮にだよ。結衣ちゃんが野球の監督だったら、実力があってチームの皆の信頼がない人と、下手だけど一生懸命頑張っている人ならどちらを試合に出す?」
「下手だけど頑張っている人ですかね。」
「どちらかというと、今の結衣ちゃんは信頼はないんだよ。何か思い当たる部分はある?」
「あまり練習中に声を出していないかな…。」
「分かってるなら大丈夫。結衣ちゃんが声を出していけば皆も打ち解けてくれるよ。」
結衣ちゃんは席を立ち私に礼をした。
「ありがとうございます。私、頑張りますから。」
そう言って結衣ちゃんは外に飛び出していった。
「頑張れ。」
しばらくしてから、結衣ちゃんの野球部を見に行った。この日は練習試合だった。見た感じ雰囲気がすごい良かった。
「皆で声掛けちゃんとしよう。」
結衣ちゃんの声が響いていた。攻撃中も必死にチームを鼓舞していた。
試合が終わり結衣ちゃんは私を見つけた。
「本当にありがとうございました。」
「どうだった?」
「チームの皆が話しかけてくれるようになりました。嬉しいです。」
「それは良かった。」
奥の方から結衣ちゃんのチームメイトが結衣ちゃんを呼んでいた。
「結衣、帰ろうぜ。」
「うん、今行く。」
「じゃあね。」
「はい、失礼します。」
結衣ちゃんはチームメイトと帰って行った。今回もまた1人の心を救った。私としては嬉しい気持ちである。
家に帰ってお昼寝をしようとした時だった。
「うっ。」
急に頭が痛くなった。 続く