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バカと出会い
僕は人の行きかう道の真ん中で倒れていた。
「・・・あぁ・・・・・・」
腹が減った。
誰か僕に食べ物をくれ。
「・・・・・・うぅ・・・・・・」
まったくみんな冷たいよな。
道の真ん中で、大の字で倒れている僕をチラリと見ても、
誰も手をさしのばそうとしない。
マジで餓死するって。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
僕、死ぬのかな。
すると、
サッ・・・
僕の顔は日が遮られた。誰かが僕の目の前にしゃがみ込んでいるようだ。逆光でその顔は見えない。
「・・・こんなとこで何やってんだ?」
「・・・」
「腹減ってるのか?」
「うん!」
「・・・なんだ、元気じゃん」
「んなことないよ。何かくれよ」
「しゃーないな。そのかわり・・・」
青年は僕にパンを差し出した。こぶし程度の大きさのパンだったが、ありがたい。僕はそれをガツガツと食べた。
その青年が何を言ったのかは聞いてなかった。
「なあ」
「まだなんかあるのか?パンはもうねえぞ」
「いや違う。水くれ」
「・・・厚かましいにもほどがあるな」
これが僕と勇者様の出会いだった。