ナギサの現実2
シリアス回注意。
私たちは談話室に移動した。
「今日は娘のお見舞いに来ていただきありがとうございます。それで、申し訳ありませんが、娘とはどういう関係で?」
ナギサちゃんのお母さんの顔には不審が浮かんでいる。それもしょうがない。私たち、年齢層もバラバラだし病院で寝ているナギサちゃんと知り合う機会なんてないはずなんだから。
とりあえず、「友達」だって言っても納得しそうにない雰囲気だ。
「まず、自己紹介させてください。僕の名前は一茶。それで、こちらがカブ……」
「カブ? カブといいましたか?」
お母さんの顔の色が変わった。
「ああ、俺がカブです」
「それじゃあひょっとしてこちらの方がエト?」
「ええ。そうです、私はエトです」
お母さんの顔に困惑が浮かんだ。
途中で遮られた一茶さんの顔が固まっているのはこの際無視だ。
「ええ、その、確かに娘から2人のお話は聞いています。他にも中村さんとのりこちゃんという友達がいると……」
あれ、一茶さんは入っていないんだ。
「でも、おかしいんです。そんなこと、有り得ない」
「なにが有り得ないんですか?」
「娘が、事故に遭ったのは今年の4月なんです。それからしばらく昏睡状態が続いて、目を覚ましたのが7月の下旬……」
時期的に、私たちがコンクエストを終了した頃かな。
「それからしばらくして娘はカブさんたちのことを話すようになったんです。スライムとか出てくるし、娘の夢か妄想だと思っていたんですけど」
「本当のことですよ。理解は難しいかもしれませんが本当のことです」
「そう、なんですか……」
納得したわけではないのだろうが、お母さんはそう言って私たちを受け入れることにしたようだ。
私は、口を開いた。
「それで、ナギサちゃんの容体は……」
そう言うと、お母さんは目に大粒の涙を浮かべて嗚咽を漏らした。
慌てて一茶さんが立ち上がりお母さんの背中を撫でた。
「むすめ、、もう、来年まで持たないって……」
「そんなに悪いんですか!」
「お母さん、落ち着いて。もし他になにか助かる手段があるならなんとかしますから」
「そうです。下品な話、お金の問題なら僕たちで相当額援助できますので」
一茶さんがそう言うと、お母さんは首を横に振った。
「駄目なんです。もう内臓がいくつも壊れてしまって、移植するにも何個もだし、娘の体力が手術に耐えられないって……」
お母さんは大声で泣き出してしまった。
私たちは、それをただ見ていることしかできなかった。
共に泣くこともできず、慰めることもできず、
私たちは、ただ見ていることしかできなかった。
1時間後の21時に次話投稿いたします。




