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似た者同士

作者: P4rn0s
掲載日:2026/01/21

君のことは信用してない。

そう断言された瞬間、胸の奥で何かが折れる音がした気がした。


怒りでも悲しみでもなく、もっと軽くて、乾いた音だった。

長い間、ずっと張りつめていた糸が、ようやく切れたみたいな。


「そっか」

口から出たのは、それだけだった。

自分でも驚くほど穏やかな声だったと思う。


君は少し身構えた顔をしていた。

きっと、泣かれるか、責められるか、黙り込まれるかを想像していたんだろう。

でも私は、ただ頷いただけだった。


「そうなんだ」

もう一度、確認するみたいに言うと、君は視線を逸らした。


その横顔を見ながら、私はようやく正直になれた気がした。

今までずっと、申し訳なさだけを抱えていたから。


「私も同じだよ」


君が、驚いたようにこちらを見る。

その目に浮かんだのは、安堵だったのか、それとも別の感情だったのか、私には分からない。


「今まで申し訳なくて隠してたけど」

そう前置きして、少しだけ息を吸う。


信用していない、という言葉は残酷だ。

でも、信用しているふりを続ける方が、ずっと残酷だった。


疑っていたわけじゃない。

裏切られると思っていたわけでもない。

ただ、全部を預けるほどの確信が、どこにもなかっただけだ。


それでも恋人という形を続けてきた。

手をつないで、未来の話をして、平気な顔で笑ってきた。

そのたびに、心のどこかで「ごめん」と言い続けていた。


「君も同じでよかった」


その言葉が口から出た瞬間、胸の奥が少しだけ軽くなった。

信用していないという事実より、

それを一人で抱えていなかったことの方が、私には大きかった。


君は何も言わなかった。

ただ、小さく息を吐いて、肩の力を抜いた。


たぶん、私たちは健全な恋人じゃない。

お互いを全面的に信じ合う物語には、最初から向いていなかった。


それでも、嘘をやめた今の沈黙は、

今まででいちばん誠実だったと思う。


信用していない。

でも、一緒にいる。


それが崩れるかどうかは分からない。

ただ少なくとも、この瞬間だけは、

私たちは同じ場所に立っていた。


やっと、同じ言葉を使って。

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