レイドバトル6(守)
「まずい!」
クーシー達は遠巻きにこちらを牽制して、俺への攻撃の手を緩める。
一方で背後から悲鳴が聞こえた。
一人のプレイヤーが複数のクーシーに一斉攻撃を喰らい、光の粒になって消えた。
「少し舐めすぎたかもね。野犬の、集団狩りだ」
いつの間にか俺の隣に来た正也がそんなことを嘯く。
今の俺達は、乱戦に近い状態で戦っていた。
全員が前に出て無秩序に戦っていたのだ。
が、クーシーは違った。
統制が取れていた。
俺のような個体的強者や多人数で戦っているものは避け、ひとりや少数で戦っている集団に目を付け、後ろから踵や大腿を狙って機動力を奪い、隙を見せれば一気に襲い掛かる。
クーシーはそんな戦法を取っていた。
俺は舌打ちをすると、大声で叫んだ。
「集まれ! 円陣を組み防御に徹するぞ!」
が、周りの反応は芳しくなかった。
敵と対峙しているため応じる余裕がないというのもあるが、人を従わせるという才能において俺は妹の瑞樹に劣ると認めざる負えなかった。
「仕方ない。正也、俺が囮になっている間に態勢を立て直せ」
俺はそれだけを言い捨て、クーシーの本陣と思われるもっとも多い集団に向かって走った。
重い鎧を纏っているために速度は遅い。
が、本陣強襲する俺の姿を見て味方への攻撃を緩めることができるのならばそれだけでも囮の役目を果たせているだろう。
本陣に迫ると、目の前に5匹のクーシーが立ちふさがった。
俺はそいつらに大剣を振るった、が、安々とかわされてしまう。
瞬間、背後からの衝撃が襲う。
いつの間に現れたのか、2匹のクーシーがシールドを破壊し、攻めてきたのだ。
それに合わせるように前からの5匹も攻撃に加わる。
俺は大剣を盾に守りに徹する。
鎧の防御力もあり、クーシーの攻撃は一撃一撃はたいしたことはない。
「先ほど揉めたチビに比べたら毛を抜くほどの痛みもない!」
自然とそんなことを漏らしてしまう。
漏らして気付いてしまった。
身長差で20センチ、体重差で30キロは違うだろう俺を相手に互角以上に戦い、場合によっては圧倒しようとしたのだ。
客観的に見て、素直に感服に値する。
「あいつ……、やるじゃないか!」
タイミングが重なった瞬間、俺は大剣を振るい、5匹を同時に叩き潰した。
さらに迫る2匹を、筋繊維が千切れる音を無視して無理矢理大剣を振り上げて、消し飛ばした。
目の前の敵を倒した直後、さらに一匹がこちらに走りこんでくる。
「一息吐く暇もない!」
俺は、汗に塗れる手で大剣を握り直した。
その時、向って来るクーシーが「なにか」に当たり、真横に吹き飛んだ。
一瞬、戦場から音が消えた。俺も、他のプレイヤーも、クーシーですらも動きを止め、「なにか」を見た。
「なにか」はゆっくりと俺の前に立ち上がった。




