第2話 空き教室、静かなお隣さん
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四時間目の授業も終わり、ようやく昼休みだ。
「……さて、どうせ今日もぼっちだしな」
いつも通りの昼休み。友達はおろか、騒がしい教室で一人ぼっちで飯を食べるのも味気ない。だから優はいつも、誰もいないはずの空き教室へ移動して食事を済ませることにしている。
コンビニで買ったパンと飲み物を手に歩いていると、目的の教室の扉がわずかに開いていることに気づいた。
(おかしいな。いつもなら閉まっているはずだし、誰かが中にいるとも思えないけど……)
不審に思いながらも、優はそっと扉を押し開けた。
「え……?」
開けた瞬間、思わず声が漏れた。そこにいたのは、まさかのクラスメイト、冬月一星だった。
「ええと……」
冬月さんが戸惑ったように呟く。お互いに固まったまま、どうすればいいか分からない沈黙が流れる。
「……冬月さん、なんでここに?」
優は咄嗟に問いかけた。いつもなら物置同然で、誰も来るはずがない場所なのに。
「ええと、実は――」
俯き加減に、長い前髪を指でいじりながら、彼女は消え入りそうな声で言葉を紡ぎ始めた。
「私、友達がいないから……一人で食べてたの。前に食べてた場所が、今は工事をしていて。食べる場所がなくなっちゃったから……」
冬月さんは、絞り出すようにそう言った。
(そういえば、校舎の改修工事が始まってたな……)
「だから、どこか静かな場所はないかなって探してたら……この空き教室を見つけて」
優は黙って話を聞いていた。
(このまま追い出すわけにもいかないし、そもそもここは自分だけの専用部屋でもないしな)
「……やっぱり、迷惑だよね」
冬月さんの、掠れた震える声。弱々しい響きだった。
「……いえ、別にいいですよ。僕もぼっちですし、ここ、広いですから。……気にしないでください」
優がそう言うと、一星が少しだけ顔を上げた。 ほんの一瞬、前髪の隙間から見えた瞳。それが昨日の配信で見た「一等星」の輝きに、一瞬だけ重なった気がして、優は慌てて目を逸らした。
「……あ、ありがとうございます。水瀬くん」
消え入りそうな声で、彼女は初めて優の名前を呼んだ。
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