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俺の音楽ここにあります!  作者: 竹野きの
メジャーに向けて
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ヴァンヘイレンにさよなら

「ジュンさんどこ行ったんやろ?」

「かな、ナカノさんにきいたの?」


「う、うん。あ、でも普通になかええだけやで?」


そういったかなは少し恥ずかしそうにした。

あれからなんだかんだでこの二人は順調なんだろうな……。


「まぁ、でもジュンさんやしなぁ……」


キャラ的に急に何処かに行きそうではあるが、俺はそんな風には思えなかった。


「ジュンは大丈夫」


サヤの一言に何故か安心をおぼえる。


「いうて、うちらも時間が無いからアルバムの曲つくらなあかん……」


メジャーを断った今、俺たちは新しいアルバムを完成させなくてはいけない。


まだひなと作った1曲。それも完成してはいなかった。


「新曲ええねんけど、イマイチいつも通りな気がするんよなぁ……」


「僕もそう思う。実際この曲調でスクリームとかみたいに緩急がつけられ無いのはなかなかしっくりこないね」


フェスを終えたサヤは何かが変わった。

垢抜けたと言うのか、前ほどのいっぱいいっぱいな感じが無くなった様に思える。


「確かにもっと荒々しい感じは何処かに入れたいね……」


「ちょっといい??」

「サヤどうしたの?」


「3回目のサビ歌わないでくれるかな?」

「う、うん」


そう言うと、サヤはブーストをかけ、サビの部分でメロディーラインのソロを弾く。


「なにこれ?? なんかしっくり来る!」

「ふふっ。僕も歌いたいなと思って……」


確かに、ギターの音に変わる事で雰囲気が変わる。


「まひる、裏で暴れて?」


主線を崩さず、バッキングにタッピングを入れる。


「もう一度! もっと!」

「え、ええぇっ!」


さらに複雑に、更に、更に……


「そのままソロに!」

「いや、無理だよ! ほぼソロフレーズだから盛り上げられないよ!」


「サヤ、ほんまやで! 結構えげつないフレーズになってるやん、それを盛り上げろって……」


タッピングだとピッキングハーモニクスとかも入れられないし……


「まひる。考えないで……答えを持ってるはずだから」


そんな事言われても……。

なんか懐かしいな……"ハンパテ★"を始めてから、俺のフレーズで止まる事なんて無かったからな……。


ここが俺の限界??

いやいや、かなたちは同じように乗り越えて来た筈だ……。



やばい、考えてたら中指が間に合わない!

タッピングフレーズが崩れる!!


いや、このままピックでフレットを叩いてやるっ!



クソ、音が暴れ……俺なら出来る。

いつ使うのかと思っていた技だが……この展開なら……。


「ちょっと! ちょっと! 今のなんや! ピックでタッピングって」


「まひる、それだよ!」


ピックタッピング。

使うアーティストは居る、だけど俺は長年俺の得意技として愛用し続けたタッピングを自分で進化させたのを実感した。


俺は小さく手を振った。


「まーちゃんなにしてるん?」

「なんとなく、ヴァンヘイレンにさよならしてみた……」


タッピングと言えばヴァンヘイレン。

早弾きを始めた頃、正直一番練習したかもしれない俺は陽気にジャンプしてる彼らが頭をよぎる。


「なんやそれ……」

「まひる? エディは生きてるよ!?」


「まぁ、そうなんだけど……長い事お世話になっていたなって」


ピックタッピングに進化した事よりも、俺は俺自身の経験を考える事で遮っていた事に気付いた事の方が大きく感じた。


よし、これなら!

ジミヘンよ!力を貸してくれ!


ギィィィン!


「痛っ!」


俺は歯でギターを弾くと、その瞬間痛みが走った。


「まひる、今のはないよ」

「まーちゃん、血が出てる!」


口の中に生暖かい鉄の味が広がった。


「ちょっと口の中みしてみ?」


俺はかなに口を開くと、

「あかん、八重歯が欠けとるわ……歯医者行った方がええで……」


調子に乗りすぎた俺は歯が欠け、唇を少し切ってしまった。


折れた歯が痛すぎた。

コクリと頷くと、俺はスタジオを早めに切り上げ、歯医者に行く事になった。



♦︎



歯医者に向かう途中、大きな人影を見つけた。


雅人だ。


彼は、俺に気づくと話しかけてきた。


「まひる……久しぶり」


俺は口を開くと風が歯にしみる為、コクリと頷いた。


「あのさぁ、おまえヒロタカさんと付き合ってんの?」

◯補足と言うかコメント


ギターには色々なテクニックがあり、奏法も多種多用にありますよね!


今回ヴァンヘイレンとジミヘンがでましたが、多分タッピングは他のアーティストで始めた人の方が多いと思います。


ジミヘンの話は実は実体験……自分ではなくメンバーなんですけど歯が欠けた奴がいました(笑)


本人見てませんよーに。

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