三日目~因縁~
Bさんは高校生になって、引っ越しました。
引っ越した先は彼女の祖父母の土地の一部に建てられた新築でした。
母親に連れられて行った時、Bさんは正直ショックだったそうです。。
何故ならその場所は祖父母の畑の入り口に小さな森があった場所だったからです。
森は昼間でも薄暗く、夏になると森のなかに沼があるのか湿った空気の中で、蚊がよく飛んでいるのを見かけたところでした。
祖父母の畑に遊びに行く時、必ずその周りを通るのですが森の中まで入って遊ぶ気にはなれない陰湿なものを感じていました。
すっかり整地され、平屋が一軒建つそこはすっかり昔の面影を失っています。
なぜだか、その森がなくなったことをBさんは残念に思ってました。
新築の家は東と西の部屋を分断するように真っ二つに別れ、中心には玄関からお勝手口までまっすっぐ廊下が伸びていました。
子供部屋は西側に二部屋。北西に一部屋。北西の部屋は日当たりが悪く昼間でも薄暗いのを覚えています。
はじめは新築の家に住めるのを喜んでいた家族も、やがて、夫婦仲が悪くなり病気の祖父を引き取った母親は介護に追われ、祖父が亡くなると急速に家にいつかなくなり、元々好きだったギャンブルに打ち込むようになります。
見かねた父親が戒めたかいもなく、母親は外で愛人を作り家を出てしまいました。
家に居座り粘っていた父親も数年過ぎると彼女を作り、この家から去ってしまいます。
すぐその後、狙いすましたかのように家に戻った母親は愛人と同居しはじめますが、やがて病に伏した愛人はその家で亡くなってしまいました。
その頃にはBさん兄弟は家から出て住んでいたのは母親と愛人だけでした。親子としては交流はあったそうですが、家に居つくことはなかったそうです。
この家を建ててBさんの母親の義理の父がこの家で介護の甲斐なく亡くなり、母親の父が自殺をしてしまい、愛人は家で息を引き取っています。
父親は母親のことを憎みながら別れ、愛人は恨み言を遺書に残して亡くなって、母親の父は育て方を後悔しながら亡くなっており、因縁めいたものを感じずにいられません。
そして、この家にまつわる怖い話もいくつかあります。
母親の業がそういうものを呼ぶのか、Bさんはどうしえも実家に帰る気がおこらないそうです。一時的に帰るのはいいのだそうですが、ずっと住むには話が別だそうです。
そして、今でもその家に住むBさんの母親は愛人が亡くなった部屋には足を踏み入れようとせず、物置にしてしまっているそうです。
何故なら愛人が病で苦しむ姿が今でも目に浮かぶというのです。愛人のよく使っていたトイレも時々水漏れしているわけでもないのに水浸しになってることがあるそうです。
トイレもままらなかった愛人は、お小水を床に零していたという話をBさんは聞いてました。
いったい彼らに母は何をしてしまったのでしょうか。