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俺の音楽ここにあります!  作者: 竹野きの
メジャーに向けて
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まひるの日記

日記の1ページ目には、デフォルメされた5人の似顔絵が書いてあって、俺は本当に入れ変わって良かったのだろうか?と思わずにはいられなかった。


俺は日記を読み進めるにつれて分かった事がある。まひるちゃんが中学生だからなのだろう、様々な日常での葛藤や自分なりの考え、思想を持っているのだと思った。


ただ、1つ言える事は、かなとひなの人物像の考えかたが俺とは大分違う様に思う。


ひなは優柔不断であったりぶりっ子してるという表現が書かれている。


結構自分で動くし、男の子苦手なレベルだと思うんだけどな……。


かなには、気が荒い、適当と言った内容がチラホラみえた。


かなより優しい子は少ないと思うし、人一倍の努力家だと思う。


ただ、内容を見る限り2人のことが好きな事には変わりは無いと思った。


ただ、まひるちゃんには夢や目標といったものを感じる記載がない事に違和感を覚えた。



♦︎



俺は、中学生活の時にはすでに夢があった。

もちろんギターヒーローだ。


今では懐かしMDウォークマンに、色々なアーティストを入れ、サボれる授業中はイヤホンで聞きながら机の下に楽譜を広げ、サボれない時は左手のストレッチや、指をバラバラに動かす練習、下敷きでピック速度を上げる練習なんかをしていた。


卒業文集に書いていた友達と仲良くお店をつくることが、ただ具体的な夢が無いだけに思えて仕方なかった。


"お兄ちゃんがギターを練習している、何かしたい事があるっていいな"


単純に羨んでる表現にも見えるが、やりたい事が無い事の裏返しにも感じる。


まひるちゃんの願いは夢追い人だったのかな? それであれば、"俺"だった理由にもなる。


タキオの考えの"なりたい自分になるために本人が望んだ"線が繋がるのかも知れない。


本人が望み、入れ替わったのだろうか?

俺はさらに"きっかけ"を探す為日記を読み進めた……


その後の日記を読み進めるにつれ、周りからの自分を見る目が変わっていく事を悩んでいる様子。


中学2年生になり周りが友達から"可愛い女の子"として見るようになったのだろう。


環境の変化を感じ、日記内ではどんどん病んでいる様に見えた。


すると、日記の1番したに謎の記載を見つけた。


"魂のカウントダウンあと5日"


魂のカウントダウン? なんだよそれ?

詳細は特に書いてはいなかった。


俺は気になりページをめくる。

4日、3日、2日、1日と日付が進み、次のページは白紙だった。


俺はページを戻し日付をみると、


"9月11日"


俺は背筋が凍りついた。

魂のカウントダウン? こ、これが原因なのか? さらに驚いたのは最後の日の内容だった。


"過去の自分に別れを告げ生まれ変わるまで最後の日、わたしはひなやかなに会って別れを告げた"


最後のページにはそう記していた。


ひなやかなに別れを告げた……??

あの2人はこの事を知っているのか??


そしたら次の日の……ひなはだからあんなに早くから心配してたのか? もしかしてかなはバンドの事と思ってすぐに協力してくれたのかも知れない。


前日にまひるちゃんはひなやかなに一体なんていったんだ? 俺は伝えた内容の可能性を考えた。


まひるちゃんはひなやかなに"生まれ変わる的な事を伝えていたんじゃないだろうか?

内容によっては……いや考えるのはよそう。


俺はとりあえずタキオに連絡する。


プルルルル


「まひるさん? 聞いてください!僕"サカナ"のジャケット担当する事になったんですよ!」


「タキオさん、多分貴方の予想通り。本人が自ら望んだ可能性が高いかも……」

「本当ですか?」

「うん。彼女の日記を見つけて……まひるちゃんは、夢追い人に憧れていたみたいなんだ」

「なるほど……」


「それと、"魂のカウントダウン"っていうのが、ヒントになるかも知れない」

「"魂のカウントダウン"?なんですか?それは?」

「入れ替る直前まで日記に書いてあった言葉なんです」

「本当ですか?? 僕の方でもちょっと調べて見ます。もしかしたら……」


そういうとタキオは言葉を濁した。

俺は気になる気持ちを抑え、"キラの助"のナットと弦を、ノーマルチューニングに戻し"ハンパテ★"で使いやすい様に変えた。


「"キラの助"……わたしはどうしたらいいんだろうね?」


黙って受け入れろ。お主は弾くしかないだろう?


"キラの助"はそんな風に答えた気がした。

名前通り、武士な奴だ。



♦︎



次の日、俺は学校でひなとかなにそれとなく聞いてみようと思った。


学校に着くと、ひなが教室にいた。

いつもひなは誰よりも早く居る。昨日の日記を見ていたせいか、少し気になった。


なんでこんなに早いんだろう?

そして、早く来て何をして居るんだろう?


「おはようひな! ひなはいつも早いよね」

「まーちゃんおはよう! あ、朝? 特に理由は無いよ……」


「そっか……」

なんだろう、理由がありそうな気はするけど、これ以上は今日はやめよう。


しばらくして、かなが来た。

「おはよー! 」

「おはよーかな!」


俺は勇気を出して聞いてみる



「ひな、かな。 わたしって変わった?」


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