第8話 始まった野外学習
第8話です
から一週間が経ち、ついに野外学習の初日を迎えた。
大きなリュックに荷物を詰め込み、家を出る。
「いってらっしゃい。気をつけてね」 「……行ってきます」
母さんの声に短く返し、俺は学校へと向かった。
学校に着くと、校庭には四台の大型貸切バスが並んでいた。すでに二年生全員が集合しており、あちこちから「楽しみだね!」という浮ついた声が聞こえてくる。優は目立たないよう、クラスの列の最後尾で静かに待機した。
少し経つと、冬月さんがやってきた。 あれ
「お、おはよう……水瀬くん」 「おはようございます」
挨拶を返してふと彼女の足元を見ると、違和感があった。
「……なんか、冬月さん。荷物、多くないですか?」
周りの女子と比べても、彼女のリュックは明らかにパンパンに膨らんでいた。
「そ、そうかな……? これくらい、普通じゃない……?」
冬月さんは少し視線を泳
がせ、何でもないふりをして荷物を背負い直した。
(……何が入ってるんだ、あれ)
そんな会話をしているうちに、学年主任の話が終わり、クラスごとにバスへと乗り込んだ。
数時間後。俺たちは目的地であるキャンプ場へと到着した。 まずは宿泊するコテージに荷物を下ろす。同室になったのは、班のメンバーである山田と村岡だ。二人の会話はあまりに陽キャすぎて、正直何を話せばいいのか分からない。俺は早々に準備を済ませ、集合場所へと向かった。
飯盒炊爨の会場に着くと、青山と最川がすでに待っていた。その少し後ろに、所在なさげに立つ冬月さんの姿がある。全体説明が終わると、それぞれが決めた持ち場へと散っていった。
青山が手際よく野菜を切り始める。
「すごーい、さやちゃん切るのうまいね!」
「でしょでしょ、これくらい余裕だよ!」 華やかな会話が飛び交う横で、山田と村岡が楽しそうに米を研いでいた。
「よし、米研ぎ完了!」
「俺らちょっと、他の班の様子見てくるわ!」
手持ち無沙汰に立ち尽くす俺と冬月さんをよそに、男子二人はあっという間に遊びに行ってしまった。
「……ほんと、自由な人たちだよね」
最川がそう言って、こちらを振り返った。
「ちょっと、水瀬くん。人手が足りないから手伝ってくれる?」 「あ……わ、分かりました」
言われるがままに、俺はニンジンの炒め作業を引き受けた。 ふと横を見ると、冬月さんも青山に誘われたのか、一緒に食材を切り始めていた。驚いたことに、彼女は青山と楽しげに言葉を交わしている。
(……あれ? 冬月さん、実はコミュ力高いのか……?)
驚きを隠せない俺に、最川がさらりと話しかけてきた。
「水瀬くんって、料理とかしたことある?」 「料理は……そんなには、したことないです」 「てかさ、なんで敬語なわけ? うちら同級生じゃん。全然タメ口でいいよー!」
(……はっきり言って、陽キャの距離感すごいな) 「わ、わかった……」
圧倒されつつも、俺は慣れない手つきでヘラを動かした。
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