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週末は、異世界行って金稼ぎ  作者: 浅野 
コンクエストでチート獲得!
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お寺で勉強会2(カブ)

 そんなことを話していると「ぴぎゃあ!」という間の抜けた悲鳴が聞こえた。


 俺はエトと目を合わせると、足を早めた。


 そこにいたのは、一茶に警策(座禅の時に肩を叩く棒)でぶっ叩かれて涙目になっているブリだった。


「あ、エトちゃん、来たね」


「一茶さん、ブリさん、おはようございます。なにやってるんですか?」


「いやあ、ブリちゃんがサボるからね。少しお仕置き」


「エトちゃん、助けて! 鬼よ! こいつ鬼よ!」


 エトの足にすがり付くブリ。


「……なにしたんですか?」


「たいしたことじゃないよ。教科書の音読だけ」


「? それが、どうして?」


「ブリちゃん、サボろうとするんだよ。ページ飛ばしたりしてね」


「だって、こいつおかしいって。試験範囲50ページもあるのに全部声に出して読めっていうのよ!」


「1ページ1分と考えて1時間で1周できるでしょ。10回も読めばたいてい暗記できるよ。試験まで36時間以上あるからまだまだできるね」


「私、こんなの望んでいない! 私が望んでいたのは、勉強しなくても100点取れたりする裏技的なものなのに!」


 人生舐めてるな、こいつ。


 余談ながら坊主が長生きな理由は、規則正しい生活と座禅による姿勢の矯正、それに読経による発声が原因だと言われてる。

 世界一寿命が長い日本人がカラオケ好きなことを考えると、あながち間違えとは言えない話だ。


「ブリちゃんは身体鍛えるために筋トレとかするでしょう? これはその頭バージョン。勉強は脳の筋トレ、いっぱい使っていっぱい鍛えないとね。さ、続き」


「いーや~!」


 端を見れば優婆塞ども、震えて耳を押さえていた。

 なるほど、これじゃあ図書館じゃあできないわな。


「……ここ、うるさいから別の場所行くか?」


「カブさんの部屋ですか?」


「いや、居間」


「カブさんの部屋ですか?」


「居間だって」


 俺とエトは居間に移動して勉強を開始した。


「中学レベルなら英語と数学は教えてやれるぞ」


「得意なんですか?」


「まあな」


 数学は勉強しなくても公式さえ覚えれば後はパズル感覚で解けるから好きだ。と、いってもうちの学校での話で一茶が解いてるようなレベルまで行くと手も足も出ないんだろうけど。

 逆に暗記科目はやらないと解けないから苦手だ。


「英語は?」


「一応勉強している。高校卒業したら老師追っかけてニューヨーク行くことにしてんだ」


「進学とか就職、しないんですか?」


「今のご時勢、一茶みたいにそつなく勉強できるやつが評価される世の中だからな。俺、勉強嫌いだし。だけど、そんな評価は日本を出ちまえば関係ないってな。東大も世界レベルでは地方大学のひとつってやつだ」


 本音を言うなら、俺みたいに叩けば埃が出る人間は日本じゃ生きにくいから、さっさと国外脱出しちまおうってところだけど。


「それで、ニューヨーク?」


「ニューヨークは老師が座禅道場開いてるんだよ。そこを伝手つてにしようと思ってな」


「ほー、そうなんです、か」


 そう言ってなにか考えているエト。

なにやら「留学」とか「いっそ飛び級」とかわけわからんことを呟いている。


 これ幸いと俺は勉強を開始する。しばらくするとエトも勉強を始めていた。

 途中で昼食やら優婆塞どもの襲撃もあったが、その日は概ねいい勉強会になった。定期的にブリの悲鳴が聞こえたが。


「藤次さん、夕食、どうします?」


「と、もうそんな時間か」


 時計を見ると、すでに4時を回っていた。ずいぶんと集中してたもんだ。ぶっちゃけ、異世界に行くようになってから集中力も上がった気がする。


「エトとブリのぶんは用意しておいて」


「私の分は?」


「だってエト、門限あるだろ?」


 確か6時、電話連絡して7時までって聞いてる。池袋から佃島まで、電車なら30分くらいか? 駅まで歩く時間やトラブル考えて1時間前には出ることになる。それじゃあさすがに夕飯食ってる時間はないだろう。

 俺がそう言うと、エトは残念そう、というか、怨嗟を含んだ、というか、お嬢様らしくない表情で唇を噛んでいた。


「そんな変な顔すんなよ。バイクで送ってやるから」


「……2人乗り?」


「そ、タンデム。あんま経験ないだろ?」


「初めてです!」


 今度は目を輝かせてふんすと鼻息荒く興奮し出す。こいつのツボもよくわからんなあ。




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