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俺の音楽ここにあります!  作者: 竹野きの
メジャーに向けて
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社長の考え

「ちょっとタキオさん、それはいくら何でも……」


売れる為なのは分かる。

だからと言って、自ら声かけてまで俺たちを応援してくれている吉田くんを切る様な真似はタキオの意向でもさせない。


「まひるさん。気持ちは嬉しいですが、サイトの件はタキオさんと話して決めた事なんです」

吉田くんは、俺の目を見た。


「ただ、全て外れる訳では無いです。僕はこれからは撮影に絞って協力していくつもりです……僕は写真部なのでサイトはおまけみたいな形ですから……」


「……そう。吉田さんには"ハンパテ★"

を近くで撮影するのに特化してもらいたいと思ってます」


吉田くん、それでいいんだね……


「そのかわり吉田君にはストロボの使い方や、データの出し方、撮り方を私からレクチャーします」


タキオ、撮影知識まであるのかよ。


「そして、ゆきさんにはトレース用のイラストパーツを書いてもらおうと思ってます」


「わたしは問題有りません、必要なものはタキオさんに連絡貰いました。 でも……」

「ゆきちゃんどうしたの?」


「わたしの絵でいいのですか?」


「欲しい雰囲気なので頼みましたよ? 私が妥協するように見えますか?」


「それならいいんですけど……」


タキオが言うには、"自分たちでしている感"を出していきたいのだと言う。


ただ、本当にするのではなく、その感じは出しつつ、商用として相応しいページに纏める必要があるらしい。


「ちょっと難しいかもしれませんが、サイトのCMS化を行います。そうする事で、少ない人数でも管理でき、スマホページも綺麗にレスポンシブ対応出来ます」


???もう、よくわからないけど、取り敢えず良くなるのだろう。


「現在運営してるブログもサイト内に移行しSEO、要は検索されやすくします。取り急ぎはそんな感じでコンテンツは随時追加していきます」


いやいや、これ理解出来てるやついるのか?

取り敢えず知ったかぶりして後で電話で聞いておくか……。


その後、タキオはゆきちゃんに素材の描き方、吉田くんに外付けのストロボの使い方を簡単にレクチャーした。


側から聞いているだけでも、枠を考えイラストを描く、ストロボを正面で当てないとか、いつ使うかわからないけど為になる話をしてくれているのがわかった。



♦︎



その後西田さんと、シーサイドの副社長の人が来ると、吉田くんとゆきちゃんは挨拶を交わして別れた。


「初めまして、シーサイドレコーズの山野です。みんなびっくりするくらい若いですね……」


シーサイドレコーズは西田さんと山野さんが2人で運営しているらしい。


「なんか久しぶりだね! ツアーを回ったのがずいぶん前に感じるよ」


「社長きてはるやん!」

「かなちゃん、急に呼び方変わってどうしたの?」

「いやぁ、西田さんが……って言ってたらおとんが雇われるんやから社長とよばなあかんって……」


「ははは、気になるから"西田さん"のままでいいよ! ちょっと普通の会社とは違うからね!」


かなは少し照れたように笑った。


「それはそうと、販促だよね? 基本的にはタキオくんの提案でいいのだけど……バンド名の件は了承してもらえたのかな?」


「はい……」


「僕は、タキオくんの考えも理解しているけど、名前に関してはバンドの意思を尊重したいと思っているよ? 変えた方がいいと思うなら変えてもいいし、変えたくなければ断ってもいい」


「西田さんとしては売れた方がいいんじゃないですか??」


「僕はマーケティング力よりも本人達のモチベーションの方が左右されるとおもうからね……」


西田さんがどちらでもいいというのはそういうことか……


バンドは繊細なバランスで出来ている。いくらマーケティングに優れた名前でも本人達が売って行こうとならなければ、その方がダメージがでかいのか。


「それで、どうかな?」


「いいと思います!」

「うちらはかまへんよ!」

「やっぱり考えられてた方がいいですね」


「そうしたら、新しいバンド名でシーサイドに来てもらおうかな!」



「「「はいっ!」」」



「そしたら販促関係は、タキオくんと、僕と一緒にメールなどですすめていくとして……君たちはゴールデンウィークに合宿してもらう!」


「合宿ですか??」


「山梨に、スタジオが24時間使える合宿所があるんだよ、そこでレコーディングする残りの曲を完成させて欲しい」


「そんな所があったんですね!」


「富士山も見えるから、気分転換も出来ていい環境だとおもうよ! 君たちはアーティストだから、取り敢えず曲ができてないうちは音楽を作る事に専念してほしい」


西田さんはそういうと、山野さんとタキオとどこかに行ってしまった。


多分、俺たちがいっぱいいっぱいになっているのを感じて、優先順位を示してくれたのだろう。


その意思をひなやかなにしっかり伝えるのが俺の仕事だ。


少し不安気な2人の顔をみて、俺は服を正した。普通の生活との境界線、今がその時なんだと思った。

◯用語補足

・CMS

コンテンツ管理システム。

プログラミングやコーディングが出来なくても簡単にサイトを更新できる様にするシステム。


・レスポンシブ

画面のサイズに合わせて、サイトを表示させる仕様。

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