クラン結成2
「乾杯!」
私はグラスに口を付けた。
「カブ! アルコールは? ビールはあり?」
「ビールは無しだ。おまえ、酔い癖悪そうだし」
「酔わねーし! 私、酒強えーし!」
ものすごく嘘くさい。
「ところでカブ」
「ん、どうした、ダイゴ」
「さっき『ここは俺たち持ち』って言ってたけどカブもお金出すの?」
「ああ、そうだが?」
「一茶はともかく、カブはあまりお金持ってなさそうだけど」
「なんだよ、つっかかるな。土木作業って、きついけど実入りいいんだぜ」
じっとカブさんを見るダイゴ。
「……わかったわかった。正確には俺と一茶だけじゃなくてエトとブリも金出してるよ」
「は? 私も!?」
「前言撤回。ブリは出してねーや。ほとんどポイント、スナック菓子にしてたし」
「どーゆー意味よ!」
「以前に貯めたプール金あっただろ? そこから出してんだよ」
「ごめん、意味がわからないんだけど。それとちょっと気持ち悪い」
カブさんは首を一茶さんに向けた。
「……そうだね。後で話そうとおもっていただけど先にすっきりさせちゃおうか。まず、今日集まってもらったのは2つの目的があったんだ。ひとつはコンクエストモードの慰労会」
「もうひとつは?」
「クランへの勧誘」
クランは、わかりやすく言うなら異世界『ニューワールド』におけるチームみたいなものだ。クランを結成すれば人数を増やせるしクランポイントというのも入るし、けっこういいこと尽くめだ。
だけど、私もダイゴが感じている気持ち悪さを理解した。
「勧誘、ですか?」
「そう、勧誘」
「そちらが4人、こちらもナギサを入れて4人なら対等な合併なはずですよね。でも、こちらがそちらに吸収される、そんなニュアンスを感じます」
そう、対等じゃない。これが気持ち悪さの原因だ。
むこうが上、こっちが下。
対等なら、ここの代金も出してもらう言われはないのだ。
「……ごちゃごちゃ言うより現物見せたほうが早いな。一茶」
「ん……」
一茶さんはカブさんに薄い封筒を渡した。
カブさんはそれを、ダイゴ、ケイ、私の前に放る。
私はそれを掴んだ。
なんだろう、紙の、束?
「札束だったりして~、、、……アあ~ぁぁ」
ケイは封筒の中を見てその場でへたり込んでしまった。
私は封筒の中身を取り出した。
それは、1万円の束だった。帯が付いてるから100万円?
「……本物?」
「正真正銘の、な。今すぐ銀行に行ったって問題ねえよ」
「これ、『ニューワールド』から持ってきた物資を換金して作ったお金なんだ」
そのことは私も考えた。
この4月から異世界『ニューワールド』に週1度、強制で3時間ほど拘束される。その時間をなんとか有効活用できないか? 露骨な言い方をするなら、お金にできないか?
私以外にも考えた人は多いだろう。だが、成功例はあまり聞かない。
極端な話、換金がうまくいかないのだ。
もっとも換金率の高いとされるゴールドを現実世界に持ってきても、ひょっとしたら1回か2回ならうまくいくかもしれないが、何度も足を運べば怪しまれるに決まってる。そうすると、当然出所を聞かれるが、異世界から持ってきました、なんて言ったって信じてもらえるわけがないのだ。




