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週末は、異世界行って金稼ぎ  作者: 浅野 
海外旅行と淡い恋
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動き出す世界 後編

「どういう意味だ?」


 それに答えたのは、貴美子さんだった。


「こちらとあちらの明確な違いは? 例えばモンスターはこちらの世界にいないし魔法もないな」


「……そりゃそうだろ」


「それが解消される、ということは、だ。こちらの世界で魔法が使えるようになり、モンスターが出現するようになる、ということだ」


 そういえば、一茶が前に『ニューワールド』はベータ版だって言ってたな。

 ベータ版ってことは限定公開の未完成品ってことだ。


 それじゃあ完成版は?

 どこに公開するんだ?


「あるいは向うの世界で魔法が使えなくなるかもしれぬな。どうなるかはわからん。だから、我々は最悪を想定して行動せねばならんのだ」


「最悪、ねえ。そりゃなんだ?」


「パラダイムシフト」


 ……よく一茶が口にしている言葉だ。


「簡単に言うなら価値観の変更」


「それが困るのか?」


「困るのお。現在の価値観でうまくいってる人間としてはなあ」


「じゃあどうすんだ? 阻止でもしてみるか?」


「可能なら。だが、残念だが、阻止する方法もない」


 ま、そうかもな。俺たちだって、なんで週末に異世界行ってるのかなんてことすらわかってないんだから。


「ともかく、我々は今後訪れるだろう変化に対応するために備えねばならんのじゃ」


「悪いけど、難しいことは俺にはわからんよ。結局俺にどうして欲しいって?」


「情報が欲しい」


 老人は言った。


「現在情報が錯綜していてのお。それぞれが勝手に動いていてまとまりがないからの」


「それをまとめろって?」


 ちなみに言うと、プレイヤーはどれくらいいるのか?

 一茶の試算によると5000人くらいらしい。

 レイドバトルが始まったことによりわかったとのこと。

 逆にいえば、その程度のことも今まではわからなかったってことだ。

 言われた通り、今まではそれぞれがそれぞれ勝手にやってたからな。交流の場は今でも怪しい掲示板とレイドバトルだけだし。


「まとめる役は友澤の孫がやるだろう。この夏に色々動いているようじゃ」


 あの変眉か。


「とりあえず、じゃが、儂がカブくんに求めるのは、それを邪魔しないことだな」


「情報が欲しいんじゃねえの?」


「まとまった情報は友澤から貰う。個別の情報はすでに君と同じ立場のプレイヤーを20人ほど専属契約しておるので、そこから仕入れる」


「わかんねえなあ。そいつらと比べて、俺たちが特に優れてるって情報はないはずだぜ」


 実際は頭幾つかヘブンズウルフのほうが優れてる確信があるが、現状の制限された情報内からは読み取れないはずだ。


「内容的にはそうかもしれん。だが。現実世界で金銭を得、官僚とコネクションを結び、武器を確保する行動をしたのは君たちだけじゃ」


 ま、ちびちびと金稼ぎしてるやつはいるかもしれないが、そこまでやってんのは俺たちだけだろうな。


「儂の人生哲学は『結果は行動に依る』じゃ。なにもやらなければなにも得られんし、やれば結果は出る。もっとも、変数があるため言うほど簡単にはいかんのじゃが」


 一茶、喜べ。褒められてるぞ。


「高評価はありがたく受け取っておくよ」


 食後のデザートは揚げバナナだ。

 中はふんわり、外はカリカリ。

 日本人にはあまり馴染みがないが、普通にうめえ。

 最悪、日本でホームレスになるまで追い詰められたらこれの屋台でひと稼ぎしよう。


「それともうひとつ、モンスターが現実世界に現れた時の対処法が必要になる。具体的に言うと、現代兵器はモンスターに有効かどうか」


「それは、大丈夫だと思う。じゃなければわざわざ外国まで買い付けになんか来ねえよ」


「それは、今後もか?」


 俺は答えようとして、口ごもった。


 そういえば一茶がなんか言ってたな。


 ゴブリンの科学技術がなんとか……。










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