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俺の音楽ここにあります!  作者: 竹野きの
メジャーに向けて
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グルーヴお化け

「今日は顧問の先生が来られるよ」


部活に入ってから数日、一度も顔出していない。まぁ、俺たちが早く入部し過ぎた事もあるのだろうけど。


「顧問ですか?」

「そうそう、木下もびっくりするかもしれないね」


俺が、びっくりする?

一体どういう事だろう? 超絶テクなのか、はたまた放任主義なのか……。


「どんな人なんですか?」

「一言で言うと、おじさんベーシストかな?」


ベーシストなのか?

という事は、放任主義ではなさそうだな……部員の中でもベースの先輩が上手いと感じたのはそのせいもあるのか?


部長が言った"ベーシスト"にかなが反応する。

「顧問の先生、ベーシストなんかぁ」

「かな、上手かったら教えて貰えるねー!」


なるほど、ベーシストか。

結構面白いかもしれないな……。


しばらくすると、普通のおじさんが音楽室に入って来ると部長が声を掛けた。


「はーい! 一旦ストップ!」


この人が顧問の先生の様だ。年は50過ぎくらいか? 同級生にはお爺さんにも見えるかもしれないな。先生はハードケースを持っていた。


「おはようございます」

(おはようございます!)


この挨拶の感じ?? 業界の人?

顧問は入って来るなり挨拶をする。


「今年は5人もきたのですね! はじめまして、軽音部の長谷(はせ)です」


そう言うと、長谷先生は椅子に座りハードケースから、ベースを出そうとした。


「なんやあのベース、5弦なんは分かるけどすごい見た目やな……」


「かな、あれはフォデラだよ……」


フォデラのインペリアル……学校の顧問が持つ様なベースじゃねーぞ。


「おっ? 新入生くん、解るのかい? うれしいねー、高かったんだよこれ!」


「プロでもそうそう持ってないですよね?」

「私は7年前に流れで高校の音楽を教えることになったからねぇ……」


なるほど、それでか……フォデラということはフュージョンやファンクとかをやっていたのか??


イメージできるのはビクターウッテンの超絶ベースのイメージしか出てこない。


「えっと……」

「木下です」

「木下さんはなかなか詳しそうだね? 聴きたい事はあるかな?」


「えっと、それなら、好きなベーシストはだれですか?」


「おっ? いい質問だね! 先生はジャコパストリアスや、マーカスミラーが好きだよ」


やっぱりか……この人ヤバいかもしれないな。


「先生!それくらいでお願いします! 木下も後で個人的にはなしてくれ!」

「はっはっは、永田はいつも止めるなぁ」


「だって先生止まらないじゃないですか」

「それもそうだなぁ、ところですごい子が入ったんだって?」


「はい、新入生5人ともすごいですけど、ギターが特にすごいです」


「ギブソンの方かな?」

「いえ、ムスタングギターの方です」

「あ、木下さんかぁ、さっきもいち早く反応していたから知識もありそうだねぇ」


俺は学校には"マスたん"を持って行っている。理由は簡単"キラの助"のケースはジュンさん仕様のままだからなのと、マスタングの方が色々使いやすいからだ。


「あ、もしかして君がインディーズ活動してるっていう子かな?」

「あ、はい。そうです」


「軽音部にきてくれたんだねぇ。話は早い、一度演奏を見せてくれないかな?」


そういわれると、俺たちはセッティングを済ませ、先生の前で弾いた。


"キラの助"やアンプ、DTMも無いけど、もと

もとはこの形。なんの問題も無い。


「初めて見たけど……すげぇ」

「さすが"ハンパテ★"でっす!」


演奏が終わると先生は笑顔になり「聞いていたよりすごいね。機会さえあればメジャーにいけるだろうねぇ……」


そのあと、由美と六花ににも弾かせる。

六花は……ピアノ?キーボード? ギターが別室だったので聞いたことなかったがかなり練習を積んだピアノだった。


先生は少し悩むと、

「よし、グループを分けよう! ジャズベとドラムは、永田とギブソン、そして管楽器メンーと組んでくれ」


「ジャズベってうちの事かいな?」

「かなとは一緒なんだね?」


「あとは残ったメンバーで組む。木下、問題ないか?」

「部活用なので、問題ないです」


こうして、部活限定のバンドが結成される。

ベースの先輩、確か結構うまかったよな。


この編成、先生はなにが狙いなんだろうか?


各メンバーに分かれて自己紹介を済ませると、俺とひなは先生に呼ばれた。


「木下、小山、ちょっとセッションしないか? 山本、借りていいか?」

「ええですよ!」


自己紹介を済ませ、先生は名前を覚えた様だった。


生で見るフォデラの威圧感はすごい。

アンプに通すと、なりの良さと癖のないしっかりとした音、試奏を聞いた感じだと指で弾くスタイル。


「ちょっと私のフレーズに入ってもらっていいかな?」

「ある程度わかりやすいコードでしてもらえればだいたい大丈夫です!」


「OK! そしたらよろしく!」


先生が弾きはじめたフレーズは、グルーヴの効いたファンクなベースライン。俺の予想は的中し、俺はクリーンに切り替える……ひなはファンクできるのか……基本的なリズムは押さえているみたいで安心した。


基本的なカッティングに13度を入れる。

ジャムセッションであればこれくらいが安定してまとまるからいいだろう。


大体やりたいことがわかれば展開して、ブルース系のソロでいこうか……。


イメージどおりというか……この先生一体何者なんだ? グルーヴお化けだな。


セッションを終えると先生は、

「うん、2人には教えることはない!」


いやいや、ありそうなフレーズしてるけど?

俺は先生の意図がよくわからなかった。


◯用語補足


・ヴィクターウッテン

フォデラのベースを使う。

知る限り最速の綺麗なスラップをする怪物


・ジャコパストリアス

ジャズ、フュージョンのスーパーベーシスト。

影響を受けた人はたくさんいるのではないだろうか?

フレットレスのジャズベを使う。


・マーカスミラー

音楽プロデューサーとしても有名なスーパーベーシスト。スラップベースの影響力ははかりしれず。


サドウスキーのベースを使う。


・13度

ファンクなどのカッティングの変化でよく使われる音。

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