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俺の日常と嫁語り side:ユリウス

「行ってきます」

「行ってらっしゃい、ユーリ」

俺はいつものように妻に口付けをして仕事に向かう。

王国騎士である俺の仕事場はわかると思うけど王宮だ。

この街ネイリルは王都アヴェリアの近郊ではあるが、アヴェリアまで歩いて行くとなると数時間はかかってしまう。なのでアヴェリアへは転送屋を使う。

転送屋とは文字通り、行きたいところにお金を払って転送してくれるところだ。

転送魔法は複雑な魔法陣と膨大な魔力がいるため個人で使えるものはほとんどいない。

ティアは魔法陣なしで普通に使えるけど……。妻の魔法はちょっとおかしい。

そんなことよりなんでティアに送ってもらわないのかだって?

いや、なんかさ……妻に仕事場まで送ってもらう夫ってかっこ悪くない?

そういうささやかな男のプライドです。

そんなティアだけど本当に俺にはもったいないくらい良い奥さんだ。

まずはその容姿。淡く輝くようなブロンズの長髪に女神と見紛うような顔つき。

すれ違えば世の男どもなら必ず振り返る。

あと料理もめちゃくちゃ美味しい。俺と結婚するまえにたくさん練習したらしい。

健気過ぎて泣けてくる。

もう言い出したらきりがないけど一言で言えば、ティアは最高の嫁です。

あー、もう少し語りたかったけど王宮に着いてしまったのでここらで止めておこう。

「ユリウスさん、おはようございます!」

「ああ、おはよう」

門番に挨拶してから王宮に入り、俺が隊長を務める3番隊の兵舎に向かう。

「ユリウス様!」

「ん? どうされましたか、お嬢様?」

兵舎に向かう途中でおそらくどこかの貴族の娘であろう女に呼び止められた。

「あ、あの。お勤めが終わったあと私に付き合っていただけませんか!」

はあ……。またか……。

なぜかいろんな令嬢に似たようなことばかり言われる……。

俺はさっさと帰ってティアの料理が食べたいんだ!

「申し訳ありません、お嬢様。私は仕事が終わりには用事があるので……。それでは失礼します」

「っあ……」

少し心が痛むがこう言う輩はきっぱり断った方がいい。

曖昧な返事をすると相手に期待を持たせてしまう。

「おはよう、諸君」

「あ、おはようございます、隊長」

ようやく兵舎に到着して部下たちと挨拶を交わす。

「隊長ー! またどこかのご令嬢に誘われてましたよね!」

「あ、俺も見た! 今回も断ったんですか?」

「ああ、当たり前だ」

「今日誘ってきてた娘、結構美人だったじゃないですか。隊長はそういうの興味ないんですか?」

「あるわけないだろう」

俺が興味があるのはティアだけだ!

『え……(3番隊騎士一同)』

「どうしたお前ら?」

「い、いえ。なんでもないっす……」「やっぱり隊長は……」「やべぇ……」

??? どうかしたのだろうか。心なしか部下たちとの間に溝ができた気がする……。

これはいけない、どうかしなければ。

そうだ! 裸の付き合いは親睦を深めるにはいいって聞いたことがある!

よし、みんなで風呂に入ろう。

「今日はみんなで風呂に入ろう」

『う、うわああああああああ⁉︎』

「ど、どうしたお前ら……」

なんか目に見えて怯え出したんだけど……。なぜだ……。

「おいユリウス!」

「だ、団長⁉︎ はっ! 何か御用でしょうか?」

「ああ、陛下がお前をお呼びだ」

「え?」

なんで……? 俺、なんかしたっけ?

「承知しました……」

というわけで現在王の御前で跪いています。

「王国騎士団3番隊隊長、ユリウス=シッザード。ただいま参上いたしました」

「うむ、面をあげよ」

「はっ!」

「これから話すことは絶対に他言してはならん。そのことに留意せよ」

「はい、承知いたしました」

え、なに……。怖いんだけど。

「実は私の息子。第一王子のセルヴィンが死病を患ったのだ」

「なっ⁉︎ まことですか⁉︎」

「うむ……。セルヴィンをここで失うのは痛すぎる。隣のバルドネ帝国がセルヴィンが亡くなったと知れば……アヴェリアの歴史上何度も衝突してきた国だ。これを機にと攻めてくる可能性がある。こんなところでいたずらに兵を死なせるのは私の思うところではない。よってセルヴィンの死は絶対に避けなければならん。そこで、だ。ユリウスよ、お主の住んでいる街に『聖女』と呼ばれる治療師がいると噂で聞いたのだが……何か知らないだろうか?」

…………ティアじゃん。

「えっと……おそらく私の妻です……」

「え? お前、妻いたの?」

なんかいきなり陛下がフランクになった。

「は、はい。というかそこですか?」

「あ、ああ。少し驚いただけだ。ところで、それは本当かね?」

「はい、妻がそう呼ばれていたのは聞いたことありますし、確かに妻の魔法は他の治療師とは比べ物になりません」

「なら話が早い。どうか私に手を貸してもらえないだろうか」

陛下はそうおっしゃると自ら頭を下げてきた。

「あ、頭をお上げください! 陛下のためならこのユリウス、全力で力になる所存です!」

「そうか……。ありがとう」

ふう……ティアに相談しないと……。


100pt超えました!

毎回毎回本当にありがとうございます!


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