有楽町でラーメン1(カブ)
翌日、俺、カブこと相田藤次は10時50分頃有楽町に着いた。約束の時間が11時だから余裕だな。
と、思ったらすでに全員揃ってた。
「おまえら、早いな」
「私、待てなくて10時頃には着いてましたよ」
「私なんて昨日からいたぜ!」
「しれっと嘘吐くな。んで、どこ行く?」
「とりあえず、歩こうか」
昼時ぴったりはさすがに混むと思ったので早めの時間に集合したが、それは正解だった。
まだやってない店も多かったけど。
「ラーメン屋、多いですね」
「実はそうなんだよね」
「サラリーマン、多いからな」
「でも有楽町のサラリーマンでしょ? ふつーに毎晩料亭で悪巧みしてるイメージがあるんだけど」
「それ、官僚じゃね?」
「うん、官僚もやってるわね。間違いなく」
「それで、僕たちはどこで悪巧みする? 僕的には、ホテルでバイキングって考えていたんだけど、カブがドレスコードに引っかかりそうだなあ。それ、どこで売ってるの?」
「喧嘩売ってんのか? ワークメンめちゃくちゃいい服売ってんぞ」
「作業着としては、でしょ」
俺の格好は作業ズボンにTシャツ、頭にタオルだ。ちなみに言うと俺はシャツはズボンにIN派。いや、びらびら出してるとなにかに引っかかったりして危ないんだって。
エトはお嬢様らしい、清楚なワンピース。
一茶はスラックスにジャケット。こいつは背が高いし細身だから簡素な格好でもサマになってる。
んで、ブリはオーバーオールに耳付きキャップ。こいつには突っ込んだら負けな気がする。
「ちなみに、エトはどこがいいか希望あるか?
ふぐでもいいぞ」
実は、今回異世界から金を1キロほど持ってきているのだ。前回と相場は同じと考えて350万相当。この後一茶と換金に行くことになってる。
足取りも軽い。お金持ちっていいな。心に余裕がある。
「私、ラーメンがいいです」
「え! お嬢様なのにラーメン食べるの!?」
「ブリさん、それ、嫌だからやめてください」
「さーせん……」
エトって、怒らせると怖いよな。
「ブリさんの言葉を補足するみたいでいやですけど、確かにラーメンって食べる機会、少ないんですよね。朝昼晩って寮のご飯ですし」
「じゃあきまりだな。そこ入るか」
「カブ、せっかく携帯持ってるんだから、少しは下調べしてからとかないの?」
「細けえことはいいんだよ。こういうのは一期一会だろ」
「そうだ、細けーことはいいんだ。いっきいちゆうだ」
「それは違う……てわけでもないか」
俺とブリの後をエトが楽しそうについてきて、最後に一茶がぶつぶつ言いながら店に入った。
注文はチャーシューメン4人前に餃子2人前。時間的にも客は少なかったので、注文はすぐに来た。
スープは黄金色のあっさり系。それに反してチャーシューの分厚いこと!
「んま~いー!」
「さすがってところかな。激戦区でまずくちゃ潰れるもんね」
「エト、どうだ?」
「おいしいです! すごく新鮮で、おいしいです!」
ほくほく顔で麺をチュルルと食べるエト。
こいつ、感情表現がうまいよな。こう、喜びを素直に出されるとこっちも嬉しくなるし一緒に来てよかった、また一緒に行こうって思える。
ブリ? やつは論外だ。
「今度茗荷谷のおいしい中華屋連れてってやるよ。そこの鶏肉のカシューナッツ炒め、めちゃくちゃうまいぞ」
「中華料理なら池袋か神田が有名だね。神田なら僕はむしろタイ料理を押すけど」
「私、市ヶ谷においしい博多ラーメンの店知ってる! 明太子ご飯と一緒に食べるの!」
「それうまそうだな」
「今度連れてってあげる」
俺たちの話をエトはニコニコしながら聞いていた。




