ゲームセンター1
「きゃあきゃあきゃあ!」
隣で可愛らしい悲鳴を上げるエト。眼前には大量のゾンビが迫ってくる。
「無駄弾撃つな~。近づいてヘッドショットできる距離になったら、ほら、撃て!」
俺とエトはゾンビを倒しまくった。
ゲームの話だ。
今日はブリのゴリ押しにより秋葉原のゲーセンに来ているのだ。
最近の土曜日は作戦会議と称して集まって一緒に飯を食うってことをしている。
んで、今日は秋葉原ってんでブリが張り切って色々連れまわしてるわけだ。
俺とエトがやっているのはガンシューティングの協力プレイ。
横を見るとブリがリズムゲーで無双している。クリアするごとに歓声を上げるギャラリーとドヤ顔でポーズを決めるブリ。手馴れてやがる。
一茶はひとり黙々と落ちゲー(テトリスみたいなの)をしている。……めちゃくちゃ速いけど、あれ、レベルいくつだ?
こういっちゃなんだが、すげー遊んでる。ひとりでゲーセンなんてまず入らないが、行ってみると楽しいもんだ。
「かぶさ~ん!」
コンテニューしまくってラスボスを倒したエトは手を掲げてくる。俺はその手に自分の手を合わせてハイタッチ。
なんか踊りだしそうなほどエトはご機嫌だ。
「なに飲む?」
「あ、それじゃあお茶を」
「お茶でいいのか?」
「……コーラで」
「あいよ」
俺は自販機横に置いてある簡易ベンチに座っているエトに缶コーラを渡した。
それをおいしそうにくぴくぴと飲むエト。
「ゲームセンターにコーラなんてすごい不良ですねえ♪」
お嬢様の価値基準はよくわからん。
「ふう、ちょっと休憩」
ブリがエトの隣に座り、それを見た一茶がゲームを切り上げてこちらに歩いてくる。
「ブリさん、いつもゲームセンターで遊んでるんですか?」
「そんな頻繁じゃないわよ。週に7,8回くらい」
「十分頻繁だ」
「他にもカラオケ行ったりクレープ食べに行ったりしてるし~。でも、基本遊ぶのは池袋だけど」
「埼玉県民が」
「成増は東京だごらあ!」
「はいはい、大声出さない」
一茶に宥められるブリ。ざまあ。
「でも、学校の友達、あんまり秋葉原好きじゃないんだよね~。だから、あんまり付き合ってもらえない」
「ギャル系?」
「ギャル系」
それじゃあ確かに秋葉原の受けはよくないだろうな。
ブリは実は、中身はアニメにゲーム、漫画と隙無く網羅するオタクだが、見た目は普通のギャルで、そっち系の話題も遜色なくできる多芸なやつなんだよな。
「これから『暗黒大魔王ゴルゴンゾーラ』の1期と3期の円盤探しに行くから手伝いなさいよ」
「ゴルゴンゾーラってチーズじゃなかった?」
「ブリさん、2期はいいんですか?」
「……いい、エトちゃん。今から重要なことを言うわよ。『2期なんてなかった』」
「え? え?」
「りぴーとあふたみ~。『2期なんてなかった』」
「に、にきなんてなかった」
「えぐざくとりぃ!」




