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記録  作者: 福森 月乃
6/10

六日目~警告~

我が家には黒いサビ猫がいました。


メス猫で家族にとても懐いていましたが、夜行性なので昼間は寝ていて夜は家の中や外をよく徘徊していました。


6月の蒸し暑い夜。


いつもは家族と和室で川の字になって寝ていた私でしたが、たまには書斎で寝るのもいいかと、布団を持ち込み、本棚や机に囲まれて横になりました。


フローリングで床は硬いのが気になりましたが、寝返りを打ちながら眠りに誘われるよううとうとしていました。


初夏で蒸し暑かったのですが、何故か掛け布団を肩まで引き上げ私は丸まっていたのです。


寝入ろうとした時、サビ猫がドアを引っかく音がしました。


飼い猫は時々、一緒に寝に来るのです。


せっかく眠れそうだったのを起こされて、渋々体を起こしドアを開けます。


廊下にやはりサビ猫がいました。


ブツブツ文句を言いながら、早く入るように促すのですが一向に入りません。


諦めてドアを締めると、ドアにはめてあるすりガラス越しに猫の影が見えました。


立ち去る様子もなく座っています。


布団に潜り込むと、またドアをひっかく音がしました。


やっぱり入りたかったのかなと思い、ドアを開けると今度は部屋を出たり入ったりします。


さすがに、もういいやと思い、サビ猫をドアの向こう側に置いたまま私は眠りにつきました。


しばらくして、机の下から冷たい空気が出てくるのに気付きました。


窓からの隙間風かなと思ったのですが、机は壁に面しています。


灯りを完全に消さないと眠れない私は、暗闇の中慣らした視線を机の下に向けてもそこには底の見えない暗闇しかなく、いくら目を凝らしても何も見えません。


気味が悪かったのですが、構わず寝ようとした時耳元から荒い息遣いが聞こえてきたのです。


夢を見ているのかなと思い、様子を見る事にしました。


息遣いは徐々に私の耳から顔へ移り、電灯しか備え付けられてないなんの変哲もない天井を息を殺して凝視します。


オレンジや緑の蛍光塗料をかき混ぜたような物体が、突然現れグニャグニャと目の前でうごめいいているではありませんか。


恐怖のあまり、体を動かすことができません。


心のなかで体が動くように強く唱えると、唐突に自由になりました。


この機会を逃さず、掛ふとんをめくりあげ、ドアを開けて部屋の外に出ました。


足元にはサビ猫が何か言いたげに私を見上げていました。


部屋の中を改めて見たら、いつもと変わらない部屋。


サビ猫は部屋に入ることなく、私とともにキッチンへ着いてきました。





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