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週末は、異世界行って金稼ぎ  作者: 浅野 
クラン結成
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レイドバトルでリクルート4

「どう? 僕の仲間は」


 隣で固まっている祥子女史に声を掛ける。


「ま、まあ。少しはやるわね」


 祥子女史は視線を反らしてそう言った。


 僕は苦笑すると、完成した直径1メートルの白い繭を頭上に放り投げた。

 繭はゆっくりと上昇していき、ある一定の高度に達すると弾けてしだれ花火のように落下した。


 中級魔法『スペルスパイダーネット』だ。


 攻撃力はないが動きを阻害する効果がある。

 フライングエイプたちは無数に垂れ下がる糸に触れ、飛行を阻害されて落下する。落下しなくても粘着力のある糸にまとわりつかれて飛行能力を大きく落とし、運よく糸に触れなくても眼前を覆うような大量の糸に行動を妨害される。


 実はこれ、カブ対策だったりする。

 もちろんカブと敵対するつもりはない。

 カブが飛行を覚えて成果を上げることにより、そのスタイルが極めて有用だということを実証した。

 逆に言えばそれはやられたら困ることでもあるわけで、そのための対策というわけだ。


「いやいや、お見事ですな」


 フライングエイプはその数を減らしていき、もはや数える程度になった、そんな時に声を掛けられた。


 そこにいたのは、先ほど落下した立て巻ロールの少女と、控えめに言って肉体労働に従事していてはなり得ない体型をした男だった。


「祥子!」


「麗華! 無事なのね?」


 祥子女史と麗華と呼ばれた少女は再会を喜び会う。横にいる太った男を無視して。


「知り合い?」


「ええ。我ら、クラン名『3B』のメンバーです」


「3B? なんの略だ?」


「boring,boring,boring(退屈、退屈!退屈!!)です」


「それはそれは……」


「自己紹介が遅れましたな。私、半沢祐樹と申します。以後お見知りおきを」


「おう、俺がカブでこいつが一茶」

「エトです」

「私、ナギサ。あとのりこちゃんに中村さん」


「ほう、一風変わったお仲間ですな。よろしくお願いします」


「よろ」

 よろ

 ぷるりん♪


 でっぷりとしたお腹を揺らしながらスライムに頭を下げる半沢さん。


「ところで、そちらのクラン、メンバーに空きはありませんかな?」


「あん? どういう意味だ?」


「いや~、じつは私、今いるクランで虐げられていまして……」


 ああ、なんとなくわかる。今現在ですら同じクランメンバーである女2人から無視されているし。


「おい、片メガネ。おまえ、いじめしてんのか?」


「か、片メガネ?」


 祥子女史はカブに変な仇名を付けられて愕然とする。うん、学校ではまず見られない表情だ。


「イジメというのは心外だな。能力に比例する正当な評価をしているだけよ。彼にジョブ、聞いてみなさい」


「ジョブ? なんだよ」


「『自宅警備員』です」


「……」

「……」

「……」


「……あ~っと、うちに来ても役立たずだったら扱い変わんねえぞ」


 実は、カブにはこういうところがある。

 弱肉強食を肯定しているというか、弱者救済に興味がないというか。


「大丈夫です! きっと役に立ちますぞ!」


 カブは、困ったように僕を見た。


「まあ、いいんじゃない?」


「いいのかよ」


「奇貨置くべしってね」


 『自宅警備員』。地雷臭はプンプンするが、レアジョブなのは間違いない。

 なにか役に立つかもしれないし、そうなった時、祥子女史の鼻を明かすのはなかなか見物だろう。

 それに、使えなければ切ればいいだけだしね。


「あ、終わった」


 ぽつりとエトちゃんが呟いた。

 どうやらレイドボスだろう一際大きな個体が倒されたようだ。

 スペルスパイダーネットによって飛行できずに地面に引き摺り降ろされ、集団で囲まれて嬲り殺しにされたようだ。

 自分でやっておいてなんだけど、少し同情が湧く。


「なんだ。もうちっと強いのが出てくると期待していたんだけどな」


「あんまり活躍できないで終わっちゃいましたね」


 まあ確かにそうだが、死者がほとんどいないのはかなりの戦績だ。

 前回といい、報告例に見るレイドバトルといい、死者数は3割4割は普通に出ている。多いところでは8割とかもあるし、全滅したところは報告例すら上がらない。

 そう考えるなら、今回のレイドバトルは大勝利といえるだろう。


 そして、それを生み出したのは僕たち『ヘブンズウルフ』。

 実入りは少なかったけど、広告費として考えたのなら上々だろう。



 後日譚。



「あ~、紹介する。『自宅警備員』だ」


「カブ氏、その紹介はあまりといえばあまりな仕打ち!」


「うるせえ、事実だろうが!」


 カブは涙目で縋る半沢くんを蹴り飛ばした。


 咳払いをして、ダイゴが聞いた。


「名前は?」


「そうです、な。私もコードネーム的なものが欲しいですな。それじゃあ、ベンで」


「どっから出た、それ」


「私のスキルに『内弁慶』というのがありまして、それで」


「……」

「……」

「……」


「ねえねえ、ベン。好きなアニメは?」


 周りの空気をまるっきり読まないブリちゃんが聞く。


「それは今期の、という意味ですかな? それならメロン記念日ビーストサイドですな」


「あ、あれ面白いよね!」


「え~、あれグロくない?」


 アニメ談義を始める新人とブリちゃんケイちゃん。


「……アニオタが増えた」


 と、頭を抱えるイオちゃん。


 こうして、ヘブンズウルフに9人目のメンバーが加入したのだった。

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