受験はスムーズ?
冬休みがあけるとみんな受験モードに入る。
俺たちもとりあえず、受験が終わるまでは活動休止となっているため勉強会をした。
「2人とも願書には間に合ったなぁ!」
「かな、ありがとう! かながいなかったら同じところ受けれなかったよ!」
俺は転生前は、いわゆる底辺高校と言われるようなところだった。それもそのはず、受験勉強と偽り、すぐギターを弾いていたからなんだけど……。
環境でここまで変わるとはな……。
かなに教えてもらって気づいた点があった。
まず、勉強はギターと大して変わらない。簡単に言えばフレーズを練習するよりスケールを理解した方が弾ける。これと同じで、公式やルールを理解できれば、問題を繰り返すより早い。
まぁ、もちろん反復した方が速くはなるのだがこれもギターと同じだ。
その事に気付いたおかげで、かなの指導でコツを覚え受験勉強はかなり捗った。
ただ、俺はバンド練習が殆ど出来ていない事に焦りを感じ始めた。
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本命の受験前日、かなが風邪で学校を休んだ。
かなは受けさえすれば受かるレベルなだけに心配になる。
帰り道、ひなと俺はお見舞いにいくと、感染るからと会ってはくれなかった。
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試験当日、かなはマスクをして受験会場に来る。学校なので、近いのだけど……。
「かな、大丈夫?」
「なんや、うちやで? 8割の力でも合格するから大丈夫や!」
な、なんか死亡フラグ立っている気がするけど、かなの事だ大丈夫だろう。それより安全圏とはいえ、俺とひなの方が油断は出来ないからな!
試験はまあまあ出来た。
不安は残るものの、やれるだけのことはやった。体調の悪いかなと別れると、ひなとバンド再開の話を久しぶりにした。
「かな、大丈夫かなー?」
「うん、かなは大丈夫だよ!」
「次の試験が終わったら、バンド再開できるねー」
「そうだね、ひなは大丈夫? 最近あんまり叩けてないんじゃない?」
「ふふふ、あまいねまーちゃん! ひなは常に進化しているのだよ!」
「進化?」
「あたしの特技を活かして……あっかながいるときに言うね! それまではひみつ!」
「えー? おしえてよ!」
「だーめ!」
その後、ひなはかながいるときも結局教えてはくれなかった。
そして、滑り止め受験が終わり約3カ月ぶりのスタジオに入るとその答えが解った。