ステータスと魔法
結論を言うなら、舐めてた。
今までいたゴブリン役が、ゴブリンジェネラルになって50体、100体と沸いて出たのだ。
さらにそれを統率するのは、身長2メートルを余裕で超えるゴブリン、俺達はそいつをキングと名付けた。
参考までに言うと、普通のゴブリンは身長120センチくらいでジェネラルは180センチくらい。
キングにも毒矢は効くのでダークネスでスニーキングして奇襲という戦法は有効だったが、難易度は格段に上がった。
ちなみに、今の俺のステータス。
カブ Lv23
メインジョブ アサシン
サブジョブ 下級魔法使い
筋力 6
知覚 8(+1)
耐久 8
カリスマ 4
知性 4
敏捷 7(+3)
運 2(+1)
魔力 27
スキル
体力回復中 上級
体力回復大 初級
体力回復微 初級
連続魔法発動 中級
下級魔法 中級
暗殺 初級
スニーキング 初級
称号
実戦主義
マスター
シューター(知覚+1 敏捷+1)
スロット3/3
シューターがマスターになったので、代わりにメインジョブに暗殺者を選んだ。
『アサシン(暗殺者)』
補正 敏捷+2 運+1
ジョブスキル
暗殺
スニーキング
取得条件 レベル20以上
知覚 6以上
敏捷 6以上
暗殺は敵に知覚されていない状態で攻撃が当たるとクリティカルヒットになるスキル。
スニーキングは敵に見つかり難くなるスキル。
最近の戦法はボウガンで敵リーダーを狙撃するところから始めるから、持って来いのジョブだ。なんか格好いいし。
それと、魔力回復を増すために体力回復大と体力回復微をスキルスロットに入れた。連続魔法発動がなにげに魔力喰いなのだ。
一茶はなんか苦虫噛み潰したみたいな顔してたけど。
シューターのスキル、射撃と狙撃はマスタークラスになった時にスキル欄から消えた。
つっても能力減退した感じもないから普通にアクティブになって残っているっぽい。
ついでにシューターの能力補正も残ったままだ。
最近知ったのだが、能力値の上限は現状10らしい。
能力値の例えを運動部で言うと、5で日本人高校生運動部の平均、6で県大会常連クラス、7で全国大会クラス、8で全国優勝クラス、9はオリンピック出場クラス、上限の10でオリンピック決勝クラス、11になれば金メダルクラスで12にもなれば世界新記録クラスとのこと。
ポイントで上げると10が限界だが、マスターの補正を使えばいくらでも伸ばせるみたいだ。
「そういえば魔力と知性が上がった」
魔力は最近は空になるまで使ってるからわかるが、なぜ知性?
「魔法ってけっこう頭使いますから、だからじゃないですか?」
確かに魔法は頭を使う。
最近では魔法発動は数学の問題に例えられてる。
下級は四則演算で発動まで1~10秒くらい。
中級は高校受験クラスの単問で1~10分くらい。
上級は大学受験クラスの入試問題で上限なし。下手したら3時間以上かかるし、9割は正解しないと不発に終わるという鬼畜ぶり。
それだけに強力で、戦術兵器並みの威力があるらしいのだが。
「そういえばカブ、知り合いいたよね」
「あん? なんのだ?」
「ほら、いつもふぐ送ってくれる」
「ああ、士郎か」
遠野士郎、山口県にいるプレイヤーだ。月数万円で毒入りふぐを送ってもらっていたりする。
士郎たち、というか他の多くのプレイヤーはまだ現実での換金システムが確立できてないらしく、ふぐ代を払うとけっこう感謝してくれる。
「彼、味方としてどう?」
「悪くないと思う。直接会ったのは一回で他はメールだから実際のところわからんけど」
「とりあえず連絡取ってみてよ。せっかくの縁故だし」
「責任持てんぞ」
翌日、とりあえず俺は登録してある番号に電話した。
『……もしもし?』
「士郎? 俺、カブ。直接話すのは久しぶりだな」
『……悪い、どこのカブ?』
「ふざけてんのか? いつもふぐ送ってもらってんだろ?」
『ごめん、マジでわからない』
「おまえ、遠野士郎だよな」
『そうだけど』
「……宮澤麗華って知ってるか?」
『……誰?』
俺は携帯を切って坊主頭を掻いた。
「マジかよ」
心当たりは、ある。俺はそれを確認するためにブリに電話した。
『……赤か、青か。あ、蟹だ』
「普通に面白いが朝からキメすぎだろ」
『別に薬なんてやってません~! それよりなんの用よ』
「宮澤麗華っていただろ? そいつと連絡取ってくれ」
『なんでよ? ひょっとして狙ってんの? やめとき、あいつ、性格最悪だから』
「おまえよりはマシだろ。そうじゃなくてだな。あいつの仲間の遠野士郎。死んだっぽい」
『……ふぐの人?』
「そ、ふぐの人」
「ニューワールド」で死ぬとどうなるか?
結論から言うならなにもない。なにもないことになる。
ペナルティは、ニューワールドでのことを完全に忘れるだけだ。
死亡し、そのクールタイム内で蘇生されないと、まず死亡した本人が全てを忘れる。その後、数日で周りの記憶からも消え、1週間以内に、すごいことに電子機器の記録に至るまで抹消されるらしい。
死んだ本人にしてみれば、「ニューワールド」以前の普通の生活に戻るだけだ。
掲示板の書き込みなど1部が藻屑として残る程度だそうだ(一茶曰くこの辺の緩さもニューワールドの作りの甘さ、とのこと)。
士郎は、俺のことも、仲間である麗華のことも忘れていた。
おそらく前回のクールタイムで死亡した可能性が高い。
想像で言うなら、深化して敵が強くなったにも関わらず、今までどおり戦って逆撃喰らったってところか。
ブリからの返信は、10分もしない内にあった。
『……死んだって』
「そうか」
俺はそれだけ言って携帯を切った。




