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俺の音楽ここにあります!  作者: 竹野きの
メジャーに向けて
100/185

新たなるスタート

デビュー1発目、CMのタイアップ、タキオの話題性も相まって"サカナ"は衝撃的なデビューを果たす。


"オリコンチャート1位"


今の時代アイドルや既にCDを買う世代にファンが沢山居る大御所のアーティストくらいしか取れないとされる1位になっていたのだ。


転生前でも知ってるバンドだったけど……まさかここまでとは思っていなかった。俺が知ったのは10月以降のはずなんだけどな……。


学校に行くと、ライブに来てくれた子たちに声をかけられた。


「木下さん、"サカナ"とライブでてたよね?」

「もしかしてアドレスとか知ってるの?」

「"サカナ"のサイン貰えないかな?」


いやいや、もうすぐ俺たちもCD出るんだけどね……。


正直時子さんたちが売れてくれるのは嬉しいのだけど、こういうのはちょっと好きになれない。


「まひる、時子さんたちすげーな!」


雅人、お前もかよ。

やっぱり1位と言うのは知名度に圧倒的な差が有る。日本で一番高い山と言われて富士山はでるけど2番目は? と聞かれると出ない人も多いだろう。


やっぱりそれくらいの差はあるんだ。


「まーちゃんも声かけられたん?」

「かなも?」

「うちは、ラジオ出てた話やったけど……」


「えっ? 加奈子は声かけられたのか? やっぱり話すのが大事なのかもな……」


雅人は少し、落ち込んでる様だった。

「でも、最近まーちゃん女子に人気やで?」

「そうなの? 実感無いけどね……」

「ルックス、実力、キャラ……うちはなんとなくわからんでも無いけどな」


「あっ、俺高校生のお姉さんに誘われたけど行かなかったから!」


雅人……なんの報告だよ。

「後輩とかにはひなが人気みたいだけどな」


そうなのか?

「やっぱりあの雰囲気はオタク受けするんじゃねーか?」


おい、雅人。俺に言ってんのか?


「雅人? あたしの話?」

「いや、なんでもねーよ」


生活での変化はついに学校でも起こり始めた様だった。



♦︎



お昼を過ぎた頃、西田さんから電話があった。学校がまだやってる時間帯でかけてくることなんか一度もなかったのに……。


「ごめんねまひるちゃん、まだ学校だよね?」

「休み時間入ったので大丈夫ですよ!」

「終わったら着替えて地図送るからちょっときてくれないかな?」

「大丈夫ですよ! ひなとかなにも声かけておきますね!」


西田さん、なんだろう??

俺はひなとかなに声をかけた。放課後服を着替えると、地図が送られた場所に向かう。


居酒屋??名古屋人なら御用達の"まぶや"だった。


「おー! "ハンパテ★"待ってたぞー!」

「あれ? 西田さん飲んではります?」

「お疲れ様でーす!」


西田さんはビールを数杯は飲んでいる様だった。


「今日呼んだのは、"Atmosphere(アトモスフィア)の増刷が決まったんだ! おめでとう!」


「えっ? まだ出てないですよ?」

「うん、もう予約で5割を超えている、増刷しとかないと店頭では売り切れの可能性も出てくるからね……」


「えーっ!? まさかそんな早く?」

「オリコン1位のバンドの前座やってたんだ。さらにタキオくん、不思議な事はないんじゃないか?」


一応両方の恩恵をうけているのか……。

でも、せっかくなんだからもうちょっと喜んでくれてもいいのにとは思う。


その後、西田さんは"サカナ"との思い出を語り出した。入ったときからツアーでのトラブル、工夫した事など思い出話しに花を咲かせた。


途中、俺がトイレに行くとかなが付いてきた。


「ねぇ、まーちゃん? 今日の西田さんなんなんや。うちらの増刷祝いちゃうん?」


かなは怒っている。


「今レーベルにいんのはうちらやで? うちらの事真剣に考えてくれてたけど、なんかがっかりなんやけど」

「まぁね……"サカナ"と長いのは知ってるけど、ちょっとね……」


席に戻ると、空気を察したのか西田さんは謝った。


「すまん、増刷祝いなのに"サカナ"の話ばっかりしてしまって……」

「せやで、西田さん! うちらを祝ってや!」

「ハハハ、はっきり言ってくれると救われるよ」


西田さんは少し暗い顔になって言った。

「僕は君たちの足枷なのかな……?」

「え? そんな事絶対ないですって!」

「僕は出来る限りしてるつもりなんだけどね……」


「"サカナ"の件ですか?」

俺は西田さんに聞くと、西田さんは黙った。


「わたしは西田さんが地盤を作ったから今の"サカナ"があると思ってます」

「そうそう! 西田さんが1位になれる様な地盤を作ってくれはったから……」


2年程、サカナはオファーを断っていたらしい。当時はまだ3バンドしか居らず、そのうちの一つは入りたてだったとか。


実際には安定したとはいえ、今でも、"サカナ"の売り上げが半分を占める。俺たちが合宿やツアーのサポートを投資して貰えるのは"サカナ"のおかげなんだ。


西田さんはそんな成長時期にレーベルに縛り付けた事を後悔していた。そして帰り際に言った。


「君たちは、チャンスがあれば掴んでいい」


そう言ってくれた西田さんはどこか寂しそうだった。



♦︎



そして、俺たちのCDは全国のCDショップに並ぶ事になり、夏休みを迎える。

もちろん期末テストも順調に終えた。


夏休みに有るライブは11本。

前回サカナと回った場所に加えて、三重

、岐阜、名古屋2回目と愛知の豊中が追加された。


今回のツアーはブッキングベースのツアーだった。

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