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俺の音楽ここにあります!  作者: 竹野きの
第2章 バンド作り
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仲直り

怒る理由はわかっていた。

"サカナ"のホームで、主催のライブなのだ。

正直お金を払ってでも出たいバンドはいるだろう。


お客さんを呼んでもらって、だめなライブをする。 アマチュアバンドだとしても最低だ。


俺は、ひなとかなを呼び西田さんに言われた内容を話した。


「かな? なんで、そんなに落ち込んでるの? リクソンさんに話した件は解決したよね?」


「うん、そこはわかってんねんけど……」


「じゃあなんで? ライブの方が問題になってるのわかってるの?」


「それは……まーちゃんにはわからへんよ」


俺にはわからないってなんなんだよ、わかってるならしろよ。俺はかなの態度にイライラした。


「もう、かなもまーちゃんも落ちついてー」

ひなが止めに来た。えっと、俺も?


「かなは、言わなきゃ分からないよ? まーちゃんは追い詰めすぎ! ちょっと一旦落ち着こう? ね?」


ひなは、かなの前には立つと、両手でかなのほっぺを挟み優しく語りかけた。

「かな? どしたん? あたしにもいえない?」


「言えなく……ない」


「まーちゃん、少し外すね?」

ひなは少し笑顔でそういうと、別の場所に行った。


俺には言えないのか? なんだよそれ。



♦︎



10分ほどして、俺のイライラも収まってきた。実際おれは、問題の解決ばかり見てしまって、かなの気持ちには向き合って無かったのだと思う。


いくら仲が良く、いい子だったとしても、まだまだ思春期の女の子だ。おれは今まで、バンドを武器に押しつぶして来たのかも知れない。


ひなが戻って来たら謝ろう。

俺はそう心に誓った。



しばらくして、ひなとかなが戻っ来た。

かなは気まずそうにしていて、ひながかなの裾を引っ張っている。


俺が大人を出さないといけない時がきたのだ。


俺はかなに駆け寄り、気まずそうなかなを抱きしめ言った。


「かな、ごめんね。 わたし、押し付けてばかりで、かなの気持ちに向き合おうとして無かった」


かなは少し驚いた顔を見せ、ゆっくりと涙が溢れ気持ちに訴える様に返した。


「ごめん、まーちゃんは一生懸命に対処してくれてただけなのに、自分勝手な気持ちで迷惑かけちゃった」


俺もかなも葛藤がある事を理解し涙が止まらなくなっていた。ひなはその様子を見ると気を遣ってくれたのか、気がつくとどこかへ消えていた。


「かな、泣きすぎて変な顔、美人が台無しだね……」


「まーちゃんも、目腫れてもしらんで……」


フフフと笑って、かなは俺の額におでこをつけた。


それから少し、かなと話し、かなの気持ちを聞いた。 理由としてはリクソンさんに怒られた事より、リクソンさんが俺に対処するように言って、俺が対処した事。そしてその対処が出来ないと思われていた事で、モヤモヤしていたらしい。


えっと、要は嫉妬? でいいのかな?



♦︎



かなと仲直りは出来たけど、問題はそこだけじゃない。 西田さんと"サカナ"に謝りに行かなくてはいけない。


俺はとりあえず西田さんに話に向かう。

「西田さん、わたしが周りが見えておらず、メンバーのフォローが出来ていませんでした。 申し訳ありません」頭を下げて精一杯謝罪した。


西田さんは少し笑うと、

「もういいよ、君たちは、いいバンドだね。」

と優しく言った。


「それじゃ……」


「本当はね、許す気は無かったんだけどね。 だって人の集めたライブを自分勝手な態度で出るなんてバンド以前の問題だからね」


「はい、わかります。 絶対ダメです」


「でも、あの後。 かなちゃん、ひなちゃん、君がそれぞれ自分の責任なんだ。 と言って僕に言いに来たんだよ」


「2人が先にですか?」


「そうだよ、それぞれが責任をちゃんと感じている様だから、時子達にちゃんと謝ってこの件は終わり! 時子達もすぐ許してくれるだろう」


俺たちはその後、"サカナ"のメンバーに謝りに行くと、西田さんのイメージと違い時子さんは全然許してくれなかった。


「えー? ダメ! わたしらのホームライブだよ?」


「本当にごめんなさい……」


時子さんは、ホームだった事。リハーサルの様子を見て確認した事なんかもあり、許さない理由を無限ループの様に返された。


「時子、もう許してあげよ?」

アキさんもフォローしてくれた。


「じゃあ、次の仙台! ……今日の事が小さく感じるくらい、いいライブして?」


「はいっ!」


二つ返事で返してしまったが、釘をさされてしまう。


「いつも通りじゃだめよ? 何か違うと感じさせてね?」


こうして、俺たちは次の仙台のライブで何かしらの変化をしなければならなくなった。

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