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俺の音楽ここにあります!  作者: 竹野きの
メジャーに向けて
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費用感の違い

タキオの後継者に俺は心当たりがある。

でも、これは俺しか繋がらないだろう。


タキオ自身、世間ではフリーランスの天才とされている。だけどタキオは転生者で、さらにいえば元のタキオの答えはでている。


大手広告代理店"白夜堂"石野 梓(いしのあずさ)


これがタキオの転生前の人物。

タキオのタイムリミットの日、交通事故で亡くなった女性デザイナー。


あの日亡くなった、広告大賞で入賞した人物を検索するとあっさり出てきた。


だけど、石野さんはほぼ同時期に亡くなっている。だが、その"白夜堂"に関係するデザイナーには意思を受け継いでいる人が居るに違いない。


俺は、石野さんの関係者をネットで探す事にした。その人は多分限りなくタキオに近いノウハウやスキルを持って居るはずだ。


俺は夜中まで検索し、目星をつける。


1人は"白夜堂"の有名アートディレクター、大杉(おおすぎ)さん。


もう1人は、2年前に"白夜堂"から独立された、鈴木ササミさん。


社内事情はよくわからないけど、何かしらの接点やノウハウは共有されているはずだ。


この2人をベースに山野さんに持ちかけてみる事にした。



♦︎



次の日、山野さんに連絡先など纏めた情報をメールで送り、電話をかけた。


「山野さん、目星を付けてみたんですけど、どうですか?」


「あー、いや探してくれるのはありがたいと思うけど、"白夜堂"はうちの予算的に無理だよ……」


「えっ!? そうなんですか?」

「まひるちゃん、タキオくんがうちで出来たのは技術だけじゃなく、費用感もマッチしていたんだよ。そりゃ、日本トップクラスのアートディレクターならタキオくんと同じように……いや、それ以上に出来るかも知れないけど……」


費用感か……どのくらい違うのだろう。

「結構ちがうんですか?」

「うん、タキオくんはサイト、販促物、ジャケットのデザインを生々しく言うと製品代込みで350万でしてくれていたんだ、Tシャツ1000枚で生地だけでも50万位は掛かると考えて、サイトや他を考えたらかなり破格なんだよ」


「普通頼むとどの位なんです?」

「倍くらいはするだろうね、"白夜堂"なら10倍位にはなるかも知れない」


「3000万ですか?」

「まぁ、デザイン費を考えたら……そもそももっと大きな販促規模を出さないと取り合ってすらくれないよ」


そうなんですか……。

俺は費用の差に落胆した……無理なのか。


「まぁ、鈴木ササミさんの方なら独立したてみたいだから行ってみてもいいかも知れないけど……費用的に難しいと思うよ」


鈴木ササミさんは東京の事務所かぁ。

交渉だけに行くには高いけど、仕方ない。


今回は、かなと山野さんとスケジュールを合わせて3人でアポをとり行ってみる事にした。



♦︎



もうすぐ6月、フェスまであと2カ月ちょっとになる頃。由美にライブに誘われた。


「由美の初めてのライブなんでっす! まひまひにも来て欲しいでっす!」


とまぁ、こんな感じで誘われる。

意外にもライブをした事が無いようだった。


「由美、文化祭も出てなかったの?」

「そうなんです、そもそも由美の中学の文化祭でライブをしたのはここ10年ではお兄ちゃんくらいしかいないでっすよ?」


あれ? そんなもんなの?

というかヒロタカさん達って意外とレジェンドなんだな。


「かなとひなも声かけてみるね! でももう少し早く声かけたほうがいいと思う、明日はちょっと揃うかわからないよ……」


「ごめんなさい! 声かけていいか迷ってしまって、お兄ちゃんに怒られました」


「他の人は声かけれてる? それなら大丈夫! もっと気軽に呼んでよ!」

「あ、はい! 次からそうしまっす!」


手書きのチラシをみると"ムンド"と書いてあった。そういえば田中さん、久しぶりだなぁ。



♦︎



次の日、学校が終わり"ムンド"に向かう、ヒロタカさんと初めて会ったのもここだった。

ひなとかなも懐かしそうにした。


「あー、久しぶりに来たー」

「せやなぁ、やっぱり由美たち緊張してんちゃう?」


「かもねー! ヒロタカさんもこっそり来てたりして」


……。

「あそこにいるけど……」

「ほんまや! ヒロタカさーん! 何してはるんですか?」


「しーっ! 妹には緊張したらだめだから行けないっていってるんすよー」

「あはは、お兄ちゃんしてますやん!」


「というか"ハンパテ★"来ちゃったの? 由美緊張するだろうなぁ……」

「同じ軽音部なので大丈夫じゃないですか?」


というかバンド名"ポテトヘッド"なのね!

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