ゴブリンをやっつけろ!後編 5(エト)
「ああもう! カブ、援護!」
「わかってるよ!」
一茶さんはブリさんのところまで走る。
カブさんは、今にもブリさんに襲い掛かろうとするゴブリンを一斉掃射。
あ、弾が切れた。
「エト!」
「はい!」
私は左と正面から向って来るゴブリンに『ウィンドウォール』を放った。
その名の通り、風の壁を作る魔法だ。時間は半秒程度で消えてしまうが、効果はあった。
こちらに全力で走ってきたゴブリン数匹が、壁にぶつかって倒れた。
その間に弾倉を交換したカブさんがゴブリンを斉射。接近を許した1匹には、先ほど拾った錆びたナイフで切りつけ、難を脱した。
「魔法、けっこう使えるじゃねえか。エト、サンキュー」
「カブさんもお疲れさまです♪」
右側を見ると一茶さんがブリさんにヒールをかけていた。
やっと一息ついた、と、思ってカブさんの拳に自分の拳を合わせようとした、その時だった。
「! カブさん、ジェネラルが来ます!」
「俺たちが分かれるの、待ってやがったな。エト、頼むぞ」
「え?」
カブさんは無言で通路の入り口を指差した。
そこには、矢がセットされたボウガンがあった。
カブさんは一歩前に出る。
私も、急ぎボウガンを手に取った。う、重い。
ジェネラルは付近にいる仲間であるはずのゴブリンたちを邪魔だとばかりに蹴散らしながらこちらに向って来る。
私はボウガンを構える、と、その前にレーザーポインタをオンにする。
まっすぐに伸びた赤い光点はジェネラルを照らす、が、安定せずぶれぶれ、私の手が震えてるせいだ。
「合図したら撃てよ」
カブさんはそれだけ言うとこちらを見向きもせずジェネラルに立ち向かった。
「よお緑。俺だけになら勝てると思ったか?」
ジェネラルは咆哮を上げ、巨斧を上段から振り下ろした。
カブさんはそれを横にかわしつつ銃撃を見舞う、が、やはり通じないようでジェネラルはひるみもしなかった。
「じゃあこれならどうよ!」
横薙ぎに振るわれる巨斧を屈んでかわし、銃を捨ててカブさんはボディにいっぱつ、そのままの勢いで左頬をフック。
が、ジェネラルは大きく身体を揺らしたが、踏ん張って持ち直した。
……なんかジェネラル、笑った気がした。
ジェネラルは左手に持つ盾でカブさんを殴りつける。
カブさんは大きく跳び、それをかわした。
瞬間、カブさんの右手が光った。
次いで上がる悲鳴、見ると、ジェネラルの足の甲に錆びたナイフが突き刺さっていた。
ジェネラルは盾で攻撃したために身体が開いて隙だらけ、足に刺さったナイフのために避けることもできない。
つまり、今がチャンスだ!
「エト!」
「はい!」
私はボウガンの引き金を引いた。
衝撃は、後ろにではなく前に来た。
ぶん、とか、ぼんって音の後、身体が前に引っ張られる。
まっすぐに突き進む矢。
それはジェネラルの頭に命中し、、、兜に弾かれた。
「は、はずしちゃった」
衝撃はあったみたいで、ジェネラルはよろめく。
矢はくるくると回転しつつ空を舞い、やがて落ちてくる、途中でカブさんがキャッチ!
「ナイスパス!」
カブさんはそのまま矢で先ほど殴りつけた左頬を切りつけた。
ジェネラルの頬にひとすじの切り傷ができる。
ジェネラルは咆哮を上げ、再び盾でカブさんを殴る。
今度はかわすことができず、カブさんは私の傍まで吹っ飛ばされた。
「カブさん!」
カブさんはダメージから立てないみたいで、私は慌ててカブさんを抱き起こした。
「……後は結果をごろうじあれ、てか?」
ジェネラルは余裕のつもりなのか、ゆっくりと近づいてきた。
そして、巨斧を振り上げる。
が、そこで動きが止まった。
口の端に泡を吹き、痙攣しだしたのだ。
そして、目の焦点を失い、後ろに倒れ、光の粒子となって消えた。




