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俺の音楽ここにあります!  作者: 竹野きの
第2章 バンド作り
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課題解決!

ライブの晩、"サカナ"と西田さんは、ホームと言う事もあり、長年のファンや、知り合い達を打ち上げに行った。


俺たちは、ホテルに向かい仙台でのライブについて、3人で相談する事にした。


「ライブ、どうしよっか?」


「今でもいいと思う事やってるから難しいねんなぁ……」


仙台は車でもかなり遠いので、明日はほぼ移動のみ。明後日は宣伝活動と別に2時間だけスタジオがある。


何か演出をするなら、この練習の2時間で試しておきたいところだ。


「今のわたしたちのライブに足りないのはなんだろう?」


「あたしはまだまだ、お客さんを楽しませる演出が詰めれて無いと思う。 でも……どうやって詰めたらいいんだろう?」

ひなは、眉をひそめ首を傾げた。


「MCでうちとまーちゃんで漫才するとか?」


漫才か……新しい気もするけど……。


「ちょっとやってみよか? はい、3曲目終わりました……どーも! H.B.Pです〜! 今日もええ天気やなぁ〜」

そういうとかなが目配せした。


「えっ? わたし、やるの?」


「はよはよ!」


「ええ天気って雨降っとるやないかーい!」


「まーちゃん、ホールのみんなの顔ははれとるんやで?」


「ほんまや!」

と言って俺は手を叩いた。


「って、こんなコミックバンド感でいいの? ちょっと面白いけど……」


「あかんかなぁ? 」


「い、一案として? ちょっと他のも考えよ?」


少し悩むと、ひなが口を開いた。

「お客さんってあたしらの何をみにきてるんだろ?」


「そりゃ、うちらの音楽ちゃう?」


「でも、ほとんどの人はあたしらの事しらないよ?」


確かに! 転生前は常連ばかりだったから知らない沢山の人って事を忘れていた!


「ひな! それだよ!」


「ん? まーちゃん何かいい事思いついた?」


「わたしたちの自己紹介を入れよう! そしたら初めての人にも知ってもらえるし、親近感、演出感もでるんじゃないかな?」


かなはハッとした様に、

「あの、1人ずつ凄いワザ演奏して行くやつやろ?」


「そうそう! 自己紹介しながらしたら盛り上がりそうじゃない?」


ちょっとかなは困った顔をすると、

「まーちゃんはええけど、うちは何するん? ひなもそんなんしてるの見たことないで?」


「うーん、ひなは雅人のウォーミングアップをちょっといじろっか? かなは、スラップ練習してなかった?」


「雅人のウォーミングアップってあのどんどん細かく叩くやつ?」


「そうそう! 最後のはちょっと雅人すぎるからダブルキックとかでひなバージョンに出来ないかな?」


「うーん、ちょっと明後日までに考えてみる……」


「スラップはうち、練習してるけど、フレーズのネタが何もないで?」


「わたしが教えるよ! 凄くみえるやつ!」


「まーちゃんベースもできるん?」


本当はある程度弾けるが、かなの事を考え、言わない様にしていたのだけど。

まぁこの際仕方ない!

「フレーズの案は作れるけど、弾くのはかなにして貰うしかないかな? あはは」


「ギターやし、確かに出来そうな気位するけど、めちゃめちゃ難しそうやな。 でもせっかくやしやろう!」


そういうとかなはベースを取り出した。

「ただ、もともと練習してたスラップと、アキさんに教えて貰ったスラップがちょっと違うんやけど、どっちがただしいん?」


「えっと、とりあえず両方弾いて見てくれる??」


そういうとかなは二つのスラップを順番に弾いた。


「なるほど、1つ目はレッチリのスタイルだね! 多分どっちが正しいってのは無いと思うけど、わたしはアキさんの方がいいと思う」


レッチリのスタイルは、親指の側面を当てるアタック重視のスラップ。 アキさんの方は側面をかすめ、下の弦を自動的にミュートするスラップだった。


「そうなん? レッチリ風の方が速くていい気がしてたんやけど……」


「うん、ただそれだと、左手のミュートが細かくなって結構練習しないとかなの正確にしっかり音を出してる良さが活かせないかなって」


俺はかなの隣に座り、手を取る。

「こっちのスラップなら弾いた後親指を上げる時も1音稼げる!」


かなに密着してると、ひなが少し膨れた。

「ほんまや! 左手はオクターブでええの?」


「そうそう、かなは薬指でプルするん?」


「うん、人差し指やと届き難いから中指と薬指でするようにしてる」


なるほど、多分俺も今は人差し指はきつそうだな。


「基本的に右手は、サム、プル、サムアップか、サム、サムアップ、プルでするけど、左手でハンマリングやプリング、解放弦を合わせると物凄く速く弾いてる様に聞こえる! こんな感じで!」


ドゥルルパッ!


「凄い! めちゃめちゃ速くきこえる!」

振り向いたかなの顔の近さにドキッとする。


「ん? まーちゃんどうしたん?」


「いや……」


ひながベッドの上でバタバタしている。

「これを使うのはわかってんけど、フレーズにはどうしたらええの?」


「あー、ちょっとルートで遊んでから、それをしながらキーに合わせて半音づつ上げて見て?」


「こ、こう?」

かなはぎこちないスラップの後、半音づつ上げながら、一連の流れで弾いた。


「うんうん! 遊びの部分をもっと詰めればそんな感じでいいとおもう!」


「ありがとう! まーちゃん!」

そういうと、かなは抱きついてほっぺにキスをし、俺は少し赤くなる……。


するとひなが爆発した。

「もうっ! まーちゃん、あたしも手取り足取り教えて! かなばっかりずるい!」


そういうとベッドに押し倒し、またがると至近距離でひなは言った。


「あたしはどうするの?」

ひなが可愛いすぎて動悸が止まらない。


「ひ、ひなは、ドラム無いと出来なくない?」


「そうなんだけどさー、ひなも何か教えてほしいよ……」


俺も何か教えたいんだけどね。ひなは器用だからあんまり教える事無いんだよな。


多分本当の天才は正直ひなじゃ無いか? とさえ思うくらい、実際ひなの習得は早い。


「強いて言うならゴーストノートかな?」


「ゴーストノート? なにそれ」


「実際ひなは結構自然にやってるんだけど……意識すると幅は広がるかも?」


かなはベッドホンにクリックを繋いで黙々と練習を繰り返している。


「ねぇ、教えて?」


ひなはまたがったまま可愛いく言った。

俺は起き上がると、ひなが近い。そして可愛い!


えっと、この今にもキスしそうな距離で説明するのか? と思いながら伝える事になった。


「ゴーストノートっていうのは、叩かない叩き方なんだ」


ひなは不思議そうな顔で頷いた。

まだお風呂に入って無いのに何故かいい香りがする。


「叩いてるときに、間を入れるとリズムが変化するでしょ?」


「その時にまーちゃんにチューしたら……イテテ」俺はひなのほっぺを摘んだ。


「その本当は叩きたくなる所に間を入れるのがゴーストノート!」


「んっ! ってなるやつ!」


「そうそう! その『んっ!』って部分をフィルが気持ちよくなる所で入れていくの!」


「気持ちよくなる所ねぇ……」


「ひなぁ?」


「ふへへ……」


「やっぱりドラムは基本パターンのリズムをループするのは大事だから、そのリズムを残しつつどう展開していくか? になると思う」


「うん、イメージ出来てきた、まーちゃんありがとう! それじゃ一緒にお風呂はいろ?」


ひな、本当にわかったのかな??

かなは物凄い集中力で、練習を続けていた。


まぁなんだかんだでひなはできるだろうから大丈夫かな?

◯用語補足


・オクターブ

振動数が2倍の音階、簡単に言うと低いドと高いド


・スラップ

プルとサムを合わせた弦楽器での奏法。

主にベースで使用される事が多いがギターでもあるよ!


・サム

親指を使い弦を鳴らす(叩く)奏法


・プル

指で弦を引っ掛ける様にして鳴らす奏法


・レッチリ

レッドホットチリペッパーズというバンドの略

ベースのフリーがスラップをよく使う。


・ゴーストノート

弾かない奏法、間。作中では弾かない(叩かない)としてるが、鳴らさないミュート音も入ると思う。

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