*炎雷帝と反逆者達の話(3)
「へぇ、最近の家電って賢いんですね」
「そうね、私も初めて知った時びっくりしたわ」
目当ては電動のティーポットだがその前に通りかかったエアコンコーナーやドライヤーコーナー、調理器具コーナー、どこを覗いても自動化されていたり人工知能が搭載されていて人がより快適に暮らすためにほかの煩雑なことを機械が担っている。
目当ての電動ティーポットは自動でお茶の濃さを調整してくれるというもので値段も手が届く範囲でとても高価、という程でもない。
高性能の物が安価で手に入る、技術力と企業努力には恐れ入る。
「茶色も可愛いけど……静姉さんの部屋なら黒か白かしら……うーん」
「無難なのは白ですよね、姐さんの部屋のものに合わせるなら黒ですけど、確かにこれは悩ましいですね」
該当のティーポットを目の前に2人でうんうんと唸る。
落ち着いたカラーリングはそれはそれで悩ましい。
「決めた、黒にするわ。
部屋に拘ってるって言ってたから余計な色入れて使われないなんてなったら悲しいから」
意を決して黒いティーポットの箱を抱える。
もう迷わないぞ、と真っ直ぐレジに向かう。
「雷寿は姉さんに何贈るの?」
「私は毎年紅茶の詰め合わせとクッキーです」
ふと気になってこの足で買いに行こうと提案しようと思って声をかければもう注文済みだと返される。
毎年一緒だから悩まないんだそう。
そういうプレゼントの選び方もあるのか、と思いながら会計を済ませて、プレゼント包装を待つ間になんとなしに周囲に目を向ける。
僅かなノイズが走った原因を探す。
「お待たせいたしました、こちらでよろしいですか?」
「えぇ、ありがとう」
原因を探し当てる前に店員に声をかけられて意識を戻してプレゼントに手を伸ばそうとすると雷寿が持ちますよ、と横からプレゼントの袋を持っていく。
買い物に行くと荷物を持たせて貰えないのはいつもの事なので諦めてよろしく、と任せる。
「ねぇ、雷寿」
「はい、なんでしょうか?」
「先に帰って」
「お断りします」
店中に感じる違和感に雷寿に声をかければ笑顔で断られる。
こんな殺気の中置いていけませんよ、と雷寿が私を抱き寄せた瞬間に鋭い発砲音と共に防火シャッターがガラガラと音を立てて空間を隔てて行く。
けたたましい火災警報器の音が悲鳴と混ざり酷い不協和音が響く。