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俺の音楽ここにあります!  作者: 竹野きの
メジャーに向けて
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修学旅行には……

ツアー最後のライブが終わると、夏休みが明けた。


青春を捧げた様な中学3年生の夏休み。だけど俺はこれも一つの青春のように思えた。


2学期が始まると9月の中旬過ぎには修学旅行になる。

ひなやかな、仲のいいクラスメイトと過ごす修学旅行が俺は少し楽しみだった。


「沖縄に行くんやろ? めっちゃ楽しみなんやけど!」


リゾート地に行ける事が、かなは楽しみでしょうがない様だった。


海か……正直俺は水着が苦手だった。

元々ロングヘアの体育会系なバンドマンの俺は、仮装や衣装などほとんど気にせず着れる。


前にタキオが言っていた様な男の格好、女の格好がしたいとかは理解出来なかった。


だけど……水着だけには抵抗がある。

なるべくラッシュガードなんかで回避してるのだけど。


「綺麗な海とかみたいよねー、今回は水着自由なんだって!」

「水着自由なんはええなぁ、今年は海とかも行けへんかったからなぁ……」


普通なら夏休みと言えば海やプールに行くのが普通だろう。とくに、よく遊ぶ友達もいれば尚の事。海を楽しむのもいいよな。


でもまぁ、修学旅行だから戦争関係のスポットを回ったりがメインなんだろうけど。


「まーちゃん、どうしたんや?」

「ん? なにが?」

「あんまり楽しみちゃうんか?」

「ガンウィズとのライブをちょっと思い出していただけ……修学旅行は楽しみだよ」


「ガンウィズ、凄かったけど反響的には大分いい方なんちゃう?」


あの後、CDやグッズはいつも以上に売れた。

後日、タキオから聞いた話では普段は1日200PVくらいのサイトが2000PVまで上がっていたんだとか……。


音楽好きな人もブログやSNSで色々と紹介してくれている。タキオの言った通り成果としては充分過ぎるくらいだった。


「修学旅行が終わったら、また忙しくなりそうだね!」

「私も頑張る!」



♦︎



家に帰り、カレンダーをみると9月6日か……。


もうすぐ、俺は転生して1年になる。

長い様で短い一年だったな、あの頃からは想像出来ない様な生活だ。


ブーンブーン。


「もしもし、かな? どうしたの?」

「まーちゃん? 通帳みた?」

「通帳?」

「そうそう! 30万くらいシーサイドから振り込まれてるねんけど?」


印税? にしては早すぎるな……なんだろ?

俺はパソコンを開きながら話す。


「結構大金だね……」

「そうなんよ! お給料?」

「わたしらはそんな契約じゃないし! というか……西田さんからメール来てるし! 」

「ほんまに? なんやったん?」

「グッズの売り上げとツアーの売り上げのバックみたいだよ?」


「へぇー、こんな貰えるんやな!」


まぁ、結構売り上げてたからね。

前回は自分たちの金庫でバンドのお金として管理していたけど、今回は西田さんがまとめてくれていたからレーベルの取り分を抜いての振込みだったのだろう。


結構売れたとはいえ、ツアー費用や制作費用とか考えたらかなり良心的。


「今度3人で買い物いこうよ」

「せやな! 週末にでも修学旅行の準備含めて行こ!」

「そしたらまた、ひなにもチャットできいてみよ!」


そう言って、メールの画面を閉じた。

「ちょっと、かな……嘘でしょ?」

「ほぇ?」


閉じた時、ヤフーニュースの速報が目につくと俺は目を疑った。


「タキオさんが……事故で重体って」

「はぁ? ニュース見てみるわ!」


ニュースにはデザイナーのTAKIOこと横山多喜男(17)が広島の公道で歩いているところを轢かれ意識不明の重体で搬送されたと記載されていた。


「これ、タキオさんやんな……」

「うん、わたしは本名も聞いたことあるから間違い無いと思う……」


「広島の病院に行こ?」

「ちょっと西田さんにも連絡してみる」


西田さんに連絡すると、搬送先の病院を教えてくれ、西田さんは向かっているらしい。


ただ、西田さんは行きたい気持ちはわかるけど、親の許可を取ってから来て欲しいとの事だった。


タキオ……あと数日なのに……。

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