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1.知ってた

 俺は砂漠地帯で、今日の討伐対象を狩っていた。ミノタウルスというBランクと非常に強い魔物と対峙していた。


「危なっ。これで沈め!」


 ミノタウルスの強力な攻撃を紙一重で避け、とどめをお見舞いする。


 グルァァァァ


 ミノタウルスが勢いよく倒れたせいで、辺りには砂埃が舞った。


「げほっ、げほっ。今度からは砂漠地帯で戦うのはやめよう……」


 やがて砂埃が収まるとミノタウルスの死体が横たわっていた。


「よし、じゃあこれとこれをかけてっと……」


 今、俺が何をミノタウルスにかけたかというと、ミノタウルスを小さくするBSポーションと体重を軽くするSLポーションだ。

 大型モンスターを持って帰るときにはこれで軽く、そして小さくして、バックに入れて持ち帰るのがメジャーだ。

 

 さらにポーションにも階級があって、SABCとあり、Sが1000分の1、100分の1、50分の1、10分の1となる。


 表記の前が階級で、後がポーション名だ。


「さて、今日の依頼も終えたし、帰るか。お腹も空いたし」


 今日の夕ご飯は何しようかと悩みながら、帰路に着こうとすると、


誰か助けてっ!お願いっ!

 

 突然、頭の中に誰かの声が入ってきた。

 【テレパシー】はやめてほしい。突然来るからビックリするんだよ。予告とかして欲しい。テレパシーしますよーって。


「あそこか……遠いな」


 どうやら、森の奥で何かしらのトラブルが起きたらしい

 この砂漠地帯から、森林地帯まででは、魔法を使ったとしても少なくとも1分はかかる。


「少し持ち堪えられますか?っと」


 俺は、テレパシーで、返答する。


助けてれるんですか!?ありがとうございます!1分だけなら私の魔法で持ち堪えられます!


 どうやら、大丈夫らしい。俺は【テレポート】の魔法を発動する。この魔法は距離によって、チャージ時間が変わる。そのかわりチャージをすれば、どこへでも行ける。


 この距離ならチャージ時間は1分。チャージ時間の合間に他の魔法をチャージし、待機させておく。四つのチャージを終えたところで、テレポートが発動した。


 視界が何もない殺風景の砂漠から、緑豊かな森に切り替わった。


「ハクっ!危ない!」


 そこにはキルベアーが倒れている少女を襲うところだった。

 

 俺は持ち前の身体能力で少女とキルベアーの間に割り込む。頭の上に剣を掲げ、キルヘアーの鉤爪を受ける準備をする。


キィィィン


 鋭利なもの同士がぶつかる音がする。キルベアーを力で押し切り、一つ目の魔法を放つ。

 

 意識を向けた亜空間から風系統の魔法を放つ。殺傷力がないやつだ。

 キルベアーは魔法のせいで、その重い巨体を宙に浮かせた。

 

 あと二つ発動させて仕舞とする。スピードアップの魔法と、一刀両断の魔法だ。


「すごい……」


 俺は上乗せされた足で、落ちてくるキルベアーに向けて、思いっきりつっぱしる。

 いつも通りに真っ二つに切ってお仕舞いだ。


ゴアアァァァァァ!


 キルベアは空中で舞うかのようにその二つの残骸を躍らせた。

 重い音がすると同時に潰れた魔物から返り血が飛んでくる。頬に付いた血だけとるとする。後はかえってから洗おう。

 

「助けてくださりありがとうございます!私アーリンって言います。宜しければお名前も教えてくださりませんか?」


 俺は助けた少女に返事


「ああ、俺の名前かい?カゲルだ。怪我無かったようだなお嬢ちゃん?」


「?」


 するシュミレーションを脳内で行っていた。よし、これで大丈夫なはずだ。


「あっ……あの……ええと……」


「すみません聞き逃してしまいました。もう一度お願いします。」


 俺が小声過ぎるせいで聞こえなかったらしい。まだ何も言ってないけど。

それに聞き直すのはやめてほしい。これ心にくるんだ。


「……」


「……」


 俺が喋らない(喋れない)せいで気まずい雰囲気になってしまった。いつも通りなんだが。

 世の中には「逃げるが勝ち」という世間一般から見れば意味不明な言葉があるが、俺は結構重宝している。だって会話する必要ないし。


 そうなれば話は早い。倒れているもう1人の少女を治して、とんずらだ。

 俺は倒れている少女の元へ歩いていく。


「何をなさるんですか?」


 今から使うヒール系統の魔法には、この魔法の特徴にて最大の弱点がある。そうそれは対象となる物体に触れなければいけないことだ。

 つまり俺は今から女子に触らなければいけない。

 

 俺の脳内は不安でいっぱいだった。本人に無断で触れたりして変態扱いされ、挙句に治安部隊に通報されたりしないのかな、と。

 

 そんなことを悩んでいても時間は過ぎて行くばかり。俺は、意を決して女子を触った。そう小指一本だけで、一番安全そうな掌に。

 

ふに


 ああ、やわら……おっとそうじゃない。ヒールを発動させてっと。


 俺がヒールをかけた瞬間から、傷だらけのからだがみるみる治っていく。

 

「っ!嘘でしょう!?」


 アーリンという少女は俺のかけた魔法に絶句していた。へぇ、俺がかけた魔法がわかるってことは相当名門の令嬢なんだろうなぁ。

 

 ていうか気安く名前読んでも大丈夫かな……

 俺は心の中で呟いただけなのに、大丈夫かなと気にしてしまう。


 これ以上ここにいても、からだが持たないと、悟った俺はテレポートを発動させて、サッサっと逃げることにした。

 

 少女は俺の魔法発動に気付いたようだ。


「まっ、待ってください!まだお礼もできていません!それにお名前も!」


 少女は何やら呟いているがテレポート時には一時的に、聴覚難になるという効果によって耳には入ってこなかった。


(いってしまう!せめて、せめて移動先だけでも!)


 ん?自分への魔法干渉が?だれからだ?

 と、思っていると、相手は目の前の少女だった。


 んー【アナライズ】か。移動先を特定しようとしているのか。ついてこられても話せないし、偽造しておくか……


 俺はアナライズの結果で、本来の目的地であるヤーナ街ではなく、その一個隣のラナマまちが出るよう偽造した。

 

 よしこれで完了っと。これから彷徨う少女達には申し訳ないと思いつつ、今日の夕ご飯何にしようかなと考えながらテレポートした



投稿は気が向いたらします。

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