表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の音楽ここにあります!  作者: 竹野きの
メジャーに向けて
84/185

人の考えはわからない

俺が聞いたあと、2人は少し黙り、かながそっと口を開いた。


「うん……正直言うと、半年程前のまーちゃんはちょっと嫌いやった」


「そっか……」


「でも。ギター始める直前にな、まーちゃん言ってたやろ? 『今の自分が嫌いだから生まれ変わる』って」


そんな事を言っていたのか……。俺は驚きながらも話を合わせた。

「うん」


「あの時は、もしかしたら死ぬ気なんちゃうかなって思ったけど、そのあとのまーちゃんがバンドしたいって言ったからそういう事なんやなって……」


タイミング的に良かったのか……。

「それで、今度はうちが協力する番やって思ってベースしようと思ったんやで」


「今度は? わたし何かかなにしたっけ?」


「なんや、忘れたん? うちが転校したての時、学校でいじめられてたやん?」

「その時、仲良くしてたから……?」


「違うわ、"八尺様"呼ばわりされてた時にどうしたらええか一緒に考えてくれてたやろ?」


かなはあだ名が"八尺様''だったのか……

黒髪でロング、小学5年生だと、写真を見た感じでも20cmくらいは身長差が有ったからだろうか?


そういった、自分との違いで何気なく傷つける小学生は残酷だな。


「それで、ショートにイメチェンして生まれ変われば、周りも変わるんじゃない? って言ってくれたんはまーちゃんやで?」


かな、そういえば昔の写真はロングヘアだった……まひるちゃんが変えたのか……。


「やから、まーちゃんが生まれ変わるって言った時、うちは何か考えてる事があるんやろなって……」

「そうだね、あの時あたしはまーちゃんが居なくなっちゃうのかと思ってかなに相談した……」


2人ともイメチェンすると思っていたのか。

不安なひなと、協力的なかな。

初めて会った時の反応が繋がった気がした。


「せやから、うちは今のまーちゃん好きやで? ひた向きでまっすぐ前を見てる。まーちゃんができひん事はうちがやれる様にする、あせやからこのままどんどん進も?」

「そうだね、一緒に進も!」

「ひな、かな……」


俺はかなの言葉に涙目になった。

「ひなも、かなもありがとう……」


今までの出来事が、繋がっていく気がした。

もしかしたら、まひるちゃんは望んで入れ替わったのか、本当は何か別の事を考えていたのかは俺にはわからない。


ただ、入れ替わる直前で何かをしようとしていたのは間違いないだろう。


日記を見る限り、本当のまひるちゃんより2人の事は見えていると思うが、リアルタイムでの中学生時代、回りの友達の事をちゃんと意識できた事はあるだろうか?


少なくとも俺は、その時々が必死で起こる出来事に一喜一憂していたようにおもう。


まだ、"魂のカウントダウン"についてはわからないが、当時の状況はそれなりに掴めたと思った。



♦︎



その日の帰り道、スマホの履歴に西田さんから連絡が来て居るのを見つけ、俺は急いで掛けた。


プルルルル、プルルルル


「はい、西田です」

「お疲れ様です、まひるです。 電話いただいていたので折り返させてもらったんですけど……」


「あー、まひるちゃん? 少し大事な話があるんだ……」


西田さんはいつもより深刻なこえでそう言った。


「大事な話ですか?」

「新曲の調子はどうかな?」

「まだ、1曲がアレンジまで出来て、つぎの曲の案を考えているところです」


「それなんだけど……まひるちゃんは印税の事については何か考えているかな?」


なるほど……

「現状だと作詞作曲になるから殆どがわたしになりますね……」


「そうだね……簡単に考えるとCD、ネット配信の売り上げの30%くらいが印税収入の目安として1000万位いく可能性も充分ある」

「そうですね……」

「そのほかにも、広告やイベント、コラムなんかをするようになれば別でも収入はあるけど……この辺りを含めて話合っておいてほしい」


西田さんはそう言った。

曲を作る前なら作詞作曲、編曲を"ハンパテ★"にする事もスムーズに出来るという訳か……。


考えなきゃならないな……

ひなやかなにも曲を作って貰おうかな……ひなはエレクトーン弾けるらしいからもしかしたら出来るかも。


家でノートに案を書き出す。

しばらくして、1階からママの声が聞こえて来た。


「まひる〜? ひなちゃんきてるわよ!」

「はーい!」


ひな? 急になんだろう?

俺はひなを出迎えに階段を降りた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ