表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の音楽ここにあります!  作者: 竹野きの
メジャーに向けて
92/185

合宿のいざこざ

えっ俺? 後ろって廊下しかないけど?


(早く早く!)

(いや無理だって!)


「うっ!」

「あっ!」


ほら、見つかっちゃったじゃねーか!


「夕方見た、アイドルの子達だよ!」

「本当だ!」


いやいや、アイドルじゃないんだけどな? 俺達は助かったのか?


「アイドルじゃないですけど……」

(まーちゃん、そんな事はどうでもいいから!)


ここ大事だろ!


「そうなのか? "ル・シエル"の人と話してたから同じ事務所とかかと……」

「アイドルじゃないんですね、ここで何してたんですか?」


あいつらそんなに有名だったのか……。

それより、どう答えようか……。


「スタジオで、練習してたんですよ! そしたらたまたま人の声がしたから立ち止まっちゃって……」


ひな、正直に言い過ぎだ!


「お姉さん達は何してはったん?」


すごい切り返し!こういうのは本物の女子の方がやっぱり強いな……。


「えっ、俺達は……」

「わたし達はちょっとスタジオに忘れ物を取りに行こうとしてて……」


「そうなんですね! では……」

「お姉さん達はカップルなん?」


かなはニヤニヤしながら聞いた。

ちょっとかな、触れずに帰ろうよ!


「同じメンバーなだけだよ」

「は? ユウヤなんではっきり言わないの? この子達がかわいいから?」


「そんなんじゃないって、別にいう必要ないだろ?」

「じゃあわたしとどっちがかわいいとおもうの?」

「ユミに決まってるじゃん……」

「嘘……」


なんか両方かわいそうな感じになって来たな。


「あ、それじゃわたし達行きますんで……」

そう言って俺たちは逃げるように、部屋に向かうと、部屋の近くでTシャツにハーフパンツの学生風の男とすれ違った。


(これはもっと修羅場に……)

(立ち去ってよかったね!)


部屋に着くと1人用のお風呂だから順番にお風呂に入る事になり、とりあえず2人に先に入ってもらう事にした。


ひながお風呂に入るとかなが暇そうに話しかけてくる。


「さっきのカップルどうなったんやろな?」

「あー、修羅場になってそうだよねー」

「喧嘩みたいになってたしな!」


「いや、部屋戻る時に出てきた人。もう1人の方じゃ無い? 二股してるなら……」

「あー! それあるなぁ。見に行く?」

「行かないよ! 今汗が気持ち悪いし……」

「たしかに。ジャージ着てたからTシャツもまだしっとりしてるわ……」


そう言うとかなはジャージを脱いだ。


「ねぇ、まーちゃん。うちってかわいい?」

「えっ? 急にどうしたの?」

「そういえばまーちゃんにかわいいって言われた事ないなーって」

「そう? キャラ的にねぇ……」


たしかに言った事は無い気がするけど、客観的に見たら3人の中で一番だろうとは思う。


「キャラ的にかぁ……」


そう言うと、かなは俺の肩を持ち布団に押し付けた。


「うちの事……好き?」


乙女チックなかなが超かわいい。

俺が返事しようとした瞬間かなは笑いだした。


「きゃはは! 冗談やで! まーちゃんもTシャツぐっしょりやな!」


なんだよ、ちょっと焦ったじゃねーか。

「あー、でもかなはめちゃ美人でかわいいと思うよ?」

「んふふ、褒めてもなんもでぇへんで!」


そう言いながらもちょっと嬉しそうだった。

「あー、汗臭い! もう脱ぐわ!」


ひなが出る前にかなは下着だけになると、Tシャツをビニール袋に入れた。


「明日の朝一緒にコインランドリー行こ! 今日洗っとかんと絶対変な匂いになるわ!」

「そだね……」


それから俺とかなで、洗濯用の準備をしていると、ひながお風呂から上がった。


「洗濯纏めてるの? あたしも洗濯だそう!」

「そしたらうち、ちょっとお風呂入ってくるわ」


そう言ってかなはお風呂に入った。

俺は起きていられるだろうか?? パジャマに着替えたひなは洗濯をまとめはじめる。


「なんか3人で泊まるの久しぶりにかんじるね!」

「ツアー以来だよね!」

「ごめんね、先お風呂入っちゃって……」


「いいよ、後は寝るだけだし。 かな上がったら先に寝ててね」

「うん……」


そして俺も風呂から上がると、2人は寝ている。パジャマに着替えて布団に入ろうとすると、ひなの声が聞こえた。


(まーちゃん)

「ひな、まだ起きてたの?」

「うん……一緒に寝よ?」


いつものように、俺はひなのベッドにはいると、ひなは言った。


(ツアーの時よりボロいね!)

(まぁ、合宿所だからね!)


ひなは少し抱きつくと

(今日のカップルなんか凄かったね)

(大学生かな?)


(まーちゃんも恋人欲しい?)

(わたしは"キラの助"がいるから!)

(ひなはいらない?)


話しが変な方向に行ってるきがするけど眠過ぎてよくわからない。


(欲しいよ……)

(じゃあ、あげる!)


ごめん……眠すぎて……。



♦︎



「ひな、まーちゃん洗濯いくで!」


朝7時、俺はかなの声で目が覚めた。

ひながまだ寝てるのは珍しいな……昨日疲れてたんだろうな。


昨日纏めた洗濯物を3人でコインランドリーへ持っていく。


途中、かなが思い出したかの様に言った。

「ひなってさ、やっぱりまーちゃんすきだよね?」

「えっ? あたし?」

「だって昨日の夜……」

「だめ! かな見てたの?」


「えっ?? なになに?」

「まーちゃんも、ひなならいいやんな?」

「え? 何が? 別にいいけど気になる……」


結局なんだったのかは教えてくれなかった。

凄く気になるんですけど?



♦︎



洗濯が終わると、また新しいジャージに着替え、スタジオにはいる。


今日は新曲とアレンジを完成させなければならない。


「今日は歌詞の入れ方をやるよ!」


俺はギターを構え、2人に宣言した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ