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俺の音楽ここにあります!  作者: 竹野きの
第1章 転生からの新しいスタート
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初スタジオ!

ついにこの日が来た。

昨日は新しいギターが気になる兄に邪魔されながら、久々のギターを弾き明かした。


兄の前で天才キャラで行く事を決めた俺は、耳コピと称して技術をひけらかし、昨晩、終始兄はまひるは天才だと兄馬鹿になっていたが、開き直った俺は無敵だった。


夜中までギターを弾いていたので寝坊した俺は、女子にはあるまじき寝癖姿に、Tシャツ短パンでスタジオにギリギリついた……。


雅人、かなちゃん、ひなちゃんには寝癖で跳ねた髪をいじられたが、4人で初めてのスタジオにみんなテンションが上がっていた。


(さて俺は今日、どの程度弾こうか?)


スタジオで手続きを済ませ、4人でスタジオに入る……ひなちゃんは何するんだろう??と思いながら俺はギターをセッティングした。


気になる雅人は、スネアとペダルを持参しており、慣れた手つきでワンタムのセッティングを始め、その姿に俺は期待を隠せずにいた。


かなちゃんも実は練習していたのだろう。

椅子に座って緊張しながらフレーズをなぞっていた。


愛しのひなちゃんは??

はい、見てるだけですね、そりゃそうだ元々何かする予定は無かったのだから。


雅人がセッティングを終えると自信満々に叩き始めた。



おっ!うま……くない、普通だ。



至って普通のドラムだった。

そりゃ期待し過ぎた俺が悪いですよ?

習っているとはいえ、中学生、精々初めて2、3年がいいところでしょう。


普通に叩けるだけでも充分すごいのだ。

その証拠にかなちゃんとひなちゃんはすごいだの、かっこいいだの言っている。


俺も言っておこうか……。


「すごーい!(棒)」


2人の歓声に雅人は調子に乗り出した。


この曲は!ハイスタのステイゴールド!

こいつわかってるじゃねーか!


と思った瞬間音と歓声が一瞬にして止まる。


ん?何故とまる?ここからだろうが!

と思った瞬間に理解した。

俺はやってしまったのだ。


俺はついテンションが上がり昔のスタジオのノリで歪みにスイッチを切り替え、イントロを弾いてしまっていたのだ。それもただでさえヤバい俺のギターで、当時練習しまくっていたフレーズ……。


場を凍らすには充分だった。


雅人は驚きを隠せず、

「まひる弾ける……いや馬、弾けすぎ?」


もう何が言いたいのかわからないくらい動揺していた。


俺はすかさず、「馬ってなによ?」と笑ってごまかした。


本日のスタジオはもう、最初のせいでよくわからないテンションになってしまった。


もちろん、ねごとのカロンもしたのだが、意外とかなちゃんは練習していて形にする事はできた。

だが、あまりの実力差に、雅人は終始何かいいたそうだった。


とりあえず文化祭までに3曲やろう!という事になり、明日出演申請を出す事が決まった。





スタジオが終わって解散したあと、ゴリ……いや雅人が猛スピードでくるのがわかる


俺は振り向き、なに食わぬ顔で「雅人どうしたの?」と聞いた。


雅人は必死に

「おまえさ、ギター何年やってんの? 俺マジびびったんだけど……」


そりゃビビるだろう……お前らの先輩達よりは遥かに上手いと思うぞ、などと思いながら兄の時と同じ手で行く事にした。


「ギターは……先週? 始めたよ? 上手かった?」


すると雅人は、

「いや、上手かったとかの次元じゃねーよ、先週? うそだろ?」


嘘はついていない、まひるちゃんでは20年も弾く期間は無いからね……。

あたり障りなく天才感を出すと、


「マジか、文化祭あっと言わしてやろうな!」


と、嬉しそうに目を輝かせていたので、「そうだね! 頑張ろう!」って言って別れた。


内心クオリティにはもちろん自信はあったのだが、人の心を動かせるかは心配だったので雅人の反応に驚いた反面、ほっとした自分もいた。


ただ、上手いね、で終わる可能性もあったから……だがその晩俺はこれからの計画にとんでもない問題がある事に気付いてしまった。


(当たり前の事なんだけどね……)

○用語補足


・スネア

いわゆる小太鼓。ドラムのセットはバス、スネア、ハイハットの3つを中心として3点セットといわれている。


・ペダル

バスドラを踏むための物。


・ワンタム

ドラムのセットのパターンの一つ。タムと呼ばれる太鼓が1つでセッティングする形。

ワンタムでのメリットは、ライドシンバルが近くなるので叩きやすい。その分シンプルになるので、引き出しにある程度自信がないと難しいと思う。

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