ゴブリンをやっつけろ!後編 3(エト)
「よし、それじゃそろそろ始めるぞ」
見てみると、すでに煙はモクモクと広場に入ってきていた。幸い、煙は上のほうに流れていっていたがそれもすぐに溜まり、下まで流れてきそうな勢いだった。
私は、風魔法のウィンドを使った。
「風魔法のウィンドって、ぷげら!」
むう、ブリさん意地悪だ。でも、私が命名したわけじゃないし。
ウィンドは、その名の通り、風を起こす魔法だ。だいたい、扇風機の弱くらい。
風は煙を広場に入れずに押し返していく。
「お、いい感じじゃねえか」
幸いウィンドは風魔法の中でも魔力の消費が少ないので、今の魔力なら30分くらいなら余裕で使い続けることができそうだ。
余談ながら、『風魔法』というスキルは、「風魔法」という名の魔法があるわけではなく、風魔法という「属性」を持つ複数の魔法がパッケージになっているものだ。
最初は初級のみだが、熟練度が上がれば中級や上級の全ての風魔法も使うことができるようになる。ただし、誰が使っても威力は同じだし消費魔力も同じだ。
初級風魔法にウィンドダーツというのがあるが、風魔法で使うと、一発しかでない。だが、スキル『ウィンドダーツ』を取得して使うと熟練度に応じて数も威力も、消費魔力も自由自在となっている。
ちなみにいうと一茶さんの持っている『ヒール』は『回復魔法』パッケージ内にある、『ウィンドダーツ』と同じような単独スキルだ。
スロットによって装備できるスキルは制限があるから複数の魔法を使える『風魔法』は有用ではあるが、最低レベルでしか使えないという欠点があるのだ。
10分も経った頃だろうか、少し、煙が薄らいできた気がした。
「一茶さん」
「そろそろかな。外の様子は?」
「……、動き、あります。10……、12匹が通路に侵入。ゆっくりこっちに向かってきます」
「奇襲のつもりかな。エトちゃん、半分くらいまで来たら教えて」
「はい」
一茶さんはスリングショットを構えた。
「俺は?」
「相手の姿が見えない。無駄弾はもったいないからカブはいいや。もし敵が逃げないでこっちに走ってきたら対処して」
「あいよ」
カブさんはコッキングレバーを引き、銃をいつでも撃てる状態にする。
カブさんとお揃いで私も銃欲しいな。
「一茶さん、来ましたよ」
「了解」
一茶さんはスリングショットを放った。
ぶおんと、空気を叩く音がする。
弾は煙を引き裂きまっすぐ突き進んだが、ゴブリンの光点は消えない。
だが、効果はあったようでゴブリンの慌てふためく様子が見て取れた。半数は逃げ出し、残り半数はこちらに向って来る。
「カブさん!」
「おう!」
ったったん
カブさんは迫り来るゴブリンを先頭からリズミカルに撃ち倒して行く。
「つまんね。私出番ないじゃん」
「今日はブリちゃんが一番疲れると思うよ。それじゃあ、行こうか」
いつの間にか通路の先まで見渡せるほど煙が薄まっていた。
私たちは肩を並べて通路を外に向かって歩いた。
「そういえば、消えるのと消えないのがあるよな」
「なにがです?」
カブさんは落ちている錆びたナイフを拾った。
「これ、ゴブリンの持ってた武器。たいていは死ぬときに光になって消えるけど、たまに残る」
「カブ、気付いてない?」
「? なにがだよ」
「ポイントだよ。ゴブリンは基本50ポイントだけど、たまに増減するだろ?」
「ああ。個体差、だと思ってたけど」
「それもあるんだろうけど、その他に、武器や防具もポイント変換されてるんだよ」
「それじゃあ武器が残ってるやつはポイントになってないってことか。なんだよ、ドロップアイテムも一長一短だな」
「あ、でも、拾ってポイント変換できるかもしれませんよ」
「その手があったか、後でやってみようぜ」




