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週末は、異世界行って金稼ぎ  作者: 浅野 
海外旅行と淡い恋
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商談開始

会場へは2度目のID確認と金属探知機のゲートを通り過ぎることで入場した。


「お、一茶。セントリーガンがあるぞ。イオにやれば喜ぶんじゃねえか?」


「カブ殿カブ殿! 光学迷彩のドローンですぞ! こっちは虫型静音ドローン!」


 会場内を小走りで回るカブくんと福留くん。

 まるで子供のよう……。

 いや、実際に子供なのだろう。

 まだ、16歳だ。

 当時の私といえば、ああ、親友に騙されて中東で傭兵やってた頃だ。あの頃のことはあまり思い出したくない。


 私は考えを切り替えるために視線をブースに向けた。


 そこは、シュトーク社のブースだった。

 そこに置かれているのはアンチマテリアルライフル。

 だが、やけにごつい。重量は4~50キロはありそうだ。

 そして、並列して並べられている薬莢のない銃弾。

 薬莢がない、つまり薬莢を必要としない銃……。


「特注品か? ひょっとして、実用化したのか?」


 ネームプレートを見る。


 チーヨウ。

 蚩尤。


 確か、中国の悪神で兵器の発明家だ。


「興味あるかね?」


 隣に立っていたのは、老人だった。日焼けした浅黒い肌。もっさりとした白い顎ひげ。

 スーツの上からでもわかる筋肉隆々たる体躯。

 年齢こそ60か、ひょっとしたら70絡みかもしれないが、この人をただの老人とするなら自分の目は節穴だろう。


「ご老体。実用化しましたか?」


「うむ。まだ試作段階の一点ものだがな」


 そう言ってご老体は40キロはある蚩尤を軽々と持ち上げた。

 それを私に渡そうとする、ところでカブくんに呼ばれた。


「貴美子さ~ん、行くよ」


 なんのてらいもなく大声で呼ばれるとこっちが恥ずかしくなる。が、全幅の信頼を寄せられているようで面映ゆい。


「申し訳ないがご老体、連れが呼んでいるので失礼する」


「ふむ。興味があるならまた声をかけなさい」


 私は老人に頭を下げるとその場を去った。

 そして向かった先は、シュトーク社のブースの奥だった。


「ずいぶんと遅い到着ですな」


 その男はいかにも神経質そうに銀縁メガネの位置を中指で調整した。

 まだ30代だろうその男は、銀髪をぴっちりと後ろに撫でつけ、ブランド物のスーツを隙なく着こなしている。

 う~ん、崩しがなく、欠点を一切見せないあたりが典型的な『超エリート』といった感じだ。

 おそらく10代で大学の学位を取り、その後博士号を複数所持してから企業に就職したのだろう。

 年収は100万ドルを超えている。

 今まで思い通りに歩んできてしかもそれでうまくいっている。だから自分の行いこそが正しいと確信している。

 一方で挫折を知らないため、案外逆境には弱い。

 以上が勝手なプロファイルだが、そんな感じの男が目の前にいた。




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