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俺の音楽ここにあります!  作者: 竹野きの
第2章 バンド作り
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リスタート

"マスたん"を持った俺は、共同での作り方を説明する事にした。


「まずはかな……かなのベースの強みはなんだろう?」


「えっ? うち? うちは沢山練習してることかな? 派手なプレイは出来ないし……」


「わたしが思うに、かなは安定感、かな? シンプルなフレーズだけど音が綺麗。しっかりリズムを刻んでくれているから全体の音が安定してくる」


「多分だけど曲に対して、フレーズ内でどれだけ綺麗に弾くかを常に考えてるんじゃないかな?」


「うん、足は引っ張りたくないからなぁ」

「だから聞き手は安心して聴けるんだよ」


「次はひな。ひなはどう?」


「あたしはまーちゃんも言ってた様にペダルかなぁ? ペダルは雅人のドラムもしっかりコピーできてると思う」


「うん、緩急もしっかりつけれていいバスだと思う。ただ、上も、雅人よりいいと思うのは繊細さかな? タム回しや、スネアでの遊びは勢いのが有るのは雅人の強みだけど、丁寧に叩く感じはまた違った雰囲気でいいと思う」


「だからひなは威力じゃなくリズムと音でキレを出すのがいいんじゃないかな?」

「リズムはわかるけど、音?」


「そう、簡単に言うと、雅人はマックスの音量を出す事で安定感を出しているんだ。だからタムなんかの手数で強弱が付いた様に聞かせてる」


「だからマイクが拾いやすい音も自然に入り音圧がでてるんだよ」

「そうなんだ」


「だからひなはマイクが拾いやすい音だけ出すのを意識して、各パーツを叩けば音圧がでる!」

「えっ? どうすればいいの?」


「ちょっとスネア借りていい?」

その言って俺はドラムブース座った。


「バスって場所が固定されてるでしょ? だから早く踏むだけで音圧がでる」


ドムッ!


「こんな感じで。でもスネアやタムやシンバルって自分で叩く場所を自然と決めて叩いてる」


「だから比較して叩いてみると……」


ポコッ


スパンッ!


「大げさにするとこんな感じに音が違うんだよ。まぁ、2回目はリムショットなんだけど。だからフィルみたいにおまけの所以外はこの"スパンッ!"って音で常に叩けると音圧にもつながる!」


「えーっ! 難しそう!」

「それを意識してライブまで練習しよっ!」


「うん、わかった」


「今の成長スピードなら全然大丈夫だとおもうよ! 一応雅人も意識してるからしっかり音が出てるんだけど、チカラで持って行けてるから強弱をつけた時にちょっと甘さが出てる」


「そこを操れたら雅人に勝てるね!」

「これが出来ないと雅人には勝てないのかー」


「まーちゃん、うちにはなんかないん?」

「かなはその安定感をキープしながら出来る事を広げていくのが一番!」


「そうなんかー」

「安心して! 広げるフレーズ入れるように提案して行くから!」

「う、うん」


「そうしたら、どんな曲にしよっか??」

「うちカッコいいのがいい!」

「あたしも凄い! ってなる曲がいい!」


かっこよくて、凄いか……。


「了解!じゃあこんなのはどう? ちょっとリズムが難しいかもだけど!」


「カッコいい!」

「カッコええねんけどなぁ」


「かな?どした?」


「なんかそれやとやっぱりギターに頼り過ぎっていうか、ベースは刻むのと伸ばすだけになるやんね?」


「うーん、そうやね。そうしたらちょっとベースが面白い感じにしようか!」

「ベースが面白い感じ?」


「じゃあいくよ!」


「あ、さっきよりリズムの伸びがちゃうね!」

「そう、ちょっとベースを貸して!」


「こんな感じで、」

デューン!


「おおっ!」


「ここにひながダブルでキックを入れる! ひな、いける?」


「うんっ!」


「せーのっ!」


デューン! (ドルルッ)


「すごい!ちょっと長めのスライドを入れただけなんにちょっと速弾きしてるように聞こえる!」


「そう!ただこのスライドの速さの1番ハマるところを掴まないとだけど、かなり複雑な感じでしっかり聞こえる!」


「これいいやん!」

「でしょー??」





俺たちはそのまま朝まで新曲作りに熱中した。


そしてついに。


新メンバーでの新曲が完成する事になった。



「ごめん……歌いたいけどもう声が出ない」

「まーちゃん、しかたないよ!」

「そうそう! ずっと歌いっぱなしやん」


それから、昼前に忘れない様に何度か合わして、その日は解散することにした。



こうして、お店を借りる最終日、雅人と雅人のパパさんを呼んで聞いてもらうことにした。


「雅人、お前がすごいって言っていたのはあの右側の子か?」

「そうだよ、本気ですげーから」


「そうか……そんなにすごいなら雅人は続けたかったんじゃないのか?」

「まあね。親父、その辺は言わないでくれ」


「それにしてもアイドルみたいなバンドだな! 全員かわい子ちゃんじゃないか、これでいい感じになってるならお前は抜けて正解かもな! ははは!」



「すいませーん! 準備できました!」

「おう! 外音も出しとるよ!」


俺たちは、イベントでする曲の流れで全曲をやりきった。この1週間半、みっちり合わせたおかげでそれぞれの課題も大分クリア出来たと思った。


演奏している間、おじさんは終始目をつぶって曲をきいていた、ジャズバーのマスターにはどんな風きこえたんだろうか?


演奏が終わると、雅人がテンション上がって話しかけてきた!


「ひな! めちゃくちゃ上手くなってるじゃねーか! 師匠としても嬉しいよ!」


雅人は嬉しさのあまり泣いていた。


すると、黙っていたおじさんが口を開いた。


「まひるちゃん、だったね」

「はい、わたしたちの演奏どうでした?」


「そのマスタングギターといい、君のテクニックと引き出しといい、正直ここまでとは思っていなかったよ」


「あ、ありがとうございます」


「よく音をまとめあげてる。 雅人がべた褒めしていたから、雅人よりは上手いと思っていたけどなぁ……雅人、あの子を超えるにはもっと本気で頑張らないといかんな」


「わーってるよ」


「ベースとドラムも無理せずに自分の実力を理解した凄くいい演奏だった。 雅人の弟子らしいが、もう自分のスタイルを見つけているみたいだね」


ひなとかなはそっとハイタッチしていた。


「ありがとう! 久しぶりに今後の音楽の楽しみが出来たよ!」


「すいません、長い間貸していただいて」

俺は深々とお辞儀をした。


「またいつでもいいなさい! 君たちみたいなかわい子ちゃんなら大歓迎だよ」


ははは!


おじさんの笑い声がホールに響き、頂いた言葉は確実に俺たちの自信になった。




──そして、イベント当日。

これで有名なバンドたちの土俵に立てたのだろうか?


期待と不安を胸に、俺たちは当日を迎えた。


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