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俺の音楽ここにあります!  作者: 竹野きの
第2章 バンド作り
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メンバーチェンジ

雅人が辞める?


現時点で雅人が辞めるのは、バンドの終わりを意味する。


中学生で、あのクオリティを探すのはかなり難易度が高いだろう。ここはなんとしても引き止めなくてはならない。


俺は学校で理由を聞くことにした。

この事をひなやかなちゃんには伝えるべきだろうか?


雅人が抜ける事でかなちゃんも……いや今は考えたくないな。


とりあえず学校では4人で話す事にした。

できれば1人で解決したかったのだが、この問題は俺だけの問題じゃない。ひなやかなちゃんの人生にも影響するからだ。


学校で雅人に声をかけた。


「雅人、昼休み4人ではなそう」

「わかった、おまえはそれでいい。ちゃんとメンバーにも話すよ」

「わたしからは2人には何も言ってないから」


そう言って、昼休み4人で話すことになった。メンバーが揃うと雅人は早速話し出した。


「みんなはまだ聞いてないかもだけど、俺はバンドを辞めようと思う。」


「うちの問題?」

かなちゃんが心配そうに尋ねた。


「いや、俺の個人的な問題だ。俺はこのバンドはもっとすごい事が出来ると思うし、かなも充分成長したと思う」


「ならなんで……」

「音楽に私情を挟みたくないんだ。我慢する事は出来ると思うが、そんな気持ちでこのバンドはしたくない、しちゃいけないと思ってる」


私情ってなんなの?


「まひる、言っていいのか? 後戻りは出来なくなるけど」

「わたし? いや、このままだとみんな納得できないって」


「わかった」

雅人はそういうと一旦口をつぐんだ。


「俺は……まひるが好きだ」


「はぁ?」


「やっぱり少しも思ってなかったんだな、いいよ、おまえはそれでいい」


バンド内恋愛になるからって事?

予想外だった。まぁ、メンバーが美少女だったら確かに俺も気になってたかもしれない。

それに雅人はひなが好きだと思っていた。


「別に入る時はそんな事はなかった。仲のいい女友達だと思っていたんだ」


それから雅人は、文化祭の前のスタジオ以来目で追ってる自分がいること、叶わないとわかっていたから何度も我慢しようと思っていた事。


そんな事言われても。


「俺は別でバンドするよ。本気でおまえらに挑戦したい、まひるがすげーって心から思うようなバンドにする、だから見返させて欲しいんだ」


「でもわたし達のバンドは? ドラムが居なくなって活動だってできない」

「本当は本人に言って欲しかったんだけどな。 ひな」


「えっ?」

「うん、あたしがドラムやりたい」

ひなは呟いた。


えっ、でも叩けるの?


「雅人には全然およばないとおもうけど、練習はしてるよ?」


「俺が入った時、きっと雅人は助けてるだけだからって練習始めたんだ。文化祭の時諦めかけてたけど、俺はひなには伝えてた」


そうだったのか。

全然知らなかった、あの雅人と2人で出かけていたのも、雅人に教えてもらっていたって事か。


「わかったよ。雅人がひなを勧めるって事は、ある程度完成してるんでしょ?」

「まぁ、おまえ鬼だからまひるが納得するかはわからないけどな。スタジオで詰めれば形にはなると思う」


「期待しとく」

「ところでさ、俺、告白したんだけど?」


「あ、うん」

そういえば告白されてたな、だが男と付き合う気はさらさらないんだが、気持ちは痛いほど分かる。


ここはどう返すべきか。


「雅人、見返されるの待ってる。あたしらを圧倒する様なバンドになったら考えてあげる」

「マジ? 可能性あるの?」


「言った事実行出来ない様な男には興味ないからね」

「なかなか厳しいっすね」


「一緒にメジャーに行こう!」

「そうだな、おまえのお陰で色々見えたきがするよ。ありがとう。」


話しは終わったが、なぜかかなはずっと涙目で話を聞いていただけだった。


俺たちは翌日の放課後、早速新しい形をスタジオで試すことにした。



♦︎



そして、スタジオでは早速大きな問題が発生した。


ひなは、予想以上には叩けていた。

マイスネアとペダルを既に持っており、ペダルは雅人に使っていないのをもらったらしい。


だけど、雅人の時と音圧が全然違う。これはテクニックの問題でもあるのだが、元がパワフルな雅人の叩き方では音圧が出ないのだ。



「ひな、ちょっとこれ使ってみて!」

俺はまひるでドラム叩く用に買っていた重たい8角形のスティックを渡した。


「まーちゃん、あたしダメかな?」


「ひなは、リズムは思っていたより取れてるんだけど、音が弱いんだよ、ちょっとそれを長めに持って叩いてみて??」


「うん、変わったスティックだね?」

「それだとしっかり握れて重いから音が出やすいの! さらにリムショットも慣れたら響きやすいと思う!」


「本当だ!音は出るようになったけどリズムが遅れる……」

「それは練習しかないかも」


「あとはペダルだけど、ひなは踏むというか蹴る感じで踏むと音が出ると思う。力より速く叩いた方が実は音が出るんだよ!」


「雅人はちょっとゴリだからそれでも充分音が出てたんだけどね!女の子ドラマーはそういう工夫で叩いてるよ!」


「まーちゃんありがとう」


まぁ、それでも初期の雅人にはまだまだ追いつかない。ただ俺はひなには甘いのだ。


雅人が、恋愛を持ち込まない様に辞めたのに、なんだか申し訳ない気持ちになってなるべく鬼になろうと誓った。



イベントまで一カ月とちょっと、果たして間に合うのだろうか。




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