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俺の音楽ここにあります!  作者: 竹野きの
メジャーに向けて
130/185

ギターヒーロー

目標はライバルになって、協力者になる。

この形が理想的で、効率が一番いいと思う。


先日出来た軽音部のバンドもそうやって、そのうち外で一緒に音楽を盛り上げていけたらいいと思う。


「ねぇねぇまひまひ? わたし達次の"ハンパテ★"のライブに行きたいんでっす」


由美ちゃんはどこかもじもじしている。

「いいよー! 是非是非きてよ!」

「でも、もうチケットとれないんでっす……」


あ、そういえば……ヒロタカさん完売って言ったっけ?

「あー、でもヒロタカさんに言って無理ならわたしらも無理だよ?」


チラッ


「どうしたの?」

「"ハンパテ★"のゲスト枠って空いてないんでっすか?」


なるほど!

西田さん達はメンバーで入るし、ジュンさんとタクミさんは普通に買ってくれたから枠は3つまるまるあるかも……


「ゲスト3つ残ってるよ!」

「わたしらでいいでっすか?」


「うん、もちろん! 一応かな達にもきいとくね!」


今回のライブでフェスに出れるかが決まる。

チーズアンドクラッカーは全てのバンドが実力派で知名度も高い。


パンクのギターヒーロー、横山源さんも来るのか……あのフレーズ中学、高校時代練習したなぁ……。


俺はそわそわして数日あまり寝れなかった。



♦︎



ライブ当日、雅人やヒロタカさんも緊張していたみたいだった。


「マジヤバイっす!」

「あれ? ヒロタカさんは何度か対バンしてるんじゃないんですか?」


「いやー、ジャマイカン6は初めてっすよ!高校の時練習したバンドっすからねー」


あー、俺もしてる!

冷静にフェスみたいなもんだよな。


「ねぇねぇ、まーちゃんそんなにすごいの?」

「ひなも聞いたことくらいはあるんじゃない?」

「源さんのバンドはあるけど……」


俺は高校の時、ジャマイカン6のライブを見に行った事がある。


切なく重いメロディと、雰囲気のある声。

さぞイケメンが出ると勝手にCDを聞いてテンションの上がっていた俺は最前列で構えていた。


SEが終わり、出てきたのが教祖様ルックスで終始ポカンとしたのはいい思い出だ。


ジャマイカン6のリハが始まる直前、ついに横山源さんが現れた。


でかい紙袋を持ってニヤニヤしながら物販の机に紙袋を置く。


えーっと、マック?


「おー、来てる来てる!」


そう言うと、俺たちの元に歩いて来た。

「どーも、横山源です! 可愛子ちゃん緊張すっなー! 手汗拭いとかないと」


源さんはデニムで手をふきふきし手を差し出した。


「意外と背たかいらねー!」


そう言って握手した。

ヤバイマジかよ……俺は内心テンションが爆上がりする。


源さんはニヤリとして


「ハンパテ★ってハンバーガーパーティの略なんら? 持ってきたからパーティしよめぇ」


そう、紙袋のなかは全てビッグマック。

えっと……


「1人2個まで! ごめん、少ない? 腕2本しかないでさー」


緊張とジュンさんとは違う静かな勢いに圧倒された。


「ええんですか! 源さんありがとうございます! 有名人やのにええ人やなー」

「よいしょしてもハンバーガーしかでないど?」

「ハンバーガーでるんですやん!」


こういう時のかなの性格が少し羨ましい。

なんかよくわからないけとかなとめちゃめちゃ打ち解けていた。


俺はそっとかなの後ろにいる事にする。


「雅っちの元バンドらしいら?」

「そうなんです、同じ中学校で!」


「楽しみらねー!」


徐々にうち溶けていく中、少し不思議な気持ちになった。


「お? 次リハらよ?」

「へっ?」

「えっ?」

「えっと、逆リハじゃないんですか?」


「うん? そうらよ?」

「次、トリ前なんですけど……?」


「うん、トリ前! 野心家らねー、トリはちょっとわたせないかなぁー」


そうじゃなくて……えーっ!


◯用語補足


・トリ前

最後の前の出順。トリが最後です!

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