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プロローグ

「それじゃあ行ってくるよ、ティア」

「行ってらっしゃい、ユーリ」

そう言って口付けを交わす1組のカップル。

妻が仕事に行く夫を見送るありふれた早朝の光景。

やがて夫の姿が見えなくなるとティアと呼ばれた女性は呟いた。

「さて……子供達を起こさないと」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

初めまして! 私の名前はティアット=シッザード。キャッピキャピの26歳だよ!

おいコラ、いまババアって言ったやつ出て来いや! ぶっ飛ばしてやる!

……いけないいけない。怒ったらついつい昔の口調に戻っちゃうんだよね。

今でこそ自分のことは「私」って言ってるけど十数年前までは「俺」って言ってたからね。

あの頃は両親にも心配かけたなあ……。

まあそんなことになったのにはちゃんと理由があるんだけど。

実は私、前世では普通の高校男子だったんだ!

何言ってんのかわからない? まあそうなるよね。

詳しく言うと、私は男として生活してきた記憶を引き継いだまま転生しちゃったんだ。

そんなバカなーって思うよね。私もそう思う。

前世で高校生の時に死んだ原因はしょぼすぎて思い出したくもない。

階段に足引っ掛けて落ちたとかそんなんだった気がする。

そして落ちたと思った次の瞬間にはどこかよくわからない空間にプカプカ浮いてたんだ。

そこは母親のお腹の中だったんだけど。

よくわからないまま産まれてその時に「あ、転生してたんだ」って気づいたよ。

記憶が残ってるのは疑問に思ったけど私はこの世界を楽しもうと思った。

だってそこは地球で言う異世界。剣と魔法のファンタジー世界だったから!

でも私は楽しもうと思った矢先に大きな問題にぶち当たってしまった。

そう……。私は女の子だったのだ!

それでも自分を貫こうと思って最初は自分のことを「俺」っていった。

初めて発した娘の一人称が「俺」だったもんだから両親は卒倒した。

お母さんは隣にいたお父さんに「あんたのせいでティアが真似しちゃったじゃない!」なんて言ってお父さんにも「私」と言うことを強制させていた。お父さんごめんなさい。

しかしそれでも私の男口調は治るはずもなく、5歳くらいのときに病院に連れていかれた。

そのとき私が思わず「俺は男だ!」なんて言ってしまったものだから医者から性同一性障害を言い渡された。

それを聞いた両親は少し落ち込んだがこんな私を気持ち悪く思ったりせず、以前と変わらぬ愛情を注いでくれた。

そうして12歳くらいまで男口調で話していたがそんな私に転機が訪れた。

だんだん体つきがが女性らしくなって、この年頃の女の子なら誰もが経験すること。そう、初潮がきたのだ。

その時から私の意識は変わり始めた。いつまでも「俺」と言うのが恥ずかしく感じてきたのだ。

あの頃は本当に悩んだ。

「私」と自分のことを呼んでしまったら前世の「俺」を否定してしまうんじゃないか、なんて葛藤をずっと続けてた。

そこで試しに自分のことを「私」と言ってみた。

するとどうだろう。自分でも驚くほどしっくりきた。

そうしてようやく私は女としての自覚が芽生えたのだ。

いきなり両親の前で「私」というのは気恥ずかしかったが何にもない風を装って、自分のことを「私」と言った。

いやー、あの時の両親の驚きと喜びようは凄まじかったね!

今までで1番のご馳走を出されたもん。

それからは女として男に恋し、そこでまた悩んで……。

そんなこんなで今では母親だよ! それも三児の!

自分の未来は予想できないっていうけど本当だね!

これから始まるのはそんな私と家族の日常。

楽しんでみてくれると嬉しいな!

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