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俺の音楽ここにあります!  作者: 竹野きの
メジャーに向けて
124/185

まひる様

えっと……。


「木下さん……」


やっぱり俺に用があるのか?

そういえば、男子に当たりがキツイってひなが言ってたな……。


だからといって何かされるレベルでは無いと思うんだけどな。


「何?」


俺はそう言って、少し身構えた。


「あのー、LINE教えて下さい!」

「俺も!」

「出来れば自分も!」


「へ?? えっと、嫌、だけど……」


(さすがまひる様だぞ! どうする?)

(やっぱりいきなりすぎたんじゃないか?)

(もうひと押ししてみるか?)


男子3人は何やらヒソヒソと話し始めた。


「いやいや、きこえてるんだけど!」

「やっぱり、ダメですか?」


「まぁ、君たちの事しらないし?」

「な、仲良くなる為に聞いてるんじゃないですかー!」


「うーん、そうなの?」

「はい……」

「ライブの告知とかしかしなくて良ければ……」


「それでも全然いいです!」


ライブに来てくれたらいいか……と渋々LINEを交換した。


「ところで"まひる様"ってなにかな?」


……。


「うっ、それは……蹴って下さい」



♦︎



「あー、なんか疲れたよー」


今となっては男子と話す方が気を使ってしまう。あの後、合流したかな達に出来事をはなした。


「あはは! まーちゃん、まひる様って呼ばれてたのー?」


「何故かねー」


「あ……それ、うちが原因かも?」

「かなが? なんで?」


「まーちゃんと話したいって男の子がいたから……」

「かなちー何かしたんでっすか?」


「写メあげた……」

「写メ?」

いやいやどんな写メあげたんだよ。


「ちゃうねん、"ハンパテ★"の営業活動なんやで!」


かなの視線は横を向いている。

「かな? なんの写メあげたの?」


「広告データの……やな……」

「まさか、イメージ撮りの??」


かなはコクリと頷く。

完全に小悪魔スタイルのやつ、そのせいじゃねーか!


「で、でもええやん……ファンみたいなもんやって!」

「よくないよ! ん? いいのかな?」


とりあえずその場はかなに丸め込まれた。


「でも、今日のギターは鬼うまかったでっすよ? まひる様でも納得でっす!」


由美ちゃんは嬉しそうに笑った。

「由美ちゃんも、大分上手かったよ?」

「本当でっすか? お兄ちゃんと比べて?」


「今のヒロタカさんは結構弾けるからねー、同じ歳の時なら由美ちゃんの方が上手いとおもうよ!」


「ほー。まひまひに教えてもらってもっと上手くなりまっす!」


由美ちゃんも、軽音部でバンド始めたら結構いいギタリストになるんじゃないかと思った。


ただ、部員的にバンドを増やすのは難しいのかな? まぁ、部活限定とかよりは外でも活躍して欲しいしなぁ。


なんだかんだで、高校生活を楽しめそうな気がした。



♦︎



正式に軽音部に入ると、俺は自動的にギターの講師みたいになっていた。


過去に、ギター教室のバイトはした事が有ったのだけど、部長や由美ちゃんクラスのギターは教えた事が無かったからなかなか新鮮だ。


受験の時、かなの言っていた、教える事で考え直せる的な意味がわかった様な気がした。


「部長、単音で弾く時も、ミュートを意識してください、音の差はそこで生まれます」


「でもここはミュートなんて……」

「ブリッジだけじゃなく左手でも出来ますし、セーハーの仕方でもできます! 」


「由美ちゃんは、ハイポジ弾く時は音量が安定するよう力加減を考えて!」


「ははー! まひる様承知しましたでっす!」


「まーちゃん鬼やなー」

「かなもまだまだ音量は甘いよ!」


「うぇ〜」


そういえば、"ハンパテ★"メンバーにここまで言った事は無かったな。なんだかんだそんな余裕が無かったのもあるけど、かなはやっぱり頑張っていたんだと思う。


部活に入り、数日が経った頃遂に、軽音部の顧問の先生が顔を出した。


◯用語補足


・セーハー

ギターの弦を人差し指で全部抑える事

初心者の難関Fのコードはまさにセーハーが課題!


・弦の音量

ローポジ、ハイポジ(下の方)で、弦のテンションが違う為音量に差ができます。


・まひるネタ

小悪魔ルックスでシビアなギターの鬼と化す。


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