レイドバトル2(一茶)
そろそろDQN要素がマシマシになります。ご注意ください。
「んで、一茶。俺たちはどうする?」
「どうしようか。正直、流れが読めないんだよね」
「情けねえな。自分で流れ作るくらいの気概見せろよ」
「それは予定通り君に任せるよ、っと」
僕は、急につんのめって倒れ掛かってきたエトちゃんを支えた。
見ると、エトちゃんの電動ガンが、見ず知らずの男に握られていた。
金髪にピアス、いかにも軽薄そうな男だ。
どうやらエトちゃんは横から銃を奪い取られ、突き飛ばされたらしい。
「よお、見ろよ! これ、おもちゃだぜ!」
そう言って男は仲間と下卑た笑い声を上げた。
未知との遭遇に少々怯え気味のエトちゃんと今にも飛び出そうとするブリちゃんを抱きとめ、僕はカブを見た。
カブはわずかに目を細めて僕を見た後、男に向かい合った。
「あん、なんか文句あんのか、チビ」
男は挑発気味にカブに銃口を向ける。
露骨なマウンティングに、苦笑が漏れる。
「おいおい、危ないなあ。それ、改造していてけっこう威力あるんだぜ」
「つってもおもちゃじゃねえか」
「いやいや、ほら」
カブは流れるような動作で腕を上げると、間髪いれずに引き金を引いた。
ぱんッ
乾いた音が響く、と、同時に500円玉大の黒い球体が浮かび、男の肩が消失した。
「え? あれ?」
最初状況が理解できないでいた男は、心臓の鼓動に合わせて噴き出す血に気付くと、その場で転げまわった。
「い、でええええええぇえ!」
カブは容赦なく男の背中を踏みつけ、回転を止める。
「な? けっこう威力あるだろ。ところで、てめえ今うちのエトになにした?」
カブは脇の肉だけでぶら下がっていた千切れかけの腕を持ち上げた。
男の仲間、駆け寄ろうとした3人に向かって銃口を走らせる。
「黙って立ってろ」
3人の足は止まる。
「で、続きだ。てめえなにした?」
「ぐ、ぐぞお。ごろず。ぜってえごろしてや、ぎあああ!」
カブは男の腕を持ち上げる。ごぽりとこぼれ出る血液。筋繊維がぶちぶちと音を立てて切れていく。
「質問に答えろよ。おまえは、なにを、しましたか?」
カブ、少し楽しんでるんじゃない?
腕に抱えてるエトちゃんは頬を赤く染めてぽ~っとカブを見ている。自分のために仕返しをしてくれたとか思ってるのかな。この子、将来悪い男に騙されないか今から心配だ。
「ブリちゃん。やりすぎって思わない?」
「べっつに~。カブがやらなかったら私が歯をいっぽんいっぽんペンチで抜くやつやってたと思うし」
それは重畳。正直、引かれたらどうしようかって少し心配だったから。僕自身少し引いてるのは内緒。
「ほらー、早く答えないと腕、取れちゃうぜ」
「ご、ごべんなざい、ゆるじでぐだざい」
「折れんの早くね? あ、こいつ糞もらしやがった」
カブは手を離すと、奪われたエトちゃんの銃を拾い、何事もなかったようにこちらに歩いてきた。
「ほら、エト」
「はい、ありがとうございます♪」
エトちゃんは僕から離れると、嬉しそうにカブから銃を受け取った。
「少しやりすぎ、かな」
「やりすぎたほうがよかったんだろ?」
「まあ、ね」
僕は男にヒールをかけた。さすがに一回じゃ完治せず、取れかかった腕は元に戻らなかった。
早い話が、主導権争いのための示威行為だ。
友澤兄妹がわざと目立つように会話をしたように、この男がエトちゃんを貶めたように、カブは派手に暴れたのだ。
事実、周りは恐れるように遠巻きに僕たちを見ている。
そんな周りの視線にブリちゃんとカブはまるっきり気にしていないし、エトちゃんはカブのことしか見ていないし、気にしているのが小心者の僕だけって状態。
まあ、目立てば敵を多く作るってのも世の常なんだけどね。




