表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

【新発売! ライバル商品!? その名も、ホワイトセラフ】


新発売!


--------------------------------------------

空の守護天使

【Code_A: ホワイトセラフ】


あらゆる害虫を、光の速さで殲滅!

高性能ドローンによる高機動で、害虫のみならず、カラスなどの害獣からも、あなたの家の空を完全に守護します。


米国の農場でも活躍中の、最新テクノロジーによる、『レーザー光』装備を使用可能。

帯電殺菌バリア標準装備。



定価:198000円 武装別売り

※他社製の駆除ロボットと同時使用時におけるトラブルにご注意ください。


販売元『ゼガ』

協力会社

ドローンメーカー『垓商』

ドールメーカー『アズライト』

殺虫剤メーカー『ベルキラー』

レーザー研究『レイ技研工業』

---------------------------------------------


時に。



電気店で見かけた、新発売の害虫駆除ロボットに、トオルは釘付けだった。


かれこれ、1時間は商品のパッケージを、飽きずに眺めている。


そこに描かれているのは、やはり可愛らしいお人形である。


銀髪に、真っ白な衣装と、近未来チックな純白の武装を掲げる美少女ドール。

片やナハティゲルが、真っ黒な重戦車だとするなら、このホワイトセラフは、空を行く純白の戦闘機という所だろうか? なにせ、高速飛行形態へ変形するというのだから、漢のロマンもうなぎ上りだ。


掃除機能は全くなく、完全に害虫駆除だけに特化した商品のようだ、が。


まぁ、性能などどうでもよかった。

トオルの悩みはそこではない。


髪が、金髪のロングストレートと銀髪の三つ編みの二種類販売しているのだ。

どっちを選ぶべきか、トオルの悩みはそこだ。

もちろん、ドールであるので髪型(ウィッグ)のカスタマイズも自由にできるが、デフォルトのままでも十分に可愛らしい。


天使と言えば金髪だが、それだとナハティゲルの髪色と被ってしまう。

銀髪も捨てがたく、一見ショートヘアにも見える三つ編みは、トオルの大好物であり、三つ編みを噛み締めて味わうことも辞さない程だ。


だが、天使は金髪というイメージは度し難い程に、160キロメートルストレートのデットボールでノックアウトだ。


だが、二つは買えない。

素体だけで20万を超えるのだ。

武装のことを考えるととてもではないが、2体は買えない。


「ううう……むむむむ……」


実の所。

前々から、度々メディアに出ていた情報を、トオルは逐一チェックし、その度に『買う』か『買わないか』悩んでいた。

だって高いし、もうナハティゲルが家に居るからだ。


しかしながら。


実際に山のように積まれた商品を目の当たりにして。


高いなぁ。

とか。

害虫駆除しかできないのか。

とか。


そういう細かい悩みは全て吹き飛んだ。



なぜなら、パッケージに描かれたドールのあまりの可愛さに、秒で轟沈したからだ。


可愛いは正義であり。

可愛いは癒しであり。

可愛いは無敵なのだ。


そんなものに勝てるモノがあろうか。

可愛いという、46センチ砲にも勝る威力は、トオルの金銭感覚(HP)を、あっという間に削り取る。



結局――。



「ありがとうございましたぁ!」


トオルは、『試作型レーザーエッジ』がついてくるという、限定版を買ってしまった。

各種の武装を含み、総額で40万円を軽く超えた。



「はぁ、また食費削ろう……」


こうして、ヒトはずぶずぶと沼にハマっていくのだ。

沼トオル、英語読みではトオル沼。

まるで、ドール沼を示唆するようなこの名は偶然だが、伊達ではないのである。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ