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俺の音楽ここにあります!  作者: 竹野きの
メジャーに向けて
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太郎の過去

初めて音楽を聴き始めたのは中学一年の時だった。もちろん小学生の時からCDを買ったりしてたんだけど、周りに流されてと言うか流行りに乗っかって買っただけだったり。


そんな中、日本で有名なメタルバンドのギターが死んだ。当時大ニュースになって、様々な憶測が飛び交っていた。


俺は興味本意でその人のシングルCDを買った。ただニュースで流れ、沢山の人が泣いているのを見てどんな音楽をしているのかが気になっただけだった。


俺は家に帰って再生した時の事を今でも鮮明に覚えている。


"この世界にはギターでこんなに衝撃を与える事ができるのか"


俺は胸の鼓動が高まって、自分でもこのギターを弾けるようになってみたいと思った。


それから、お年玉をほとんど使い初めて買ったギターはスクワイアのストラトキャスター。


当時は2万前後だったのだが、中学生の俺には大金でチープなソフトケースすら宝物だった。


俺はそれから水を得た魚の様にギターを弾いた。


雑誌やラジオ、スコアや教則本など弾けるようになるためなら惜しまずこずかいを奮発して買い漁っていた。


少し音楽と呼べるくらい弾けるようになった頃なんとなく学校にギターを持って行きたくなった。


ちょっと学校のやつらに披露したいだけだったのかもしれない。


アンプを通さず、クリーントーンで弾いた俺に注目する奴なんていなかった。


この、原田(はらだ)と言う男を除いては……。


「一ノ瀬! おまえさっきメタリカ弾いてただろ??」


「あ、ああ。原田も弾くのか?」

「メタリカ好きなんだよ、でもあんまりやる奴居なくてさ〜」


「さっきも全然気付かれなかったしなぁ……」


「だろ? それでさぁ……」

「ん? どうしたんだ?」


「俺らでバンドやらね?」


俺はその言葉を意外に感じた。

正直俺は学校で目立つタイプではなく、どちらかと言えば音楽が好きなオタク。


その点原田は学校カーストの上の枠に入る様な奴だったからだ。


俺は原田から誘われたのが物凄く嬉しかったが、若干拗らせていた俺は


「別にいいけど……何か楽器できるのか?」


とカッコつけた返事を返した。


「ああ、任せろ! シドヴィシャスくらいカッコいいベースひいてやるぜ?」


と自信満々に原田は笑った。


いやいやシドヴィシャスって、、、別に上手くなくね?



それから原田らドラムも勧誘しこうして俺は初めてのバンドを組むことになった。


精力的に活動してはいたのだが、その後、そのバンドは中学の卒業を気に解散する。


高校の頃には色々なバンドに入ったりした。

気づけば"高校生で上手いギターがいる"なんて囁かれるようになっていた。


そう考えると"ハンパテ★"の凄さを実感するな……。


そんなある日、俺は原田から飯に誘われた。

中学で一緒にやっていたとはいえ、光と闇の様な俺たちはプライベートでは遊んだりはしなかった。


それだけに、薄々内容は察していた。


「なぁ、太郎……俺さぁやっぱりすげぇ曲やりたい……」


「結構凄い曲やってると思うけどなぁ? こないだも、チョッパーとかやり始めてたし」


「そうじゃねぇんだよ……」


そう言って原田は少し黙っていた。


正直この時原田の方が有名だった。

人は入るし、ツアーバンドと一緒にライブしたりアマチュアイベントばかりに出ていた俺には劣等感を感じるには充分だった。


「なぁ、太郎また一緒にやらねーか? 俺こないだのライブ見てやっぱりお前スゲーって思った! ドラムもスゲー奴声掛けてる!」


俺は、原田にもう一度誘われた。


「バンド名も"ブリーズヘッド"風とか騒ぎとかって意味だ。ヘドバンガンガンさせる様なバンド……作らないか?」


「原田ならいいよ! 今のバンド整理するから少しだけ待ってくれ」


俺は笑顔で返した。

これが俺の10年以上続くバンドの始まり。


"ブリーズヘッド"の始まりだった。



♦︎



原田……なんでお前が?

俺はこの時初めてもう既に"ブリーズヘッド"はかなり前から終わって居たのだと気づいた。

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