クラン結成3
「合法、なんですか?」
「一応な。正確には法整備が整っていない現状、脱法と言われるかもしれんが」
「どうやって?」
「企業秘密、といいたいところだけど、まあ、君たちにならいいか」
「真似もできんしな。ぶっちゃけると買い取ってくれるところがあるんだよ。俺たちはそこと専属契約しているんだ」
「僕たちはすでに換金ルートを確立していてそれで荒稼ぎしている。だから、この路線を変更するつもりはない。僕たちが君たちに求めるのは、協力。悪い言い方をすれば、君たちに反対されてもやめる気はないしね」
「私、協力する!」
そう言ったのは放心状態から回復したケイだ。
「だってそうすれば100万貰えるんでしょ!? そりゃやるっしょ!」
「短絡的すぎでしょ!」
「僕も賛成かな」
「ダイゴ?」
「コンクエストモードで、カブたちのことは見てきたし。もちろん完全に理解してるなんて傲慢言うつもりはないけど、カブたちは信頼するに足る人たちだと思う」
全員の視線が私に集まる。
私も、否はない。この人たちを放置するのもどうかと思うし。
けど……。
「ひとつ、条件があります。労働者としてではなく管理職として迎えてください」
一茶さんはにっこりと笑った。
「もちろん。こっちも黙って従え、なんて言うつもりないし」
「それじゃあ全員賛成?」
「ナギサちゃんは?」
「あいつならのりこ餌にすれば反対しないだろ」
「それじゃあそれじゃあクラン名決めようよ!」
「格好いいやつ!」
その後は喧々囂々、私たちは歌も歌わずクラン名を決めるのに討論した。
「駄目! それじゃあ中二心が足りない!」
「変な縛り入れんな!」
「イオちゃんなんか案ある?」
「案てほどでもないですけど、クランの特色出したいですね」
「特色?」
「え~っと、のりこちゃんと中村さん」
「犬とスライム?」
「犬ならハウンドドッグとか?」
「唸る犬はちょっと……」
「のりこは犬じゃなくてオオカミです!」
「オオカミ、ねえ。ステッペンウルフ(草原の狼)とか」
「……いいじゃない」
「ねえ?」
ケイとブリさんが落ちた。
「草原、より、空はどうです? 私とカブさん空飛んでるし」
「スカイウルフ?」
「なんか航空会社でありそうで嫌だな」
「右に同じ」
ケイとブリさんが反対した。
「空、大空。ヘブン。ヘブンズウルフは?」
「……いいじゃない」
「ねえ?」
「中村さん要素は?」
「うん、悪くないね。僕も賛成」
「私も、いいと思います!」
「おい無視すんな、スライム要素どこにあるんだよ?」
私は皆に無視されるカブさんの肩を叩いて慰めた。
「おっと、時間だ。カブ、出るよ」
「マジかよ。一曲も歌ってねえぞ」
カブさんと一茶さんは立ち上がった。
「どこか行くんですか?」
「ああ。ちょっと軍務省にな。おまえらは残っていていいぞ」
「軍務省? 軍務省ってあの大蔵省とか文化省とかと同じ官公省庁の?」
「? 他にあんのか?」
カブさんたちのやっていることってお役所絡み?
安易に賛成したけど、私たちのやろうとしていることは単純なお金稼ぎではなく、もっと大きなことかもしれない。
私はその時そう思った。
そして。
たぶん私だけじゃないだろう。ひょっとしたら仕掛け人の一茶さん自身も想像していなかったかもしれない。
私たちのクラン『ヘブンズウルフ』が今後、世界中にその名を轟かせることになるなんて。




