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週末は、異世界行って金稼ぎ  作者: 浅野 
コンクエストでチート獲得!
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取調室

 ……、……んで、今、俺は警察の取り調べ室にいる。


「いつになったら話すんだ?」


「プリーズコンタクトジャパニーズエンバシー」


「ここは日本だ!」


 机をおもいきり叩く刑事さん。

 取調べ室の扉は開いている。密室での取調べを避けるため、という名目だが、そもそも警察署の2階の奥まった場所、つまりは身内の警察官しかいない場所だ。

 こんな恐喝まがいのことをしてもなんの問題もないわけだ。


「だからあ、こっちは絡まれただけだって。やりすぎたのは悪かったと思うけどなんでこんな取調べ受けてんだよ!」


「そっちのことはどうでもいい! 持っていたゴールドのことだ!」


「高校生がゴールド持ってちゃ悪いのか?」


「時価にして1600万! 明らかにおかしいだろ!」


「だから、それってなんか違法なん?」


「ふざけるな!」


 そう言って俺の胸倉を掴む刑事さん。20代前半の、まだ『お若い』刑事さんだ。俺みたいなガキにおちょくられたら切れるわな。


「は~い、そこまで。それ以上は色々まずいからやめときましょうね」


 そう言ったのは、入り口に立っている女だ。

 歳は30絡み、左唇の横に黒子、特徴は胸がでかいこと。

 俺は、こいつのおかげで異性の胸に幻想を抱かなくなった。


「なんだおまえは!」


 よせばいいのに、刑事さんは俺を突き飛ばすと女に詰め寄った。

 女はわざとらしいため息を吐くと、掴みかかってくる刑事さんの手を取って足を払った。

 刑事さんはなにが起こったのかわからずに地面に倒れた。その顔を、女はヒールで踏んだ。バイオレンスだ。


「こ、公務執行ぼう、ぐえ!」


 なにかを言おうとする刑事さんを女は踏みつける。


「気をつけなさい。一般人にそんな態度取ったら左遷程度では済ませないから」


「その辺にしておいてやれよ」


 俺が助け舟を出すと、女は小走りに俺の元に寄り、その無駄にでかい胸で俺の頭を抱き、ヘッドロックしてトンガリナックルで俺の坊主頭を削りだした。


「い、いで(痛)~~~!」


「このガキ! 最近は大人しくなったと思ったら、また厄介ごとをこさえやがって!」


「ま、まで、話を聞け!」


「うるさい! せっかくのデートを台無しにしやがって!」


 デート?


「はいはい、そこまで。話、進まないから」


 そう言ったのは、男だった。

 30絡み、天パーに野暮ったいメガネ。例えるなら、ポスドクの冴えない研究者って感じだ。


 男は石田亮で女は葛岡陽子。

 俺の兄貴と姉貴で、隣人で、昔馴染みで、まあ、そんな関係の奴だ。


「藤次、久しぶり。元気そうで安心したよ」


「亮兄、久しぶり。最後に会ったのは高校の入学式後、飯奢ってもらった時だから1年ぶりくらいだな」


「もうそんなになるか。時が過ぎるのは早いなあ」


「おっさん、さっさと結婚しろ、痛って!」


「ガキ! 余計なこと言うな!」


 なんか懐かしい。小学生のときは、これに俺の母親を含めて4人でこんな会話をいつもしていた。


「それで、会うのも避けていた藤次がどういう風の吹き回しだい? 普段だったら留置所に入っても助けてくれなんて言わないだろ?」


「ああ、それは、それ」


 俺は机に置いてあるバッグを指差した。


 陽子姉はそれを開けた、瞬間、俺の頭を叩いた。俺が馬鹿な理由の数パーセントはこいつに頭を叩かれ続けたからかもしれない。


「なにかわかったら連絡しろって言っておいただろーが!」


「だから連絡したんだろ!」


「……どういうこと?」


 バッグの中に入っていたのはゴールド4キロだ。

 ひとり、話についていけない亮兄。


「……最近、未成年の間でゴールドが出回っているのよ」


「ゴールド? 薬物とかじゃなくて? 意味がわからないな」


「だからこいつに知ってること聞いてたのに」


「それなら連絡してきたということはそれなりの回答を持っているってことかい?」


「知らん」


 俺はそっぽを向いた。だって、異世界から持ってきましたなんて言えないし。

 が、手を振り上げる陽子姉に慌てて弁解する。


「俺は無理だが、説明できるやつを知っているから!」


「本当でしょうね!」


 俺は頷いた。


 んで、警察署を出て一茶に会わせようと思ったが、そうは問屋が卸さなかった。


「いい加減にしろ!」


 今まで空気だった刑事さんだ。


「てめえら、ただじゃすませないからな! 絶対有罪にしてやる!」


 ……めんどくさ。


 刑事さんは大声を出して、周りの警察官を、つまり身内を集めた。それで余裕を得て笑みを浮かべる、が、仲間であるはずの同僚数人に羽交い絞めにされた。


「な、なんで!?」


 混乱する刑事さんを無視し、年配の警察官が陽子姉に頭を下げた。


「失礼しました。処理はこちらでやっておきますので」


「躾がなってないわねえ。罰は交番に差し戻し、程度じゃ足りないかしら」


「それは……、彼も生活がありますので、ご勘弁を」


 そう言って頭を下げた。

 陽子姉はそれを無視してさっさと歩き出した。

 この暴力姉、これでも警察省のキャリア官僚なのだ。

 年配の警察官は知っていたようだが、若い刑事は知らなかったのだろう。

 ま、知らなかったとはいえ上司の胸倉掴もうとしたらまずいわな。


「あれ、所轄いじめってんだろ? あんまりパワハラすんなよ」


「ば~か、テレビの見すぎだ。実際は本省と所轄は仲がいいから」


 キャリアといえども兵隊のノンキャリアがいなければ戦争にならないし、所轄勤めも往々にしてある。

 仲が悪ければ仕事にならないとキャリア官僚様は言うが、ノンキャリアの人の意見も聞いてみたいものだ。





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