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俺の音楽ここにあります!  作者: 竹野きの
第2章 バンド作り
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イベントライブ

エメラルドホール。

20代の時、名前が変わる前に2回出た事はあるが、まさか結成4カ月以内、メンバーチェンジして約1カ月でこのホールに立つ事になるとは思わなかった。


少し早い目に到着し、田中さんに挨拶をした。田中さんは一言目に、


「えっ、マネージャーの子がドラムになったの?」


インディーズバンドでは無くは無い話なのだが、俺たちは違う。


中学生ですごいドラマーが何人もいるはずはないのだ。


「でも、自信はある様だね、今日はよろしく」


田中さんは表情で読み取ったみたいだった。

セットリストを見て頷くと、マッドのリハを見るように勧めた。


「ねぇ、あれマッドかな?」

かなはテンションが上がっている。


セッティングを終えたマッドは普段のライブの雰囲気とは違い丁寧に挨拶し、シビアな要求を繰り返した。


「うちらがしてたリハと全然違うんだけど」

かなは動揺していた。


リハをみていた俺はある事(・・・)にきづいた。


あ、これはかなりまずいかもなぁ。

急いで二人に声をかけた。


「ひな、かな、今回のPAさんかなりシビアかも、ちょっと覚悟した方がいいと思う。基本的に中の音以外はわたしが話す様にするから、返しはなるべく明確につたえて」


「え? どういう事?」


「いや、この規模なんだからアーティストもある程度わかっていろよ! ってスタイルの方だから……その分腕は確かだよ」


「ちょっと怖いね」


「まぁ覚悟してたら大丈夫かも」


そう言って俺は田中さんの元に向かう。


「すいません、」


「まひちゃん、どうしたの?」


「PAさんの件で、」

俺は少し言いづらいのを抑えて濁した。


「なるほどね、もう気づいちゃった?」


「知ってたんですか?」


「大丈夫、君以外にはサポートしてあげる様にってつたえてるよ」


俺もサポートして欲しいんですけど……、

「ありがとうございます」


「正直どう? 自信の程は?」


「ふざけすぎですね」


「ははは、その答えなら安心したよ、ちゃんと戦う相手と認識してる様だね」


「本当に田中さんはよくわからないです」


「いつまで君がカバー出来るんだろうね? 本物の天才は乗り越えるよ?」


「あの二人の前ではやめてくださいね」

少し田中さんを睨みながら強目の口調になる。


「今はしないよ、これでも叩き所は分かってるさ、君より沢山の時間をこれに費やしてきたからね」


そこは信頼します……


「君たちのエンターテイメント、楽しみにしてるよ」


「音楽って言わないんですね。何かしら掴んで帰ります。」

2人の元に帰ると緊張している様だった。


「まーちゃん、あたしら大丈夫かな? 他のバンドすごいよ、、、」


「やれる事はやったから、無理せず行こう!」


「うん!」





そして俺たちのリハが始まった。


「何?君たち中学生?みんなこれで飯食ってるの分かってる?」


よろしくお願いします!


「ねぇ、2人は声はって挨拶もできないわけ?」


「よろしくお願いします!」

「よろしくお願いします!」


「最初からちゃんと意識もとーよ」


予想以上にヤバいな。

2人は大丈夫かな?


「基本的に君がセッティングするのね? 俺は外にいい音出せるように言ってるだけだから理解してね?」


「はい、ここギターどうする?、

切り方は?

パンでいいの?

ここEQいじるわー

はい、外確認よろしくー

あ、スネアチューニング甘いわ調整して

はいオッケー、他確認は?」


「大丈夫です!」


「思ってたよりいいじゃん」


「ありがとうございます」


「まーちゃん大丈夫?」


「うん、ちょっと口悪いけどいいPAさんだよ」


バックヤードに戻るとさっきのPAさんがいた。

「あー、おまえ」


「わたしですか?」


「中学生だって?」


「はい」


「すげーじゃん、外音は安心して任せてよ、おまえらはパフォーマンスにだけ集中したらいいから」


「あ、ありがとうございます」


「いい人なのかな?」


「音に真剣なだけでいい人なんだよ。そうじゃないとここでPAは出来ない」


「こんにちは、マッドウィンプスの小田です! 君たちでしょ?中学生! 今日はよろしくお願いします」


「あ、はいよろしくお願いします」

「よろしくお願いします」


「リハ見てたよ、とんでもないね! 今日はよろしく、また終わったら声かけてよ!」


「ありがとうございます」





あっという間に会場のオープンになり俺たちは準備する事になった。



「ねぇ、いままで練習してきた事を思い出して」

ひなとかなの肩を手でつかむ。


「うん」

「大丈夫」


「やれる事はやったね、行こう!」


そしてステージに向かった。


2000人くらいいるんだろうか。

やけに静かな真っ暗なステージでギターを手にとって確かめる。


「うん、わたしのギター」


SEがながれ、ライブはあっという間に終わった。


正直夢中であんまり覚えていなかった。

ただ頭の中で沢山の歓声が響いているだけ。


でも、俺たちの音楽はここで響いていたんだ。



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