十六年目の真実3
よろしければ、読んで下さい。
昼食を取った後、私達三人は、また会議室に集まった。
「小川さん、真相、わかりそうですか?」
堀江先生が聞いた。
「・・・いえ、今回の事件も十六年前の事件も、今の所全く真相がわかりません」
私は、正直に答えた。そして、おずおずと花音さんに聞いた。
「・・・あの、花音さんは、どうですか・・・?」
「交代してみます」
そう言うと、花音さんの目つきが変わった。彼女は机に肘を付き、両手の指を絡めた。秀一郎さんの人格になったらしい。
「・・・犯人の目星はついている。後は証拠だな」
目星がついているのか。
「もう一度、捜査資料を見直してみよう。何かひらめくかもしれない」
捜査資料を見直していた秀一郎さんが、ふと呟いた。
「しかし、亡くなった由香里さんとやらは、随分縫いぐるみが好きだったようだね。遺体の側にもいくつも落ちているし。・・・しかし、棚から落ちたにしては不自然な落ち方をしているようだ」
「そう言えば、そうですね。何か事件解決のヒントになるんでしょうか。・・・落ちているのは犬、猫、ウサギ、そしてアルパカの縫いぐるみ・・・。あ、知ってます?この縫いぐるみって・・・」
続けて言った私の言葉を聞いて、秀一郎さんは目を見開き、その後ゆっくりと口角を上げた。
「・・・証拠が見つかるかもしれない」
次の日の朝、私は御厨さんの自宅マンションまで来ていた。インターホンを押して名前を告げると、御厨さんが出てきた。出勤の支度をしていた途中のようで、一応スーツを着ている。
「どうした?」
「事件の真相がわかりました。・・・今回の事件についても、十六年前の事件についても」
御厨さんが目を瞠った。
「これから、逮捕に向かいます。一緒に行きませんか」
「・・・いいのか?」
「はい。課長を脅し・・・説得したので、大丈夫です」
「・・・二分待ってくれ、準備する。・・・小川」
「はい」
「恩に着る」
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