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俺の音楽ここにあります!  作者: 竹野きの
メジャーに向けて
131/185

覚悟はいいかな?

まさかのトリ前。

源さんは何を考えているんだろう?


「あれ? "ハンパテ★"は納得してねーら?」

「当たり前ですよ!」


「おっかしーな。でも、新しい"ハンパテ★"のあとはジャマイカン6くらいしか耐えれんらよ……」


「源さん見てたんですか?」

「ガンウィズの時にね! インパクト含めたら正直ジャマイカン6でもきついと思うけどなぁ」


ガンウィズとのライブ。

サヤがサポートで入っていた時か……実際、あの構成がブランディング含めてベストだろう、ひなのDTMでどこまでだせるか?


正直DTM入れてもサヤがいて欲しい。

だけど、それを言い訳にする訳にはいかないな……。


そんな事を考えながらリハーサルに入る。


音を確認する為、バッキングベースで気軽に弾く。


あれ? なんだかいつもより音がしっかり聞こえるな。

最近はスタジオくらいでしかフルセットにしていないからか?


「かな、気持ちハイをおさえて!」


微調整を続けるとなんだか手に取るように音がまとまっていく、もしかして部活でバランスを意識し続けていたから?


DTMの音もうまくまとまる。

まさか先生は、バンドでのDTMを見越してピアノをメンバーに……まさかな……。


だが、部活中ずっとピアノロックを、それも客観的に考え見ていた事は、自分の中の全体の音楽、そのイメージを作ることにつながっていた。


きづくと、ホール内に出演バンドがあつまり、まだ見たことの無い"ハンパテ★"の音が気になるようだ。


(ケトナーにキラーだぞ!)

(あの子ら同期演奏かよ?)

(スターリンの雅人の元メンバーらしいよ?)


ホールからは色々な声が聞こえる。

俺は音を確認すると、リフを弾きライブでのフレーズに変える。


うん、しっかりまとまっている。


(マジかよ……)


フルでフレーズを弾いた途端後ろから、声が聞こえた。


ステージに上がり歌を入れ、声を変えるボコーダーの調子も確かめた。


よし、完璧だ。



♦︎



リハーサルを終え、ホールに戻ると雅人が声をかけてきた。


「もう大分"ハンパテ★"の音ができてるよなぁ」

「うん、今日は大分まとまったと思う!」

「やっべ、マジ勝てる気しねー」

「いや、もうスターリンは完成してるし大して変わらないよ」


話しをしてると源さんがくねくねしながら寄って来る。


「あのぉ、そのぉ」

「源さんどうでした!」


「えっとぉ……サインください!」


「こちらこそ! って源さんなにやってるんですか?」

「いやー、ギターうまいらね! 近くで見ると本当凄いわ」


「いえいえ、ギターヒーローに言われたら本当嬉しいです!」

「ギターヒーローっていつの話ら?」

「余裕で今もですよ!」


「でもまひるちゃんの方が余裕で上手いらよ? 結構フレーズも渋いとこと新しいとこがミックスされてていいらね!」


「いやいや〜」

「さっきのはディレイかけてる? 足元には見当たらながったけど」

「あれは、セルフディレイですかね……」


「やっぱり? どうやって被ったかわからなかったらよ」

「ギターあればやりますよ!」


そう言って俺は源さんにフレーズを見せた。

「ほぇ〜ギター職人らねぇ、右と左で被さず別のフレーズかぁ〜こんな細かいのはむりだぁ」


「ふふっ」

「その感じ! あーっ、まひるちゃんはそのまんま突き進んで欲しいらね〜」


俺が源さんと話していると、次のバンドがセッティングをはじめる。


このバンド、見た事ある……。

なんだっけ?


「まひるちゃん、次のバンドがきになるんらか? うちに最近来てくれたハードコアバンドらよ! まひるちゃん意外とハードコア好きそうらね?」


「はい、好きです!」

「なら、マイニングは好きな感じら!」


えー? マイニング……そう、忘れもしない。

"サカナ"とのツアーの際、東京で見たバンド。


俺がブリーズヘッド時代に大敗したあのマイニング。俺らの前なのかよ……。


あと、ドラッドとスターリン……いやいやいやいやあと二つは知ってはいたけど、マイニングは聞いてない!


大丈夫かなぁ……。



♦︎



こうして全てのリハーサルが終わると、みんなでホールに集まると源さんが話しだした。


「えー、ゴホッ。 ちょっとスモーク焚きすぎじゃない? えっ? 焚いてない? まぁいいや」


緊張感のあった場が和む。


「えー、今日はシーサイドレコーズの"ハンパテ★"のねぇちゃんたちと一緒だけど、まぁ、リハ見ていた奴らはわかると思うけど、それが理由でこの順番じゃないから」


みんな頷いた。


「だけど、上手いからとかそんなんじゃなく、今日来てくれる奴らが一番楽しめるライブの順番だと思ってこうした。でもやっぱり来てよかったって思うのは……」


そう言って胸に拳を当てると

「ここだよね? それぞれ、色々考えてたってくれてる訳だからその気持ちを、反骨心を出して突き動かす何かを生み出してくれ! 」


そう締め括り、会場のオープンを迎えた。

入場が始まるとすぐにステージの前はつまるように埋まる。


お客さんの顔が見えると、少し不安になった。本当に通じるのだろうか?


「なんかみんなライブ慣れしてそうやなぁ」

「そうだねー」


「大丈夫、きっとうまくいくよ」



◯用語補足


・ディレイ

弾いた音を繰り返すエフェクター。

うーん、もっといい表現がありそう。

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