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消えない絆4

よろしければ、読んで下さい。今回で完結です。

 「皆さん、お疲れ様でした」

私が口を開いた。事件解決の数日後の昼、私達四人はファミレスで食事をしていた。

「・・・事件が解決して、良かったです。瀬尾教授は、思いやりがあって努力家で・・・本当に、尊敬できる方でしたから」

「・・・私に、『悩みがあっても、相談したくなかったら無理にしなくてもいい。でも、相談に乗ってくれる人がいる事だけは忘れないように』って言ってくれました。厳しいようだけど、優しい人だった」

 堀江先生と花音さんがそう話した。花音さん本来の人格にしては、口数が多いようだった。

 「・・・堀江先生、甘いもの好きなんですか?」

堀江先生の目の前にあるパフェを見て、花音さんが聞いた。

「ああ、そうだね、好きだよ。甘いもの全般」

「・・・このファミレス、一か月間限定で、誕生日に来店して身分証明書を見せると、デザートが50%オフになるそうですよ。堀江先生、もうすぐ誕生日なんじゃないですか」

堀江先生が、メニューを改めて見た。

「ああ、本当だ。キャンペーンをしてる。また近いうちにここに来ようかな。教えてくれてありがとう」

「いえ・・・お手洗いに行ってきます」

花音さんが席を外した。

 私がふと隣を見ると、何故か御厨さんがじっと堀江先生を見ていた。

「どうしました?御厨さん」

私が聞くと、御厨さんが堀江先生に聞いた。

「堀江先生、あなた・・・花音さんに、誕生日を教えました?」

「あ・・・」

堀江先生が、目を見開いて呟いた。

「・・・教えてないです」

「やっぱり・・・」

御厨さんが、盛大に溜息を吐いた。

「どういう事でしょう?」

私が聞いた。

「・・・花音さんは、堀江先生が父親だと気付いてるかもしれないって事だよ。もしかしたら、母親から、父親の事をぼんやりとでも聞いていたのかもしれないな。・・・違和感はあったんだ。花音さんは秀一郎さんモードになる時、指を絡める癖がある。でも、堀江先生が衝撃の告白をしたあの日、俺はその癖を見た記憶が無い」

「それって、花音さん本来の人格のままなのに、秀一郎さんになったふりをしていたって事ですか?」

「ああ。堀江先生の口から真実が聞きたくて、咄嗟に演技したのかもしれない」

「そんな・・・」

 私達の会話を聞いていた堀江先生は、茫然としていた。しかし、そのうち顔を手で覆って声を漏らした。

「そうか・・・そうだったんだ・・・。はは・・・本当に僕は、情けない男だな・・・」

 花音さんが、席に戻ってきた。堀江先生が、花音さんに話しかける。

「・・・木下さん」

「何でしょう?」

「食事が終わったら、二人きりで話したい事があるんだけど、いいかな」

「・・・はい」

花音さんは、穏やかな笑みを浮かべた。


 食事が終わり、私と御厨さんはファミレスを後にした。堀江先生と花音さんは二人でファミレスに残り、話をする事になった。

 「あの二人、これからどう接していくんですかね」

「さあな。でも、悪いようにはならないだろう」

御厨さんが、車に乗り込みながら言った。御厨さんの運転で、これから警視庁に戻る予定だ。

 車が走り出した。車窓から外を眺めながら、私は二人の幸せを願った。


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