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俺の音楽ここにあります!  作者: 竹野きの
第2章 バンド作り
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前半ツアー終了!

トントントントン……


今日も包丁の音で目がさめると、味噌汁のいい匂いがした。


この身体になってからは赤味噌の味噌汁ばかりだったので、新鮮に感じる。


たったの5日間出ていただけなのに、名古屋に帰るのが凄く懐かしい気持ちになった。


かなとおばあちゃんの声が聞こえる度に、かなはもう少しいたいのだろうと思う。


大阪、次はいつ来れるだろうか?



♦︎



朝食が終わると、俺たちはかなのおばあちゃんにお礼を言った。


「おばあちゃん、また来るから元気でいてな?」


「何ゆうとんの? かなのひ孫を見るまでは元気にしとるさかい、またいつでもきてな?」


「うん、おばあちゃんありがとう、またくるからね……」


かなは涙を浮かべ、おばあちゃんにさよならを言った。



♦︎



最寄りのなかもず駅に着くと、丁度西田さんのハイエースがくる、ツアー前半の帰り道はこうして始まった。


「今日で一旦帰宅だけど、ツアーはどうだった?」

時子さんが尋ねた。


「とても勉強になりました! 本当に機会を頂きありがとうございます!」


すると西田さんが、

「この数日で大分成長したと思うよ! まだまだ後半もあるからよろしくね!」


俺たちは「よろしくお願いします!」と言うと、西田さんは続けて言った。


「この数日で、君たちを見て思ったこと言っでもいいかな?」


「是非、お願いします」


「まず、ひなちゃん、かなちゃんはもう少し見せる事を意識して欲しい、しっかり演奏しようとしているのはいい事なんだけどね」


「見せる事ですか?」


「見せると言うよりは魅せるかな? かなちゃんは前をしっかり向く、ひなちゃんは、叩くアクションにメリハリを付ける!先ずはそこだね!」


「確かにうち、下向く事が多いかも……」

かなは少ししゅんとした。


「まひるちゃんは、歌だね。 完成して来てはいるけど、ほぼ確立されたギターを向上させるより歌の方が早そうだ」


「はい……」


「あと、これは僕からのプレゼント、ちょっと時子渡してくれるか?」


そういうと、時子さんは足元の袋をわたしてくれた。


えっ?

「いいんですか? こんなのもらっちゃって」


西田さんはベータ57のマイクを2つと、スティックケースをくれた。


「今、君たちに必要な物だと思うからね。ひなちゃんは、あんまり可愛くはないけど、ドラムに掛けて使えるのはいいだろう?」


そう言えばひな、スティック落としたの見たことないけど、折れたり落としたりしたらどうする気だったんだろう?


「うちのマイク、しかもええやつ! 西田さんありがとうございます!」


「ライブハウスのマイクは劣化してるのもあるからね、他にも外でライブする時やスタジオなんかでも使えるから便利よ!」

時子さんは片目をつぶる。ん?ウインクかな?


大阪から名古屋までは直ぐに着いた。


「今日は、そうしたらみんな家に帰って、明日は僕だけで迎えに来るから!」


「時子さん達は来ないんですか?」


「明日は浜松だから私たちはそのまま行く方が近いのよ!」


なるほど、"サカナ"は浜松が拠点だから……ってことは明日は"サカナ"のホーム!?

昔からのファンがいるのか……。


俺たちは初日に集合した場所に下ろしてもらうと、西田さんと"サカナ"にお礼と別れをつげた。


「なんか、久しぶりって感じがするね!」


「なんか街がちっちゃなってる気がするなぁ!」


「あはは、それ"スタンドバイミー"みたいだし」


かなと、ひなは不思議そうに俺を見て、

「スタンドバイミー?」

「昔の映画だけど見たことない?」


「「うん」」


マジか。まさかスタンドバイミーを知らないとは、

「面白いから今度見てみてよ! しかし今回は、流石に疲れた感あるねー」


「そだねー、中々内容の濃い前半ツアーだったね……」


「明日からも後半があるから、今日は早くゆっくり休んどこ!」



♦︎



俺は家に着くとツアーの話をして、早めに寝る支度する。今日は早くねないとな。


ブーン…ブーン……。


電話?もう一人の転生者タキオからだ。

「はい、タキオさん?」


「まひるさん、つかぬ事をお聴きしますが、こちらの自分に会った事ってあります?」

タキオはすこし焦っている様子。


「まだ、会った事は無いですけど、電話なら掛けた事ありますよ?」


「電話、あるんですか? それは、転生前にそのアプローチってきてたんですか?」


「電話に関しては、来てたと思う、いたずら電話の記憶が有るから……」


「そうなんですか……また連絡します」


そういうと、電話が切れた。

タキオは何をしているんだろうか?

気になりながらも、俺は明日からのツアーの為に眠りについた。

◯用語補足


・ベータ57

シュアーのだしてるマイク、楽器用SM57、ボーカル用としてライブハウスに良く置いているSM58があるけど、この楽器用マイクをボーカル用に高音域もしっかり出るようにしたのがベータ57。


ちなみにSM57をバンプオブチキンの藤原さんが使っていたなど、ボーカルマイクにする人もいます。


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